3歳の双子が生まれたときのおへそはシューマイサイズ?! 将来のことを考えて、2歳で臍ヘルニアの手術を決意【双子のママ・漫画家いよかん】
ほのぼのした双子育児の漫画をSNSで発信する漫画家いよかんさん。一卵性双生児の姉・かぼすちゃんと妹・すだちちゃんは現在3歳で保育園の年少クラスに通っています。双子は生まれたときから臍(さい)ヘルニアがあり、2歳のときに切除手術をしたそうです。臍ヘルニアの治療のことなどについて、いよかんさんに話を聞きました。
2人ともおへそがシュ―マイサイズに出っ張っていた
――双子のおへその様子に気づいたときのことを教えてください。
いよかんさん(以下敬称略) 2人のおへそは、生まれたときから出っ張っていたんです。サイズは小さめのシューマイくらい。けっこうぽこっと出ていたんですけど、産院でも、1カ月健診でも、とくに何も言われませんでした。ほかの赤ちゃんのおへそを見る機会もなかったし、2人のおへそは同じくらいのサイズだったこともあって、赤ちゃんってみんなこういうものなのかな、自然に引っ込むのかもしれないな、と思っていました。
でも、生後2カ月くらいで友人が遊びに来てくれたときに、双子のおへそを見て「こんなに飛び出てるおへそは初めて見た!」って、すごく驚いていたんです。それで「あれ、これって普通じゃないの?」と気づいた感じです。
――その後、臍ヘルニアと診断されたのはいつごろですか?
いよかん 生後3カ月の予防接種の機会に、医師におへそのことを相談したら「臍ヘルニアでしょう」と言われました。おへその皮のところに腸の一部が飛び出している状態だから、取りあえずは圧迫療法で様子を見ましょう、と言われたんです。
圧迫療法は、おへそに1cmくらいの綿球を押し込んで、その上に防水テープを貼って、飛び出ている部分をおなかに戻す治療法です。その圧迫療法を続ければ90%くらいの人は治るけれど、2歳以降になってもへこまなければ手術を検討しましょう、という説明でした。
おへそにテープを貼った状態でおふろに入っても大丈夫なんですが、2〜3日に1度は綿球を交換し、テープを貼り替えていました。2週間に1回受診して経過を見ながら、綿球とテープを購入して圧迫療法を1年半ほど続けました。
将来のことを考えて、臍ヘルニアの手術を決断
――圧迫療法を続けて、おへその状態はどうでしたか?
いよかん 2歳になっておへその出っ張りは治ったんですが、おへその皮が余ってペロンとなっている状態でした。医師から「余った皮はこれ以上は治らないので切除手術をしましょう」とすすめられ、2人に「おへそどうする?」と相談したら2人とも「へそ、とるー」と言ったので、手術をすることにしました。
双子たちは、おふろのときにお互いツンツンしたりして、ちょっと気に入ってるような様子だったので、手術を迷ったけれど、双子が思春期になったときのことを想像すると、きれいなおへそのほうがいいだろうなと思い、手術を決めました。
コロナ禍の双子入院は、なかなかしんどかった
――入院時の双子の様子について教えてください。
いよかん 2022年の春ごろに、大学病院の小児科病棟に2泊3日の入院をして手術でおへその皮を切除する手術を受けることになりました。病室は3〜5歳くらいの子どもたちがいる大部屋でしたが、小さい子なのにみんなとってもおとなしく過ごしていました。みんな母子同室の付き添い入院だったようです。
ところがうちは双子で1つのベッドだったので、もう大騒ぎで・・・。病室が新鮮だったのか、2人でテンション高くはしゃいで、小児用のベッドの柵をガシャガシャ揺らしてしまったり。病室近くの自販機まで連れ出したら、キャーキャー言いながら廊下をダッシュしてしまうし・・・もうとにかく騒がしくて、「静かに!静かに!」ってずっと言っていた記憶があります。
――いよかんさんも付き添い入院だったんですよね。3人での入院だと、ベッドは2台ですか?
いよかん いいえ、子ども用の高い柵のついたベッドを1台を3人で使いました。2mほど離れた隣のベッドを借りられるとも言われたんですけど、私も同じベッド内にいないと、2人ともギャン泣きであまりにも騒ぐので、しかたなく3人で1つのベッドを使うことに。
シングルサイズベッドより小さめサイズのベッドで、寝るとき以外もそこで過ごすので、とにかくせまいことがつらかったです。夜寝るときには、双子が縦に並んで、その横に私が寝て、という形でしか収まらない感じでした。寝返りもうてないくらいせまかったから、夜は全然寝られませんでした。
――病室ではどんなふうに過ごしていましたか?
いよかん 病室では音を出しちゃいけないので、無音にしたタブレットでキッズチャンネルの動画をずっと流していました。無音でも集中して見てくれていたから助かりました。あとは、持参したシールブックのシールをお互いの体にペタペタ貼って、わりと静かに遊んでくれました。
――入院中に困ったことはどんなことですか?
いよかん コロナ禍で面会も禁止でしたし、病院外に出ることも禁止でした。付き添い入院では親には食事が出ないので、2泊3日、院内のコンビニの食事でした。双子は病棟から出られないので、コンビニへの買い出しは1人で行くんですが、双子は私がいなくなると「ママがいない!」と大騒ぎになるので、2人がお昼寝しているすきに買い物、シャワー、トイレなど済ませるためにタイミングを測るのが大変でした。
私は2泊3日の短期だからまだよかったけど、長期入院のママさんは、コロナ禍の付き添い入院は本当に大変だと思います。
双子はかっこいいおへそを手に入れた!
――手術のときはどんな様子だったんでしょうか。
いよかん 入院した翌日に手術で、すだちから1人ずつ順番に移動ベッドで手術室に運ばれて行きました。手術自体は30分くらいだったと聞いていますが、準備なども含め2〜3時間ずつかかっていたと思います。
手術を終えて病室に帰ってきた2人の姿はモニターや酸素マスクなどにつながれていて、ちょっと痛々しく感じました。「へそ、とる~」と2人が言ったとはいえ、私が将来のことを考えて受けさせると押しきってしまったのではないか、小さい2人に痛いしんどい思いをさせてしまったなと、申し訳ない思いもありました。
手術した部分は防水テープが貼られた状態で、手術の翌日に退院。1週間後に再受診して問題なかったので、そこでテープをはがして治療終了でした。2人はすっかりかっこよくなったおへそに、とっても満足してくれている様子で、よかったです(笑)。
ほかにもある、双子育児のハードなエピソード
――臍ヘルニアでの入院も大変だったと思いますが、双子育児で日常的に大変だと感じるのはどんなことですか?
いよかん 振り返っていちばん大変だったのは、産後退院してからの生後1〜2カ月だったと思います。まず帝王切開だったのでおなかの傷の痛みが産後も2〜3カ月続いていました。数週間しても家事がまったくできなくて、食器を洗うのも椅子に座りながらじゃないとできないくらい、痛みが続きました。
それに、赤ちゃんと一緒に生活するサイクルにも体がなかなか慣れませんでした。夜中、2人がちょっとずつ違う時間に泣いてそれぞれあやしたり授乳したり、それだけでへとへと。寝不足の状態がとにかくつらかったです。ただ、生後2カ月くらいからは、2人とも夜泣きをしないでよく寝てくれるようになってとっても助かりました。
――外出するときなど、双子だからこそ不便に感じることがあれば教えてください。
いよかん 双子ベビーカーは約10kgあって、双子と荷物を乗せると30kg近くになるから坂道を上るのは本当に苦労します。また、私1人で双子を連れて電車に乗ったときに、2人同時に泣かれてしまうと収拾がつかなくなるから電車は1駅くらいしか乗れませんでした。バスも通路がせますぎて2人乗りベビーカーは邪魔になるから乗れません。公共交通機関に満足に乗れないのは不便ですけど、ワンオペで双子育児をする時には遠出はできない覚悟でいるから、そんなに気にはならないです。
一方で、ベビーカーで2人を連れているといろんな人から声をかけてもらえます。近所のおじいさんに「双子なんて一生の宝だね」とか、自転車ですれ違ったおじさんに「あ、双子!大事にね!」とか言ってもらったり。応援してくださる場合も多くて、その言葉に心が温まって、ありがたいと思っています。
お話・イラスト/いよかんさん 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部
いよかんさんに多胎育児を頑張るママやパパにメッセージをお願いすると「1歳くらいまでは毎日が必死で大変だけれど、3歳くらいになると会話ができるようになって楽しさが大変さを上回る日が来ますよ!」とエールをくれました。
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2023年6月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
いよかんさん
PROFILE
2019年12月に一卵性の双子かぼす(長女)とすだち(二女)を出産。2020年の緊急事態宣言の自粛期間中にブログとInstagramを開設し、双子育児に関するイラストや4コマ漫画の執筆を始める。
『双子育児、ちょっぴり詰んでます!』
双子育児はしんどさ2倍、でもかわいさは無限大! おしゃべり大好きで陽キャな姉・かぼすと、おとなしいけどしっかり者な妹・すだち。双子の母・いよかんがドタバタ&ほのぼのした双子育児の日常を描いたコミックエッセイ。いよかん著/1265 円(KADOKAWA)