蓄積した老廃物と有害ミネラルを排出するには?食べ物のパワーでデトックスに挑戦!【管理栄養士】
育児や仕事で忙しい日常のなかで、セルフケアがおろそかになっていると、知らず知らずのうちに体内に老廃物や有害ミネラルがたまりやすくなるのを知っていますか?
この記事では、デトックスについてお伝えします。体内の不要なものを排出し、健康なからだを目指しましょう。
デトックスとは
デトックスとは、英語の解毒を意味する「detoxification」に由来する言葉で、体内から老廃物や毒素などの有害物質を取り除く健康法です。人のからだには毎日、化学物質が入ったり、体内で老廃物が作られたりしています。
体内の有害物質の多くは肝臓で解毒され、便や尿、汗、髪、爪などから体外に排出されます。しかし、肝臓の機能や排出力は個人差が大きく、生活習慣や体調の影響で低下する場合もあるのです。からだの機能を高めると同時に、デトックス効果の期待できる食べ物を摂り入れましょう。
デトックスのメリット
デトックスによって老廃物や有害物質が排出されると、血流の改善が期待できます。スムーズな血流は、むくみや冷えの解消に欠かせないポイントです。また、からだのすみずみにまで血液がおくられることで、肌のバリア機能や保湿機能が向上し、肌荒れの改善につながる可能性があります。
ただし、デトックスを謳った商品のなかには、安全性に欠け間違って宣伝されている可能性があったり、解毒プログラムに関する研究もごくわずかであったりします。(※1)
そのため、もともとからだに備わっている解毒・排出器官(肝臓・腎臓・腸)の機能維持・向上が大切といえるでしょう。
からだにたまる毒素
老廃物は、体内で合成されたからだに不要なものの総称で、尿酸やアンモニア、クレアチニンなどがあります。
有害ミネラルは、からだの外から入ってきて害を与える可能性のある物質で、カドミウムや水銀などが該当します。
老廃物と有害ミネラルがからだに蓄積すると、さまざまな病気や不調を引き起こす可能性があるので詳しくみてみましょう。
毒素の種類・侵入ルート・影響
代表的な老廃物・有害ミネラルと、それらが蓄積することによる影響は以下の通りです。
<老廃物>
▼尿酸
・合成ルート:
細胞の新陳代謝時に発生したり、食べ物から吸収されたりする「プリン体」を分解するときに合成される
・症状:
高尿酸血症、痛風、尿路結石など
▼アンモニア
・合成ルート:
たんぱく質を分解するときに合成される
・症状:
昼夜リズムの逆転、抑うつ、怒りっぽくなる、手の震え、意識障害など
▼クレアチニン
・合成ルート:
筋肉を動かすためのエネルギーを使ったあとに残る
・症状:
むくみ、貧血、倦怠感など
これらの老廃物によって、直ちに症状が引き起こされるわけではありません。
老廃物の原因となる物質(プリン体やたんぱく質)の過剰摂取や、解毒する肝臓、尿を作る腎臓の機能低下が起こることで、これらの老廃物の排出がしにくくなり、症状としてあらわれます。
<有害ミネラル>
▼カドミウム
・侵入ルート:
タバコ、米など
・症状:
発熱、腹痛、腎機能障害(貧血、疲れやすい、関節痛)など
▼メチル水銀
・侵入ルート:
カジキやマグロなどの大型魚など
・症状:
感覚・視野・聴覚障害、小脳失調(まっすぐ歩きにくい、スムーズに動けない)など
▼ヒ素
・侵入ルート:
海藻類、水、米など
・症状:
無機ヒ素は、発熱、下痢、嘔吐、脱毛など
有機ヒ素は、人体への影響は不明
ただし、食品安全委員会の評価では、「日本において、食品を通じて摂取したヒ素による明らかな健康影響は認められておらず、ヒ素について食品からの摂取の現状に問題があるとは考えていない」としています。
▼アルミニウム
・侵入ルート:
野菜、穀類、食品添加物など
・症状:
ラットを用いた毒性の調査では、腎臓や膀胱への影響、握力の低下など
厚生労働省や農林水産省の資料によると、食品中に含まれるいずれの成分も偏った食事や大量に摂取しなければ心配はあまりないとしています。(※2~6)
ただし、妊婦さんのメチル水銀の摂取については胎児に影響を与えることもあるため注意が必要です。
厚生労働省の資料によると、キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロなどは週に80gまで。ユメカサゴ、ミナミマグロなどは1回約80gとして週に2回までなど、目安量を設定しています。(※7)
老廃物は生きている限り生み出され、有害ミネラルも確実に体内に入ってきます。これらの不要物質を、ため込まない、すみやかに排出するために、からだの解毒・排出器官の機能を高めることが大切です。
デトックス効果のある食べ物で毒素を排出する
デトックスを担うからだの主な器官は、有害物質を解毒する肝臓、尿を作る腎臓、便を作る腸の3つです。
肝臓の働きを助ける栄養素はメチオニンです。
メチオニンには、アミノ酸の一種で肝機能の改善や有害物質の排出作用があります。(※8)
たんぱく質が豊富な食材にはメチオニンも含まれているので、肉や魚、卵、大豆製品など主菜から摂れます。
腎臓の働きを助ける栄養素はカリウムです。
カリウムには余分なナトリウムを体外へ排出する利尿作用があるため、血液をこして尿を作る腎臓のサポートをします。(※9)
カリウムは野菜や芋類、海藻類に多く含まれています。食事では副菜を添えると無理なくカリウムが摂れるでしょう。
腸の働きを助ける栄養素は食物繊維です。
食物繊維には、便の体積を増やし排出しやすくする作用があります。また、腸内の善玉菌のエサになり活性化させることで、腸内環境の改善にも役立つのです。(※10)
食物繊維は穀類、野菜、果物などに多く含まれています。そのため、食事の際に穀類からできている主食(ごはんやパン、麺など)を減らしすぎると、食物繊維も不足しやすくなるので注意しましょう。
超簡単!デトックスレシピ
簡単にできて、ひと皿でデトックス食材のすべてが食べられるレシピは豚汁です。
豚肉と味噌からメチオニンが摂れ、野菜と味噌からカリウムと食物繊維が摂れます。
カリウムと食物繊維の一部は水に溶けやすい特徴があるため、汁ごと食べられる豚汁は効率的なデトックスレシピです。冷蔵庫に残っている野菜や旬の野菜をたっぷり使いましょう。
<作り方>
【1】野菜と豚肉をひと口大に切る
【2】鍋に、切った具材とたっぷりの水を入れる
【3】フタをして強火にかけ、沸騰したら弱火にして全体をざっくり混ぜる
【4】10~15分程度、具材が柔らかくなるまで煮る
【5】弱火または火を消したあとに味噌を溶いて完成
出汁を使ったり、煮る前に炒めたりしなくても、十分おいしくできあがります。2〜3日分まとめて作っておくと便利ですよ。
普段の食事でデトックス
デトックスは体内の老廃物や有害ミネラルを排出し、健康を保つのに役立ちます。食事でデトックスをサポートするためには、メチオニン、カリウム、食物繊維を含む食材がおすすめです。普段からデトックスを意識して、ため込まないからだ作りを実践しましょう。
<参考文献>
※1 厚生労働省「肥満(体重管理)」
※2 厚生労働省「「食品に含まれるカドミウム」に関するQ&A」
※3 厚生労働省「魚介類に含まれる水銀について」
※4 農林水産省「食品中のヒ素に関するQ&A」
※5 厚生労働省「魚介類に含まれる水銀について」
※6 厚生労働省「食品中のアルミニウムに関する情報」
※7 厚生労働省「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」
※8 株式会社わかさ生活「メチオニン」
※9 公益財団法人 長寿科学振興財団「健康長寿ネット」カリウムの働きと1日の摂取量
※10 厚生労働省「食物繊維の必要性と健康」
PROFILE
あんしん漢方 管理栄養士
小原水月(おはらみづき)
管理栄養士・健康食育シニアマスター。社員食堂で300以上の料理を修得、ダイエット合宿所・特定保健検診の業務に携わり600人以上の食事と生活習慣改善を個別サポート。自身の出産後の体調不良から食事と漢方で体調改善/増進の経験を生かし、栄養学と漢方を合わせたサポートを得意とする。「心も体も食べたものだけで作られる」をモットーに簡単で時間もお金もかけずに元気になれるレシピを発信中。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行っている。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=211332f2tmhy00010045