SHOP

内祝い

  1. トップ
  2. 赤ちゃん・育児
  3. 「育児中の人たちの声を市政に届けたい」産後2カ月で市議会議員選挙に出馬し当選!きっかけは自宅で開いたご飯会【3児のママ体験談】

「育児中の人たちの声を市政に届けたい」産後2カ月で市議会議員選挙に出馬し当選!きっかけは自宅で開いたご飯会【3児のママ体験談】

更新

産後2カ月で精力的に選挙活動をした松岡真里さん。

3人目を妊娠中、東京都国分寺市議会議員に立候補を決意し、見事当選した松岡真里さん(38歳)。選挙時は産後2カ月でした。子育て真っただなかでの出馬を決めたのは、以前から関心があった「食」がきっかけでした。「子育てママの声を市政に届けたい」という松岡さんに、妊娠中に出馬を決めた理由、生まれたばかりの赤ちゃんがいる状況で、どのように選挙を乗りきったのかを聞きました。
※東京都国分寺市は多摩地域中部に位置する、人口約12万9000人の都市です。

幼少時から好きだったのは食べること。主催した「ご飯会」がきっかけで出馬することに

ママ友を自宅に招き、「ご飯会」を開催していた松岡さん。

――松岡さんは、産後2カ月で国分寺市議会議員選挙に立候補しました。市議会議員になろうと考えたきっかけを教えてください。

松岡さん(以下敬称略) 国分寺に住み始めたのは2016年からです。夫の転勤で、現在小学2年生の長男が生まれた直後でした。そのころからママ友を自宅に呼び、オーガニックや無農薬の野菜を使った料理をみんなで作ったり、ごはんを食べてのんびりしたりする「ご飯会」を開いていました。宣伝などはしなかったのですが、口コミで参加者が集まり、6年くらい続いていました。この活動がきっかけで、選挙に立候補することになったんです。

――「ご飯会」がきっかけとは意外です。食べることや料理にはもともと関心があったのですか?

松岡 子どものころから大好きでした。私は愛知県出身で、近くに住む祖父が畑で作る野菜が大好物だったんです。しかも、採れたてに塩をかけただけ、ゆでただけなど、シンプルに野菜そのものの味を楽しめるものがお気に入りでした。
私は小学校から大学にかけて、器械体操に取り組んでいました。当時は厳しいダイエットをしないといけなかったので、太らずに食べたいものを食べられる方法を試行錯誤していました。そのうちに栄養学に興味を持ち、大学では栄養科学を学びました。大学院に進学後、食品会社に就職し、商品開発に携わりました。ところが、だんだん「今の食品業界は、これでいいのかな?」と疑問を抱くようになって・・・。

食品業界の現状に疑問を抱くなか、イタリアへ。現地で妊娠判明。

食品メーカーで働いていたころの松岡さん。

――具体的にどんなところが気になったのでしょうか?

松岡 たくさんの種類や量の添加物を入れたり、仕入れている原料メーカーも、遺伝子組み換え作物の使用状況などがはっきりしないこともまれにありました。
当時は、「これは仕事だからしかたない」と割りきっていたのですが、頭の片隅では「こうしたものを食べ続けたら健康によくないのでは?」と気になっていました。

大学時代に知り合った夫とは、就職後、結婚をしましたが、おたがいの仕事の都合で離れて暮らしていました。就職後3年程たったころ、母が体調を崩したことでがきっかけで退職していましたが、2015年に夫が仕事でイタリアに1年間行くことになり、一緒に暮らすのにいいタイミングだと思い、同行することにしました。ところが、イタリアに到着して1週間後に妊娠がわかり、現地で出産しました。

イタリアで気づいた「自分の気持ちを大切にすること」

第1子はイタリアでの出産でした。ママや赤ちゃんを大切にするお国柄だったため、周囲から大切にしてもらったそう。

――イタリアに到着した直後に妊娠がわかるとは、大変なタイミングだったと思います。イタリアではどんなことを感じましたか?

松岡 イタリアでは食を通じて「自分の気持ちを大切にしていいんだよ」と教えてもらったように思います。というのも、私はオーガニックな方法で栽培された野菜が好きですが、日本では高価です。それに「オーガニックが好き」と言うと、「意識が高い人」みたいに思われがちで・・・。
それに対し、イタリアでは普通に有機野菜がスーパーで売られていて、値段もそれほど高くありませんでした。どの食材を選んでも「あなたはそれが好きなのね」と、個々の考えを尊重してくれているように思いました。「みんな一緒でなくてもいい。あなたはあなた、私は私」という感覚が新鮮でした。
夫のイタリア赴任で、イタリアに行ったのが2015年5月のこと。2016年1月にイタリアで長男を出産しました。赴任は約1年間だったので2016年3月には2カ月の長男を連れて帰国。帰国後、国分寺市での生活を始めました。

妊娠していても、子どもがいても、私らしくあること。その姿を見せたくて立候補

有機野菜をシンプルに調理した料理が好評だった「ご飯会」のメニュー。

――国分寺市に住み始め、政治にかかわるようになった経緯を教えてください。

松岡 ご飯会を開催するようになり、しばらくして、友人のヨガの先生が中心となり、国分寺市や近隣の市のママたちが集まり、子育てコミュニティが作られることになりました。私も誘ってもらい、初期メンバーとして運営にかかわっていました。コミュニティのなかで、食に関するイベントを開いていたのですが、あるとき、当時の国分寺・生活者ネットワークの市議会議員が遊びに来てくれました。

それまで私は政治家というと「話しかけにくい、えらい人」というイメージがあったのですが、その人はとても気さくで、いい意味で普通のお母さんでした。「議員さんって、こんなに素敵なんだな」と好印象を抱きました。
そこから、少しずつ生活者ネットワークに遊びに行くようになり、1年に1回くらいのペースで、農薬のことやイタリアでの出産について話をしていました。

――松岡さんのなかでも、政治が少しずつ身近になってきたのでしょうか。

松岡 そうです。もともとは「政治に興味はあるけれど、遠い世界のこと」だと感じていました。社会をよくするために考えるべきことはたくさんあるけれど、自分の生活に追われていると、後回しになりがちです。でも、最初に議員さんに会って「普通だな」と思ったように、等身大で身近なことを考えればいいんだと、少し敷居が下がった気がします。
生活者ネットワークに遊びに行っているなかで、「次の市議選に挑戦してみない?」とお誘いを受けました。

――松岡さんは、自身のどのあたりが立候補をすすめられた理由だと思いましたか?

松岡 ご飯会を開催しているうちに、「自分たちが暮らしやすい社会を作るにはどうしたらいいか、みんなで考えたい」と思うようになっていました。私自身はそれを政治活動とは考えていませんでしたが、よく考えれば、本来の政治・自治の姿に近いのではないかと思います。
生活者ネットワークには、こうした私の思いをくみ取ってもらったのではないかと思います。それに、周囲に妊娠中、苦労している人が少なくありませんでした。こうした人が「手伝ってほしい」と発信できる環境づくりをしたい思いもありました。

困っている人が助けを求められる世の中にしたい思いが強まり、出馬を決意

生後2カ月の第1子。イタリアで赤ちゃんのお世話をしました。

――具体的に、妊娠中に苦労していた人の話を聞かせてください。

松岡 私は夫の社宅に住んでいるのですが、周囲に2人目、3人目を妊娠する友人が増えていきました。社宅や周囲に住む方のお手伝いをするために、産後ママの自宅に行き、料理をする活動もしていました。だから近所で、妊娠中のママを見かけると「ごはんを作りに行きますよ」と声をかけていました。でも、実際に「手伝ってほしい」と言われることは、ほとんどありませんでした。あとになってみんな口をそろえて「大変だったけど、1人で頑張っていた」と言うんです。

――「人に迷惑をかけてはいけない」という気持ちが強い人が多いのでしょうか。

松岡 そうだと思います。一人一人に声をかけて、「協力します」と伝えるのも悪くないのですが、もっと思いきって状況を変えていかないと、助けを求められない人が少なくないと感じました。
イタリアにいた期間は短かったのですが、自分の気持ちを大切にしている人が多かったです。つらかったら、助けを求め、周囲も協力するのが当たり前の雰囲気でした。ママや赤ちゃんに優しいお国柄なので、みんなが声をかけ合っている感じがしました。

――出馬を決めたときは松岡さん自身が妊娠中だったそうですが、それでも出馬しようと思ったのはなぜでしょうか?

松岡 選挙のとき、私は産後2カ月だとわかっていました。だから「立候補は無理だな、残念だな」と思ったんです。そのとき、「残念だと思うということは、本当は選挙に出たいんだ」という自分の本心に気づきました。
産後直後ではできることに限りがあります。でも、がむしゃらに頑張るのではなく、周囲に手を貸してもらい、協力してもらう姿を見せることも大切なのかなと思いました。立候補したいと夫に相談すると、私の気持ちを尊重してくれました。

選挙中は、周囲に助けてもらいながら街頭演説も

――実際に産後2カ月でどのように選挙に取り組みましたか?

松岡 出産前から、私を応援するために友人がLINEのオープンチャットを作ってくれました。そこで、私が困っていることを書き込むとだれかが助けてくれました。みんなの都合が合わなくても、思いを発信するだけで、気が楽になりました
たとえば、今回の妊娠は3人目だったので、上の子が2人います。3人目の出産時に真ん中の子どもが熱を出してしまいましたが、そのときも、友だちが子どもたちを預かってくれると発信してくれました。選挙中はすべての家事育児をするのは大変です。2日に1回くらいだれかが家に来て手伝ってくれました。選挙中は、授乳の時間になると家に戻っていました。周囲の協力があってこそ、乗りきれた選挙戦だったと思います。もちろん、「周囲が協力してくれて当たり前」ではなく、あたたかい人たちに恵まれて感謝しています。

――当選したときはどんな気持ちでしたか?

松岡 「私のように、みんなに助けてもらっている立候補者も認めてもらえるんだ」と思いました。大変なときでも、協力し合えれば、いろんなことができるよとメッセージを伝えられたと思います。

お話・監修・写真提供/松岡真里さん 取材・文/齋田多恵、たまひよONLINE編集部

「産後2カ月で選挙に出馬」と聞くと、特別なことをしているように思いますが、やわらかい笑顔を浮かべる松岡さんは、「みんなのおかげです」とやわらかい口調で話していました。苦労を1人で抱えるのではなく、周囲に協力してもらうことの大切さを伝えたかったという言葉が印象的でした。

松岡真里さん(まつおかまり)

PPOFILE
国分寺市義会議員。1984年愛知県生まれ。食品メーカー勤務を経て、2015年から2016年、夫の転勤の同行でイタリアで生活、第1子出産。帰国後、国分寺市民に。オーガニック野菜や環境に負荷の少ない食材を使う陰陽調和料理教室、季節の手しごとの会、お話会、各イベントや産前産後の母への出張料理など開催。2021年第2子出産。2023年2月に第3子出産。産後2カ月で2023年4月の国分寺市議会議員選挙に出馬し当選。

赤ちゃん・育児の人気記事ランキング
関連記事
赤ちゃん・育児の人気テーマ
新着記事
ABJマーク 11091000

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第11091000号)です。 ABJマークの詳細、ABJマークを掲示しているサービスの一覧はこちら→ https://aebs.or.jp/

本サイトに掲載されている記事・写真・イラスト等のコンテンツの無断転載を禁じます。