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特効薬がなく命を落とす危険もある「日本脳炎」、じわじわと発症数が微増。ハイリスクの自治体も…【小児科医】

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床の上でクロール赤ちゃん
●写真はイメージです
maruco/gettyimages

「小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」連載の#48は、日本脳炎のワクチン接種についてです。「ここ数年、中部地方や関東地方で日本脳炎の患者が増えています。注意が必要です」と太田先生は言います。

2023年と2024年は中部・関東地方で「日本脳炎」の患者発生の報告が

この連載記事で、2022年12月に、日本脳炎ワクチンは生後6カ月から接種可能という内容のものを配信しました。
その後の患者発生状況の変化に伴い、新たな患者発生リスクの高い地域が増えてきました。
また、ハイリスクとなった自治体では新たな動きも出てきていますので、それもお知らせします。
「日本脳炎」は、日本脳炎ウイルスに感染することで発症し、感染者のおよそ100~1000人に1人の割合で脳炎を発症します。一度発症すると致死的になりうる病気ですが、ワクチン接種による予防が可能です。

ワクチンの標準的接種開始は3歳とされていますが、生後6カ月以降なら定期接種で受けられます。ちなみに、3歳未満での接種開始率(「VPDを知って、子どもを守ろう。の会」調べ)は、全国平均では約10%、東京都も同程度です。
もともと日本脳炎の患者が多かった九州地方では高く、宮崎県では3歳未満での接種開始率が70%以上、2015年に乳児での日本脳炎発症を経験した千葉県では約60%です。
地元の小児科医らが早期開始を呼びかけている地域では、接種率は高くなっています。

日本脳炎、気になること・知りたいことQ&

日本脳炎という病気について、予防できるワクチンについて、よく質問される内容について、Q&Aでまとめます。

Q 最近の患者報告数の推移について教えてください。

A 2022年:5例、2023年:6例、2024年:9例です。その中で中部地方・関東地方在住者が12例。愛知県1例、静岡県2例、東京都1例、千葉県3例、茨城県2例、埼玉県1例、群馬県1例、栃木県1例(※)です。
以前は西日本で発症が多いとされていました。中部地方や関東地方で発症例が出て、3年間で少しずつ増えている理由は明らかではありませんが、気候変動が関係するとしたら今後も同じような現象が起こるかもしれません。地球温暖化のために北に広がるのではないかと予想する専門家もいます。

Q ワクチンが効きますか?

A 接種済みなら最大95%、罹患リスクが減ります。

Q ワクチンはいつ接種すればいいのでしょうか? 

A 第1期は生後6カ月から接種できます。1~4週間隔で2回、2回目の約1年後に3回目を接種します。標準接種は3歳からですが、日本小児科学会では、2016年2月に「最近日本脳炎患者が発生した地域では、生後6カ月から日本脳炎ワクチンの接種を開始することが推奨されます」と、公表しています。

Q どうやって脳炎が発症するのでしょうか?

A 日本脳炎ウイルスを持っている蚊に刺されると発症することがわかっています。人から人にはうつることはありませんが、自分を守るにはワクチン接種が必要です。

Q  蚊に刺されただけで発症するのでしょうか?

A この病気は、蚊に刺されて日本脳炎ウイルスに1000人が感染しても、脳炎を発症するのは1人くらいです。言い換えれば、1人発症者が出たとき、まわりには運のよかった999人がいるということになります。ワクチン接種が済んでいる人は、95%が守られます。999人でいるためにもワクチンを接種しましょう。

Q 脳炎を発症したら、どのような治療が行われるのでしょうか?

A 今でも特効薬はありません。発症者の20%~40%が命を落とし、生存者の45~70%に後遺症が残ります。ワクチンを打っていれば95%が発症しないで済みます。

静岡県では、2023年の患者発症を受け、県内の各自治体に生後6カ月~の早め接種を推奨

静岡県では、患者が発生した2023年に、県が小児科医会と協力して低年齢の患者が出ないために、各自治体に生後6カ月以降に早めの接種をするように働きかけています。県単位での動きは全国初です。残念ながら、2024年にも1人発症報告が出てしまいましたが、早めに対策をしたことで、子どもの発症はおさえられたという見方もできます。
千葉市では市のHPに早期開始もできると、積極的対応を支援する記載がされています。
その他の自治体はまだ積極的な動きは見られていません。

先述もしましたが、日本小児科学会では、「最近日本脳炎患者が発生した地域では、生後6カ月からワクチン接種を介することを推奨する」と、公表しています。これは2015年に千葉県で生後10カ月の乳児患者が発生したのを受けてのものでした。
2023年、2024年に患者報告のあった都・県も同じ状況だと思われます。ワクチン未接種者から患者を出さないためには早めの接種が必要です。
ママ・パパがかかりつけ医に接種をしたほうがいいか相談してはいかがでしょうか。厚生労働省にも確認しましたが、生後6カ月から定期接種で受けられるという制度は、日本中どこの市町村でも対応してもらえます。

文・監修/太田文夫先生  構成/たまひよONLINE編集部 

「ワクチン未接種のまま心配するより、接種を済ませておけば安心して過ごせます」と、太田先生は言います。ワクチンで防げる病気(VPD)から、赤ちゃん・子どもたちを守りましょう。

※患者報告数は、国立感染症研究所・感染症発生動向調査感染症週報(IDWR)より

●記事の内容は2025年1月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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