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12人産んだ助産師HISAKOが語る「親としてやらなかあかんことは3つだけ」「今のママ・パパに伝えたいのは、もっと肩の力を抜いたほうがええということ」

更新

12人の出産経験があり、20年以上と長きに渡り、助産師として累計5万組以上の子育てを支援してきたHISAKOさん。最近はYouTubeチャンネルやブログなども通して、全国のママ・パパの育児の悩みに寄り添っています。2023年8月には『5万組を子育て支援して見つけた しない育児』を出版。そんなHISAKOさんに助産師をめざしたきっかけ、最近のママ・パパを見ていて思うこと、子育て社会の課題などについて聞きました。

助産師のテレビ番組と産婦人科に通った経験から「これや!」って

現在は沖縄で助産院を開いているHISAKOさん。オンラインで子育ての相談にものっています。

――助産師をめざしたきっかけは何ですか?

HISAKOさん(以下敬称略) すごく単純です。助産師に24時間密着するテレビ番組を見て、あぁ、これやって・・・。

私は大阪で生まれ育って、そのテレビ番組を見たのは高校2年生のときでした。当時は陸上をバリバリやってたんですけど、練習がハードで結果を出さなきゃというプレッシャーもすごくて。17歳にしてまだ月経がなく、母親に「さすがにまずい」と産婦人科に引きずられるように連れていかれました(笑)。そうしたらお医者さんに「あなた今のままだと子どもを産めない体になるよ」って言われたんです。そこで、基礎体温というものを教えてもらって定期的に測りながらホルモン治療を始めて何とか月経を起こせて。

本当に陸上しかやってない陸上バカやったんで、自分が女性で、いつか赤ちゃんを産む性ってことを意識したことさえなかったんです。病院に行くたび、待合室におなかの大きい妊婦さんや赤ちゃんを抱っこしたママがいっぱいいて、「あれ、これまで全然気にしてなかったけど、こんな世界が広がっていたんや」と。そんなタイミングで助産師さんの番組を見たもんだから、「私、これがやりたいかも」ってなったんですね。

実際になってみて思うのは、いろいろなママ・パパがいるということ。主な仕事はお産のサポートや、子育て支援ですけど、それぞれのママ・パパのかなりプライベートな部分にまで入りこまないとできない仕事で。1人として同じママ・パパはいなくて、どの1人も排除したり、孤独にしたりしてはいけない。どんなママ・パパにも寄り添える社会になっていくべきやって考えてます。

情報に縛られて苦しんでるママ・パパをもっと楽にさせてあげたい

著書では、かたよった情報に惑わされ「してあげなきゃ!」と必死になりがちなママ・パパに向けて「しなくていい育児」をHISAKO流に解説しています。

――助産師を20年以上してきた中で、ママ・パパに変化を感じますか?

HISAKO 以前よりコミュニケーションが苦手なママ・パパが多くなったように思います。なんでかって考えたらSNSの普及と、もしかしたらコロナ禍も関係してるかも。以前は自分と価値観が違う人とは適度に距離を取ることが器用にできているママ・パパが多かったのに、最近のママ・パパは結構かたくなな人が多くて。価値観の違いに寛容になれなくて、自分の価値観を相手にぶつけて関係がこじれてしまうパターンがすごく増えてます。

やっぱりリアルな人づきあいが減ってしまったのが大きい。以前は子育ての情報を得たかったらママ友を作ったり、「たまひよ」なんかの雑誌を読んだりすればよかったんですけど、今はSNSやネットから簡単に情報が入ってくるわけで。SNSやネットの情報がすべてダメってわけじゃないけど、いいものばかりじゃない。私が見てもこれ載せたらあかんやんとか、こんなこと出すからママ・パパたちが不安になるやん、余計に追いつめられるやんっていうような情報も多いんですよ、本当に。

だから、それらに振り回されたり、がんじがらめになったり、孤独な中でしんどい思いをしてるママたちにもっと力が抜けるような「頑張らんでええ、テキトーでええ」というHISAKOマインドを伝えて楽にしてあげたいなって活動しています。

ただ、なんでもかんでも頑張らず手抜きしようって言ってるわけじゃないですよ。楽しいこと、得意なことは頑張ることにはならんからガンガンやればええ。でも苦痛なこと、苦手なことは最低限にするとか、やらなくていいならとことん逃げればええ、手放してええよっていう考え方です。今はするべき情報があふれてるけど、親としてやらなあかんことは、子どもの生理的欲求を満たすこと、ハグ、安全確保だけ。これママ・パパが聞くと気持ちがめちゃ楽になるでしょ(笑)

夫婦円満のためにも、さまざまな思考の人がいるということをしっかり学んでおくとええんやないかな

中学校での授業のために用意した教材の一部。HISAKOさんは、教育現場における性教育の出張授業「いのちの授業」にも力を入れているそうです。

――子育てしやすい社会になるにはどんなことが必要だと思いますか?

HISAKO さっき価値観の衝突の話が出ましたけど、それは夫婦のいざこざにも言えることで。いろいろな夫婦がいるから、あくまで一つのパターンとして話しますけど、多くのママがパパに子育ての悩みをしゃべるのは、何も解決策を求めているわけじゃない。パパに共感してもらいたいからなんやね。でもパパは共感しないで、その悩みの解決策をずばり言ってしまいがち。ママは「わかっていない。そうじゃない」って気持ちになるけど、多くのパパは「こうしたらええんちゃうって、せっかくアドバイスしたのになんでそうなるんや」って不機嫌になるという・・・。

こういうことが「あるある」だから、世の中にはそもそもいろいろな考え方をする人がいて、ママ、パパだってお互いの立場などで考え方に違いがあること、家族のカタチによっても違いがあることを早くから学んでおくとええんやないかって思ってます。それこそ出産や育児からは程遠い学生のときから。それをきちんと学んでないから、初めてパートナーができたり、夫婦になったりしたときに相手が何を考えているのか意味わからんともめることが多いんやって。

いろいろな考えの人がいて、自分とは違う思考パターンの人がいるって理解してたら、むやみに夫婦間に亀裂が入りにくくなって、お互いにそっかそっかと寛容になって、寄り添えるようになって、子育てしやすい社会につながるんやないかって思います。夫婦関係がうまく行けば、子どもも笑顔でいられるじゃないですか。それに越したことないんですよ。

――最後に読者のママ・パパにメッセージをお願いします。

HISAKO いろいろな人がおって、それぞれに得意なこと、苦手なことがあってね。たとえば、人見知りで全然社交的でもないのに「今の私はダメ。あのママ友みたいに、フレンドリーにだれとでも笑顔でしゃべれるママにならなきゃ!」って頑張ったって、無理があるんですよ。それは自分の個性をつぶして、自分を自分でなくしてしまうことでもある。「苦手なことも頑張りたい」って気持ちは否定しないけど、苦手なものがある自分も肯定してほしいです。

完璧じゃないママ・パパでも、無条件に「大好き!」って言ってくれる子どもがいることを忘れないで。「ママがいい」「パパがいい」って甘えてくる子どもがいるのに、自分はダメな人間だって下向いてたら、子どもも否定することになってしまう。ありのままの自分を受け入れると自己肯定感が生まれます。「こんな自分やけど、まぁいっか」となれば笑顔が増える。子どもはそんなママ・パパを見て育っていく。「そっか、ママもパパも完璧じゃないけど、いつも楽しそうにキラキラ輝いて生きてるし、僕(私)も完璧じゃないけど、こんな自分でええんかな」って安心できる。笑顔がたくさんの家庭でのびのび生きられるんです。

結局は頑張りすぎず、適当に肩の力が抜けているママ・パパのほうが、子育ても人生そのものもハッピーでいられることが多いんやないかなって思います。どうかありのままのママ・パパであれ!

お話・監修/HISAKOさん 取材協力/サンクチュアリ出版 取材・文/永井篤美、たまひよONLINE編集部

「SNSやネットにあふれる不確かな情報に翻弄(ほんろう)され、孤独な中で苦しんでいるママ・パパが多い」というHISAKOさん。もし、自分もそうだと感じたら、意識してデジタルデトックスしたり、児童館や子育て広場などリアルにコミュニケーションできる場所に出かけたり、HISAKOさんの育児マインドを取り入れてはどうでしょう。肩の力が抜けて、気持ちが楽になるかもしれません。

HISAKOさん

PROFILE
助産師・看護師。総合病院、産婦人科クリニックを経て2006年大阪市に「助産院ばぶばぶ」を開設。母乳育児の支援、育児相談をメインに大阪市の育児支援訪問、妊婦教室も約15年担当。2020年沖縄県へ移住し、助産院も移転。YouTube「【12人産んだ】助産師HISAKOの子育てチャンネル」のほかブログや講演、性教育の出張授業「いのちの授業」も行う。著作は「5万組を子育て支援して見つけた しない育児」(サンクチュアリ出版)。

【12人産んだ】助産師HISAKOの子育てチャンネル

5万組を子育て支援して見つけた しない育児

HISAKO流子育てアドバイスが満載!「してあげなきゃ」と思いがちな育児の中で「実はしなくていいこと」「するならこっちがおすすめ」を集めた一冊。HISAKO著/1430円(税込み)

●記事の内容は2023年11月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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