フリーアナ吉田明世、子どもと日々の格闘の末、2才息子が身につけた“空気を読む術”に母の心は
現在、5才の女の子と2才の男の子のきょうだい育児に奮闘中のフリーアナウンサーの吉田明世さん。
今回のお話は、何を言っても言うことを聞いてくれない息子さんのこと。吉田明世さんの育児エッセイ第40回は「息子との闘い」についてです。
しっかり者の娘、自由きままな息子
しっかり者で周りをよくみている娘と、お調子者で自由気ままな息子は性格が正反対。
それは日々の子育てでも感じることが多く、例えば食事時や寝る前、「お片付けの時間だよー!」というと、娘はテキパキと動き始めるのに対して、息子は必ずと言って良いほどグータラし始め、なかなか片付けをしません。とにかくやる気が感じられないのです。
ご飯の時もそうです。娘は1人で食べ、時には「ママ、アーンして」と甘えるものの、基本的には1人で完食する一方で、息子は一向に1人で食べる気配がない。一口食べては立ち上がり、踊り始め、また食べに戻ってくる、なんてことは日常茶飯事。
私も、初めこそ優しく諭すのですが、だんだんと心の中の鬼が暴れ踊り始めるのです。
「〇〇しないなら、〇〇しちゃうよ?」
というワードが子育てにおいてNGなのは十分理解しています。でも、どうしても使ってしまうのです。
「片付けしないなら、ママもう捨てちゃうよ?」
「ご飯食べないなら、もう片付けしちゃうよ?」
こうやって文字で起こした今も、良くないよな…と反省しております。笑
こんなふうに言われても、自分で判断する力が弱まってしまいますし、どんな時もママに怒られないように行動してしまう子になってしまいますよね。(と、そんな記事を読んだことがあります)
しかも、それが響いて、結果的に片付けたりご飯を食べたりしてくれるのならまだしも、「いいもーーん」と言って、息子には一切響いていないのだから、こんなにも虚しいことはありません。
効果てきめんだったのは無意識の「ピリピリオーラ」
さすがにここまでグータラ人間なのは家だけであろうと、「保育園ではしっかりやっていますよ!」という言葉を半分期待して保育園の連絡帳に書いてみたのですが、そんな期待はするべきではありませんでした。
先生からのお返事には、「保育園でもそのような姿見受けられます。」の文字が。(もちろん、励ましの言葉と共に書かれていましたが)あまりの衝撃に、先生の文字と共に今でもそのワードが脳裏に焼き付いています。笑
こういうのって、人目を気にして外ではできるけど家では甘えて…と思っていたから。保育園でもできてないんかーい!!と。そりゃ家でもできるわけないやないかーい!
そんな息子ですが、先日成長を実感する瞬間がありました。
それは私が最もピリピリしていた月曜日の夕方のこと。子どもたちが何をやっても喧嘩し、私もだんだんと余裕がなくなってしまったのです。きっと息子にも、私の周りに怒りのオーラが見えたのでしょう。
息子が突如1人で椅子に座り、黙々とご飯を食べているではありませんか。そう。息子がついに空気を読み始めたのです。
しかも「ママのごはん、大好き!ママのお魚、とってもおいしいね〜!!」と気遣いのコメントまで!
(うん、それ、私が余裕ないとき用に買っておいた焼くだけでいい銀ダラの西京焼きなんだけどね。)
私は息子の姿に、一喜一憂してはいかんと、冷静に見守っていると、これまでの最短記録達成か、というスムーズさでご飯を完食したのでした。
これまで何を言っても響かなかった息子。
一番効果的だったのが私からの言葉ではなく、私から発せられたピリピリオーラだったとは。私の顔を見て空気を読み行動する、というのは、これもある種の成長なのかもしれませんが、あの息子に気を遣わせてしまう日がやってくるとは、母としてなんとも情けなくもあります。
本当はいつもニコニコと心に余裕を持って子育てできたらいいですが、家族だからこそ、自分の子どもだからこそ、それが難しい日もあったりします。
それと同時に、突如片付けと食事ができるようになった息子を見て、子育てにはやはりある程度の緊張感も必要なのかもしれないな、と実感してしまった瞬間なのでありました。
文・写真/吉田明世 構成/たまひよONLINE編集部
●記事の内容は2023年8月の情報で、現在と異なる場合があります。
吉田明世さん(よしだあきよ)
PROFILE
1988年生まれ。2018年5月に女の子を、2020年12月に男の子を出産した。TBSのアナウンサーを経て、19年にフリーとなり、東京FM「ONE MORNING」(月~金6時~9時)「THE TRAD」(月・火15時~16時55分)レギュラー。ほかにTV、イベント、コラム連載など幅広く活躍中。保育士資格のほか、絵本専門士の資格も取得。2022年、初の絵本「はやくちよこれいと」(インプレス)を出版。