元テレ朝アナ・竹内由恵。この夏、自身が1週間の入院を経験。夫や家族と“子育て”をシェアする大切さを知った
元テレビ朝日アナウンサーで、現在はタレントとして活躍する竹内由恵さん。結婚を機に、夫の勤務先である静岡県に移住し、現在は3歳の男の子と1歳の女の子のママに。普段は静岡で暮らしながら、仕事がある日は新幹線で東京まで移動する忙しい日々を送っています。自然豊かな環境に囲まれた地方ならではの子育てのこと、また、これまでで一番大変な時期だったという息子さんのイヤイヤ期について聞きました。
全2回インタビューの前編です。
週3日は東京での仕事のため新幹線で移動。保育園のお迎えまでに帰宅する日々
――2人の子どもたちとの毎日の暮らしについて教えてください。仕事と子育てはどのように両立させていますか?
竹内さん(以下敬称略) 子どもたちは2人とも、同じ保育園に通っています。1歳を迎えたばかりの下の娘も、生後6カ月のときから保育園に少しずつ通わせ始めていたのですが、最近卒乳したのを機に、お兄ちゃんと同じように毎日登園するようになりました。
下の子は夜早くに寝て、朝の5〜6時には起床します。私はその前に起きるようにしていて、自分の身支度や家族の食事を用意していると、そのうち娘が起きてくる感じです。そこからはしばし、娘とコミュニケーションをとれるチャンス。娘との時間を存分に満喫します。息子が起きてくると、娘とゆっくり遊ぶ時間がなかなか取れないので、朝のこの時間だけは娘と一緒に遊ぶ時間と決めています。
そうこうしているうちに息子が起きてくるので、そこからはあっという間に登園の時間という感じ。毎朝、2人を保育園に預けるまでがとにかくバタバタで、1日のうちでもとくに大変な時間なんです。
子どもたちを保育園に預けたら、そこからは仕事モードに切り替えて東京へ。静岡での仕事もありますが、東京での仕事のほうが多いので、週3回ぐらいは新幹線で通っています。
――新幹線で東京まで日帰りするのは、通勤時間も長くて大変ですね。
竹内 通勤時間は長いですが、その間は自分だけの時間。そこで仕事の準備をしたりもできるので、新幹線の中の時間は貴重です。
基本的には、保育園のお迎えまでに間に合うように帰ってきますが、泊まりになってしまう場合や長期で滞在しないといけないときは、子どもたちを連れて東京の私の実家に泊まることもあります。
あとは、子どもたちが熱を出したり、体調を崩してしまうことも多いので、そうなるとすべての予定を組みなおし。病児保育を利用したり、そこに預けられないときは静岡の義理の母にお願いしたりして、周囲の手を借りてなんとか乗りきっている感じです。感謝してもしきれません。
身近な場所に自然がたっぷり。遊び場も豊富な静岡での暮らしを満喫
――週末は家族でどのように過ごしていますか?
竹内 夫は基本的に土日が休みなので、私もできるだけ休みにするようにはしています。週末には家族で公園に行ったり、ピクニックに出かけたりします。子どもたちと一緒に、外で過ごすのがすごく気持ちいいんです。
東京で人気の公園だと、本当に人であふれかえっていますが、静岡県には広くてきれいで、すいている公園が多いんです。近所にある公園でも、わき水が出ていて子どもたちがぱちゃぱちゃと水遊びできたり、カブトムシやクワガタを捕まえたり。静岡では、子どもにとっての遊び場がたくさんあるし、そこでたくさんの自然と触れ合うことができます。ちょっと車で走れば、豊かな森にも行けるんです。
週末は、夫の親族みんなで集まって、義理の母の家で食事をするのも恒例です。子どもたちといとこたちは同じぐらいの年齢なので、「お兄ちゃんたちにはやく会いたい」とよく言っています。大家族に昔からあこがれがあったので、私にとっても楽しい時間なんです。
静岡で暮らし始めて戸惑ったことは、車社会だということ。これまではペーパードライバーだったのですが、静岡は車が移動手段の中心になっているので、車を使ったほうがとても便利。今はもうすっかり慣れて、息子たちの保育園までの送迎も車でしています。
成長と変化が目まぐるしい子どもたちの成長をしっかり見ていたい!
――娘さんは1歳の誕生日を迎えて、最近歩き始めたそうですね!
竹内 このくらいの時期は、1週間でも状況が変わるなど、とにかく変化が目まぐるしいですよね。「今日は昨日よりも歩けるようになったね」とか「ママって言ってくれているような気がする」など、日々成長を感じるので、観察するだけでも面白いです。それに、もっとしっかり観察しなきゃいけないなと感じています。
どうしても上の子がいると、「気づいたらもう1歳になっていた!」という感じで・・・。もっといろいろ見ておけばよかったなということがたくさんあるので、娘と2人だけの時間には、しっかり娘のことを見るようにしています。
最近は、娘の自己主張も強くなってきたので、ちょっと大変ですね。赤ちゃんのときはそんなに自己主張がないので、新幹線に乗って楽に移動もできたし、仕事場に連れて行っても静かに待ってくれていました。でも最近は、「あっちに行きたい」「これで遊びたい!」など自己主張が強くなってきて、何をするにもいちいち時間がかかってしまいます。
――3歳のお兄ちゃんは、下に妹さんが生まれて変化がありましたか?
竹内 息子が1人のときは、親の愛情を一身に受けることができたのに、妹が生まれて、息子は戸惑っていました。反抗期のような感じだったり、言うことを聞かなかったり・・・。
妹が生まれた直後は、ヨシヨシと妹の頭をなでている姿もあったんですが、授乳をしている姿を見るとすねてしまったり、「妹じゃなくて、僕を抱っこして」というようなことを言って、赤ちゃん返りとイヤイヤ期がミックスしているような感じでしたね。
保育園に迎えに行って「もう帰るよ〜」と声をかけても、いつまでも園庭を走っていて、こっちに来てくれないこともありました。保育園の先生に聞くと、「さっきまで普通だったんですけどね」と。私が来た途端に、あえて言うことを聞かないようなしぐさが増えたんです。あとは、車に乗せるだけでも、ものすごく時間がかかることも。今振り返ると、そのころが一番大変だったなと思います。
そのころは、息子は「パパじゃなくてママがいい」という感じだったので、夫に頼むこともなかなかできなかったんです。下の娘は授乳もあって、どうしても私じゃないとダメな時期だったので、私1人で子ども2人を見るような状況が多くなっていました。
――イヤイヤ期は、親子にとっても大きな試練ですよね。
竹内 必死に向き合おうと思っても、息子に何を言っても反抗されてしまって・・・。それが積み重なってしまうと、私もイライラっとして、どこかでパーンと感情がはじけて自分も怒ってしまうことがありました。一度、息子が妹に対して、けっこう乱暴な行動をとったことに対して、息子を強くしかってしまったことがあったんです。ただそのときは、自分のしかり方・怒り方に対して後から反省しました。
そこからは、子どもに対するしかり方はどうしたらいいのかなと、ネットで検索してみたり、保育系インスタグラマーさんなどの投稿で勉強したり、自分なりに調べてみたんです。
子どもをしかるときに、自分の感情を乗せてしまって、イライラっとしてそれをぶつけてしまうのは、絶対によくないと思うんです。ただ、息子ぐらいの年齢であれば、しかればきちんと伝わると思うので、あえてしっかりしかることを最近しています。マナーもそうだし、人に対して痛いこと、嫌なことをしてはいけないなどですね。今でも、しかり方や怒り方の自分の中でのラインみたいなものを試行錯誤しています。
息子が1人のときは、むしろ私も、「息子にはママっ子になってほしい!」ぐらいの気持ちでした。そのころは、「そんなにパパのほうがいいの?」なんて、ヤキモチをやいてしまうほど。ただ、下の子が生まれてからは、私もいっぱいいっぱいになってしまって、「パパのほうに行ってくれるの?やったー、ラッキー!」みたいな(笑)こんな感じで、自分の中でも気持ちの変化がものすごくありました。
この数カ月で、息子のイヤイヤ期や赤ちゃん返りも少しずつ落ち着いてきて、きょうだいで一緒に遊べるような時間も見られるようになりました。ベッドの上で一緒に、ぴょんぴょん跳ねて遊んでみたり。
ただ、悩みがなくなったと言うわけではなくて、この間まで悩んでいたことがなくなった代わりに、また違った悩みが生まれるという感じかもしれないですね。
子どもたちと別々に過ごした1週間で、子育てに対する考え方にも変化
――子育てをしていて、孤独を感じたり、気持ちが沈むなど、ネガティブになることはないですか?
竹内 1人目のときは、そういう感情になることが多かったと思います。息子とずっと向き合って、一瞬たりともこの子を泣かせてはいけないと、すごく気が張っていたんですよね。ずっと息子を抱っこしていたので両手がふさがってしまい、1日中それ以外のことができないなんてことも。こんな日々が続いていくと、「息子はかわいいけれど、でもしんどいな」という状態になってしまうんですよね。
このころは、見えないストレスみたいなものがありました。人ともあまり話せなかったし、テレビのつけっぱなしも、赤ちゃんによくないかな?と避けていました。完全に社会から切り離されていて、家の中では私と子どもだけ。すごく孤独を感じていましたね。コロナ禍ということもあったのですが、そのような状態がしばらく続きました。
長男を出産した当時は、まだ静岡に友だちがいなかったので、子育て中に孤独になってしまった1つの要因でした。ただ、コロナもだんだん落ち着いてきて、子どもが半年を過ぎたころからは、子育て広場などに積極的に行くようにしました。そこで、ママさんたちと話をするのが息抜きになって、その存在はすごくありがたかったですね。
子育ての気分転換は、私の場合は仕事です。仕事があったから、子育ても乗り越えられたかなと思います。仕事仲間と話をするだけでも社会とつながっているような感覚になりました。
――母親になって、竹内さんの考え方や生き方は変わりましたか?
竹内 感情を抑えることは、日々訓練されているような気がしますね。よっぽどのことがない限り人に対して怒りを覚えなくなっているんじゃないかなと思います(笑)。この人にも、きっと何か理由があるんだろうなと、相手の立場に立って考えられるようになったと思います。
あとは、子育てに対する考え方も最近変わってきて、自分だけで責任を負わずともなんとかなるのかなと、少し肩の力が抜けてきたんです。きっかけは、私が1週間ほど入院をしたことです。
当時、息子たちの保育園でコロナやマイコプラズマ肺炎が流行していて、息子のマイコプラズマ肺炎が私に移ってしまっての入院でした。
私の入院中は、夫や親戚、自分の両親に来てもらったりと、家族みんなにサポートしてもらいました。結果的に、子どもたちは「ママは?ママに会いたい」と気にしながらも、それなりに楽しんで過ごせたみたいなので、なんとかなるんだなということも学びましたね。
それまでの私は、子どもたちが生まれてからこれまで、責任みたいなものを肩にしっかり乗せてきたんです。それが、この1週間入院するにあたって「今から私は、すべての責任を下ろして丸投げするんだ」と思うと、なんだか不思議な感覚になりました。
――夫さんは、子どもたちにとってどんなパパですか?
竹内 夫はもともと子どもが大好きで、すごく子煩悩なパパです。積極的に子どもたちと遊ぼうとしてくれるのですが、一緒にいられる時間はやっぱり少ないですよね。
ただ、私が1週間入院したことによって、ちょっと自信をつけたようです。最近は「僕1人でも、2人を夜も見られるよ」と話していました。こうやって、まかせることも大事かなと思いましたね。
これまでは、娘も授乳があったので、育児の主導権は私が握っていたと思いますし、なかなか夫だけに任せることはできなかったんです。でもこれからは、夫と一緒に子育てをシェアしていくことも大切だなと思えるようになりました。
お話・写真提供/竹内由恵さん 取材・文/内田あり(都恋堂)、たまひよONLINE
2人のお子さんを保育園に通わせながら、週に3日は東京まで仕事に通うという忙しい日々。そんな中でも、上の息子さんのイヤイヤ期や赤ちゃん返りとの向き合い方、子どもたちへのしかり方など、子育ての悩みを抱えて過ごしているという竹内さん。
後編では、そんなモヤモヤを消化するために描きはじめたイラスト漫画のこと、初めての書籍『なんとかなるさ!ヨシエのとほほ、くすくす日和』などについて聞きました。
竹内由恵さん(たけうちよしえ)
PROFILE
1986年、東京都生まれ。2008年に慶応大学法学部卒業後、アナウンサーとしてテレビ朝日に入社。『ミュージックステーション』『やべっちF.C.』『報道ステーション』などを担当し、2019年に退社。現在はタレントとして活動。退職後は、夫の勤務地である静岡での暮らしをスタートさせ、2021年に第1子である男の子、2023年には第2子となる女の子を出産。
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年9月の情報で、現在と異なる場合があります。
『なんとかなるさ!ヨシエのとほほ、くすくす日和』
竹内さんが趣味としてSNSに投稿していた「ゆるく、シュールなイラストがほっこりする」と話題になった漫画イラストをまとめた書籍。結婚、退職、妊娠・出産など、一気に押し寄せた人生の岐路をイラスト+エッセイで描いている。竹内由恵著/1650円(祥伝社)