睡眠時間が確保できない……ママもぐっすり眠るポイント
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小さいお子さんがいるお母さまは、家事に育児にとやることが盛りだくさんで、ついつい睡眠時間が短くなってしまう……なんてことも多いのではないかと思います。睡眠は睡眠の長さと深さの両方が大切になりますが、時間があまり確保できないお母さまのために、せめて少しでも深くぐっすり眠るポイントをメンタルヘルスに詳しい見波 利幸さんがご紹介します。
見波 利幸
日本メンタルヘルス講師認定協会 代表理事
エディフィストラーニング株式会社 主席研究員
外資系コンピュータメーカーなどを経て、98年に野村総合研究所に入社。一貫してメンタルヘルス領域の研究、対外発表などを行う。メンタルヘルスの黎明期よりいち早くラインケアの1日研修を実施するなど日本のメンタルヘルス研修の草分け的存在。日本産業ストレス学会正会員、日本産業カウンセリング学会正会員、日本産業カウンセラー協会 シニア産業カウンセラー。日本睡眠教育機構 睡眠健康指導士 上級。
http://www.j-mot.or.jp/philosophy/greeting.html
最初に眠りに入るときに一番深い睡眠をとることが大切
人は、浅い睡眠(ノンレム睡眠段階1~2)から深い睡眠(ノンレム睡眠段階3~4)に入り、その後浅い睡眠となって、レム睡眠に移行します。このサイクルを一晩に4~5回繰り返して、覚醒となります。
○ぐっすり眠るにはノンレム睡眠段階4に入る
このサイクルは、徐々に短くなっていき、徐々に浅くなっていきます。そこで、入眠ときの最初のサイクルに一番深いノンレム睡眠段階4に入ることが大切となります。
(一般社団法人日本睡眠教育機構「新睡眠学入門ハンドブック」をもとに作成)
深い睡眠をとるために必要なこと
自律神経は深く睡眠にも影響を及ぼします。自律神経は交感神経と副交感神経があり、日中は様々な活動をしているときは交感神経が高まり、夜は副交感神経が高まることによって入眠のための準備をしていきます。この関係はシーソーのようにできており、副交感神経が高ければ連動して交感神経が低くなります。逆に交感神経が高くなってしまえば、副交感神経は高まりません。
入眠の前に副交感神経を高める
最初のサイクルで睡眠段階4に入るためには、入眠の前にできるだけ副交感神経を高めることが大切です。副交感神経が高まれば、眠気も高まり、入眠しても深い段階に入りやすくなります。簡単に高められるものを挙げてみましょう。
・家族との団らんを楽しむ。
・TVを観たり、好きな曲を聴いたりしてくつろぐ。
・うるっとくるドラマを観る。(涙を流した後に副交感神経が高まる)
・馬鹿笑いできるお笑いを観る。(笑った後に副交感神経が高まる)
・お子さんとの触れ合いをする。
交感神経を高めないようにする
寝る直前に交感神経が高まってしまっては、入眠しにくくなり、入眠しても浅い睡眠に留まってしまうことがあります。直前にしてはいけないものを挙げてみましょう。
・「今日は、あれもこれもできなかった」ことは考えない。
・「明日は、これもあれもやらなければ」と考えない。
・直前の満腹や空腹を避け、3~4時間前にはカフェイン摂取はしない。
・アルコールは睡眠を浅くしてしまう。さらにカフェインとアルコールは利尿作用があるので、トイレのために起きるなど中途覚醒につながってしまう。
・寝る直前は部屋を明るすぎないようにする。
・寝る直前は、ブルーライトを浴びないようにPCやスマホを操作しない。
知っておくと良いポイント
睡眠は副交感神経を高めることで良質の睡眠がとりやすくなりますが、その他にも質の良い睡眠をとるためのポイントがあります。
○睡眠リズムをつくる
できるだけ起きる時間を一定にすることで、睡眠覚醒リズムができて、入眠しやすく深い睡眠が取れやすくなります。
○光を取り入れる
朝起きたら、カーテンを開けて外の自然光を目に入れます。体内時計がリセットされて、14~16時間後に自然に眠気を感じてくるので、うまく利用しましょう。日中も日を浴びることができればさらに効果的です。
○昼寝を取り入れる
20~30分程度でも昼寝はとても効果があります。ただし、長く寝てしまったり、夕方以降に寝てしまったりすると夜の睡眠に影響してしまうので注意が必要です。
運動習慣を身に付ける
運動習慣のある人は不眠になりにくくなります。有酸素運動など適度な運動を心がけるといいでしょう。また、運動した後は精神的な安定も得られ、副交感神経も高まります。運動した日は、入眠しやすい、深い睡眠になりやすい、長く寝られるなど睡眠に対して抜群の効果があります。ただし、お子さんを抱っこする回数が多ければ、それなりに運動していることにもなりますので、疲れがたまっているときや睡眠不足のときには運動を控えることも大切です。
適切な温度の寝具にする
寝ている間、寒すぎたり暑すぎたりすると深い睡眠の妨げになります。人は最初の入眠ときに深部体温が1度低下することにより、ノンレム睡眠段階4に入ります。適温を心がけることで深い睡眠が取りやすくなります。
ぬるめのお風呂にゆったり浸かる
直前の熱いお風呂は交感神経を高めてしまい、寝つきを悪くします。さらに体温低下も起きにくくなりますので注意が必要です。熱いお風呂が好きな方は、寝る2~3時間前に入るといいでしょう。寝る直前の場合は、ぬるめのお風呂にゆったり浸かることで、副交感神経が高まり、スムーズな体温低下も促します。
幸せなひとときを考える
不安なこと、苛立つこと、怒りを感じる出来事などを考えると入眠できなくなります。逆に一番入眠しやすいのが、幸せを感じることです。お子さんがいる幸せ、育てられる幸せ、成長を感じる幸せなどを感じることで入眠しやすくなります。
睡眠の質を高めるにはほんの少し意識し、やりやすいものから実践するだけで、睡眠の質は変わっていきます。お子さんを育てられるというかけがえのない大切な時間を感じる精神的な豊かさが、睡眠には一番大切なことだと思います。
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