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「義母と一緒のお墓には入りたくない!」「自分の子どもには引き継ぎたくない」先祖代々のお墓、どうする?【専門家】

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日本の墓
yamasan/gettyimages

今回のテーマは「お墓」についてです。先祖代々、受け継がれてきたお墓がある家庭も多いことでしょう。けれども、実家から遠く離れたところに住んでいたり、樹木葬や散骨などこだわりが多様化してきたりと、日本のお墓事情は変わりつつあります。
そこで、「たまひよ」アプリユーザーにお墓や仏壇について、アンケートをしてみました。その結果とともに、葬送コンサルタントの吉川美津子さんに現在のお墓事情についてお聞きしました。

大事にしたい気持ちはあるものの、子どもへの負担を考える人も

最初にアンケート結果からご紹介します。

Q 将来、受け継がなければならない(恐らくそうなる予定)のお墓や仏壇がありますか?

約60%が受け継ぐお墓や仏壇があるようですね。受け継がなければならないお墓・仏壇についての考えを聞いてみると…。

「大事にしたいです」(ひとみ)

「お墓参りなどはするが、引き継ぎたくはない」(ゆうこ)

「長男ですが、夫側のお墓はいらないので、頃合いを見て夫の妹たちと話し合い、永代供養にしようかと思っています」(うめぼし)

「日々の管理は委託して、年に数回お参りできたら良いと考えている」(あや)

「自分たちはきちんと管理したいが、子どもたちまでどうするは考えていないから、不安なこともある。まだ先のことだから、夫ときちんと決めていきたいと思う」(TOMO)

「義父母が好きではないので、できれば関わりたくないし、同じ墓に入りたくない」(ゆめぱんだ)

「お金もかかるし嫌だが、仕方ない…」(ポンチャプ)

「墓じまいをした友人から、とてもお金がかかったと聞いた。相場がどのくらいで、お寺から高額な金額を言われたときに、どうしたらいいのか悩んでいる」(まーくん)

「夫の親はちゃんとしてあげたいが、自分たちは子どもが大変になるから、あまり受け継ぎたくないと思ってる」(くるぱー)

そして、多かった声は、
「親の代で墓じまいしてほしい」(おもち)
でした。

最近のお墓事情(傾向)とともに、遠く離れていてもできそうな先祖のお墓を大事にする方法などについて、葬送コンサルタントの吉川美津子さんにアドバイスをいただきました。

専門家のアドバイスを受けて、自分なりの弔い方を

たまひよアプリユーザーから寄せられた声にあるように、近年は「墓守ができない」「墓じまいしたい」といった、お墓にまつわる悩みを聞く機会が多くなりました。跡継ぎがいないという理由だけではなく、「ひとりっ子同士の結婚で両家の墓守をする場合、どうしたら良いか」「離婚、再婚で家族関係が複雑。自分や子どものお墓はどうしたらよいか」といった悩みなど、一筋縄では解決できない案件も増えています。

戦後、家制度は廃止されましたが、お墓の制度は「長男がお墓を継ぐ」「女性は嫁ぎ先のお墓に入る」という慣習のもとに引き継がれていました。しかし核家族化や少子化など、家族関係の変化によってこういったお墓のシステムは制度疲労を起こしています。

そこで近年注目されているのは子々孫々継ぐことを前提としないお墓。「〇〇家の墓」の承継墓に対し、「永代管理墓」「永代供養墓」「永代墓」「永年墓」「永代管理墓」といった名称で販売されているのがこのタイプです。「永代管理墓」「永代墓」「永年墓」は管理者が永代にわたって遺骨を管理するというシステム、「永代供養墓」は寺院が続くかぎり永代にわたって遺骨の管理と供養(宗教儀礼)をするというシステムのことです。
納骨方法は、合葬タイプをイメージする人が多いのですが、最近は個別に骨壺に納骨できるタイプも増えています。
ちなみに費用は合葬納骨タイプだとひとり5万円~50万円、個別納骨タイプだと10万円~80万円くらいです。1人分だとリーズナブルでも、複数人分だと割高になってしまうこともあり注意が必要です。

お墓のタイプを見た目の違いで分類すると、「一般墓」「樹木葬」「納骨堂」と大分することができますが、その中でも「樹木葬」「納骨堂」は継ぐことを前提とせず、「永代管理(供養)」付きをウリにしているところがほとんど。

2018年~2022年の4年間に一般墓が46.7%から25.8%と大幅に減少しているのに対し、樹木葬は24.9%から41.5%と大幅に増えているというデータ(「第13回お墓の消費者全国調査」2022年鎌倉新書調査)もあり、人気の様子が伺えます。

現代では、お墓のタイプは多様化し、さまざまなニーズに応じられるようにラインナップされていますが、その分選ぶことがプロでも難しくなっています。
「お墓はいらない」といっても、遺骨をいつまでも置いておくわけにもいかず、基本的には墓地として認められた場所に納骨(海洋散骨という手段もありますが)することが必須となります。これは墓じまいでお墓から取り出した遺骨も同様です。

なお、現在のお墓を「墓じまい」したい場合には、遺骨をすべて取り出して、墓所は更地に整地して管理者に返還します。その費用は概ね1㎡あたり10万円~15万円。重機が入れない場所だったり、石材が多くて処分費用が別に加算されることもあります。取り出した遺骨は別の墓所に納骨する必要があります。

お墓についての疑問があったら、まずは地元の石材店に聞いてみましょう。聞きにくい場合はインターネットで専門家に直接相談していただくのも良いでしょう。複数からアドバイスを受けて、自分なりの弔い方を選択してみてはいかがでしょうか。

弔い方もお墓も多様化している現代、何をどう選ぶのか、難しい問題のようですね。それだけに、早めに家族で話し合っておけるといいですね。
(取材・文/メディア・ビュー 橋本真理子)

吉川美津子さん

PROFILE
大手葬儀社、大手仏壇・墓石販売店勤務を経て、葬送コンサルタントとして独立。起業コンサルティングや人材育成、取材・執筆などを行っている。近年は葬送関連事業と並行しながら、社会福祉士として、また介護職として福祉・介護の現場でも活動。「生き方」「逝き方」両輪の橋渡しを模索中。「情報ライブ ミヤネ屋」(読売テレビ)、「ノンストップ!」(フジテレビ)、「あさイチ」(NHK)などのメディアのほか、著書に、『ゼロからわかる墓じまい』(双葉社)、『お墓の大問題』(小学館)など。近著の『お墓の疑問? 解決事典』(つちや書店)では監修者として、お墓を継ぐための手続きからお墓の管理とメンテナンス、さまざまなお墓のかたちの解説、墓じまいの手順などを解説している。

※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※調査は2023年5月実施の「まいにちのたまひよ」アプリユーザーに実施ししたものです(有効回答数284人)
※記事の内容は2023年7月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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