SHOP

内祝い

  1. トップ
  2. 赤ちゃん・育児
  3. はるな愛「不安で居場所がなかった子ども時代、人とつながれる安心できる場所があったら…」という思いでこども食堂に注力

はるな愛「不安で居場所がなかった子ども時代、人とつながれる安心できる場所があったら…」という思いでこども食堂に注力

更新

タレント活動や飲食店経営、ブランドプロデュースなど、多方面で活躍するはるな愛さん。ここ最近は自身が経営する飲食店で、「こども食堂」を定期的に開催していることでも注目を集めています。はるなさんが「こども食堂」や「子ども支援」にこだわる理由は、ご自身の子ども時代の経験も大きく影響しているそう。詳しく教えてもらいました。全2回インタビューの前編です。

出演するラジオ番組で、子どもたちの貧困問題と「こども食堂」の話を聞いて、「子どもたちのために何かしたい」という気持ちに

――ご自身が経営する飲食店で、「こども食堂」を開催しているそうですが、「こども食堂」をやってみようと思ったきっかけを教えてください。

はるな愛さん(以下敬称略) きっかけは私がレギュラーで出演するラジオ番組でした。文化放送の「大竹まこと ゴールデンラジオ!」という番組なんですが、ゲストに「こども食堂」の支援をしているNPO法人「むすびえ」代表の湯浅誠さんが出演してくださって。世田谷区の貧困家庭や「こども食堂」の実態なども、詳しく教えてくれました。

私、世田谷区って芸能人がたくさん住んでいるようなイメージがあって、貧困な家庭があるなんて思っていなかったんです。私も世田谷区に住んでいて、世田谷区で飲食店なども経営していて。自分が住んでいる街で、そんな問題があることを初めて知ったので、衝撃的だったんですよね。

それで、ラジオの収録が終わったあと、すぐ、湯浅さんに「私も参加させてください!」と言ったのがきっかけです。すぐに私が経営する飲食店の従業員に電話をかけて、「こども食堂をやりたいんだけれど」と相談しました。

――すぐに行動されたんですね。「こども食堂」を開催するまでに大変だったことはありますか?

はるな はい、すぐ行動しました。でも、従業員から店舗のスタッフたちにも相談してもらうと、「それって、休みの日にやるんですか?」「その分の時給って?」という声があって。私が思っていたのとはちょっと違う反応でした。「子どもたちに提供した食事で、もし、食中毒が起こってしまったら…」とか、ネガティブな意見も出てくるんですよね。「でも、それは、『こども食堂』にかかわらず、お店として食中毒は絶対気をつけないといけないことやから…」って話をして。私はどうしても、スタッフのみんなにも理解してもらって、子どもたちのためにやりたいな…と思っていたので、「挙げ始めたら不安要素は出てくるけれど、まずは1度やってみない?」と提案して、挑戦してみることになりました。

それで、当時、世田谷区の三軒茶屋にあったお好み焼き屋「大三」で、近くの養護施設の子どもたちを迎え入れて、「こども食堂」を開催してみたんです。20人くらいの子どもたちが来てくれて、お好み焼きを提供し、食べてもらいました。その日、私は仕事の都合で参加できず、開催後にスタッフたちに様子を聞いたんですが、「子どもたちが喜んでくれて、やってよかった。またやらないと!」と、みんなの気持ちも変わっていて。

さらに、後日、「こども食堂」に来てくれた子どもたちからお手紙も届いたんです。「おいしかったです」「大阪のお好み焼きを初めて食べました!」と喜んでくれていて。
そのお手紙を見たときに、スタッフたちみんなが、「これは続けないといけないですね」と言っていて、みんなも同じ気持ちになってくれた~!とうれしくなりました。

軌道に乗ったと思ったら、コロナ下で開催ができなくなり、もどかしい気持ちに

三軒茶屋の「たこはる」での「こども食堂」の案内。たこの絵を描いてくれた子ども、そして大人にも、たこ焼きを無料で提供しているそう

――1回目が成功して、そこから定期的に「こども食堂」を開催されるようになったんですか?

はるな 月に1回、「こども食堂」を開催するようになりました。当時三軒茶屋で営業していた「大三」は、2階建ての古民家を店舗にしていたので、広いお座敷もあったから、たくさんの人が集まるにはちょうどいいお店で。「こども食堂」の開催をきっかけに、地域の学校のPTAの集まりなんかにも使ってもらえるようになっていました。

さらに、私が「『こども食堂』をやっている」といろいろなところで話すことで、三軒茶屋のほかの飲食店の人が「うちも一緒にやってみたい」と言ってくださったり、ボードゲーム屋さんが「子どもたちのために何かできないかな?」と言ってくださったり。どんどん地域の輪が広がっていったんです。それまでもご近所づきあいはあったけれど、これまでとはまた違うコミュニティーが広がって、大げさかもしれないけれど、「こども食堂」がきっかけで、街がつながっていくような…そんな気持ちになりました。

でも、そのあとに、新型コロナウィルスの流行が始まってしまって。当時は、「外出自粛要請」が出て、飲食店に行くことや、大人数で集うことがよくないとなってしまい…。私は、「こども食堂」って、本来はどこにも居場所がない子どもたちのためのものだから、そういうときにこそ必要なものだと思うんですよね。だから、なんとか開催したかったんです。

ただ、悲しいことに、私は芸能人ということで、自粛をしないことで注目を集めたり、批判されてしまうリスクもあるわけで。スタッフからも「今は人を集めるのはやめておきましょう」と言われてしまって。本当に残念ですが、コロナ下のときは開催を諦めました。「月1回でも止めるの嫌だな」「子どもたち、みんな元気かな…」と心配しながら、何かできないものかと模索していました。

そんなとき、今度は、「大三」の大家さんから、「飲食店は不安定だから、マンション経営に変えたい」と立ち退きの要請が出てしまって…。それで、店舗を同じ世田谷区の八幡山に移転したんです。コロナの状況が落ち着いてからは、月に1回、「こども食堂」を開催しています。

――コロナ下では大変なことが続き、苦労されましたね。

はるな そうですね。コロナ下のときは、大変でしたね。でも、できることはやりたい…という気持ちもあって。当時、私は、三軒茶屋でカラオケバーも経営していたんですが、コロナ下では「飛沫(ひまつ)感染」がとくに多いということだったので、カラオケバーをやめて、お持ち帰りもできるたこ焼き屋に変えたんです。それで、たこ焼き屋でもお持ち帰りの「こども食堂」を始めることに。せっかくなら、何か楽しいことを…と思って、たこの絵を描いてもらって、たこ焼きをプレゼントすることにしました。子どもだけでなく、大人にも!「たこはる」ってお店で、今は一時休業中なんですが、また再開する予定です。

コロナ下のクリスマスのころには、「むすびえ」の湯浅さんに「子どもたちのために何かしたいです!」と相談して、イオンさんの提供でレトルト1万食を用意してもらい、全国の「こども食堂」を通じて子どもたちに配布する“緊急サンタアクション”の取り組みに参加しました。

ほかにも、全国の「こども食堂」の皆さんと“Zoom”でつながって話すというイベントも開催しました。「コロナ下でも対策をしっかりして、子どもたちに集まってもらっています」という話など、全国の「こども食堂」がコロナ下でも工夫しながら頑張っている様子を聞けて。感染症対策をしっかりして、クラスターを恐れずに続けているという皆さんには、本当に頭が下がりました。

全国の「こども食堂」の取り組みからヒントを得て、いろいろ挑戦しています

三軒茶屋にある、セレクトショップ「KOTOBUKI」の「子育て支援コーナー」

――今は定期的に開催しているということですが、「こども食堂」を続けてきてよかったと思ったエピソードなども教えてください。

はるな 毎回ではありませんが、私も都合がつけば顔を出すこともあるんです。いつも来ている子どもが、私に駆け寄ってきてくれて、「愛ちゃん、ぼくね、大きくなったらここで働いて、『こども食堂』をする!」って言ってくれたんですよ。「えー!ありがとう!」ってすごくうれしくなりました。子どもがここで働きたいって思ってくれたこともそうですし、「こども食堂」をやりたいって言ってくれたことも。「『こども食堂』をやっていてよかった」と思った瞬間でした。

そうそう、私が「こども食堂」を始めたら、私の母も、「(居住地の)奈良にも『こども食堂』があるらしいんよ」と興味を持つようになって。今ではその「こども食堂」に、月に1回、お手伝いに行っているんですよ。母は開催がある日は、「今日は『こども食堂』やで!」ってウキウキしていて、「こども食堂」に行くことが生きがいになっているような感じ。私も1回、お邪魔して一緒にお手伝いさせてもらったんですが、地域のお母さんたちが集まっていて、子どもたちからお年寄りまで利用していて、みんなが開催を楽しみにしている様子が伝わってきて、とてもいい空間だなぁと思いました。

私自身も全国の「こども食堂」の取り組みから、ヒントを得ることで、いろいろ挑戦するきっかけにもなっていて。大分の「こども食堂」をやっているカフェの一角では、使わなくなったおもちゃやベビーグッズ、サイズアウトした洋服や未使用のおむつを集めて、「必要な人はどうぞ」って置いているんですよ。困っている人、ほしい人は、無料でもらえるんです。そのアイデアがすてきだなって思って、私が経営しているアパレルのセレクトショップでも同じような「子育て支援コーナー」をつくりました。そのアパレルショップは残念ながらもう閉店するかもしれないんですが、今後はポップアップイベントなんかでも、困っている人の支援につながるようなことができたらいいな…って思っています。

資金はほぼ自己負担。自分の子ども時代に「こども食堂」があったら…という思いから、子どもたちのためにずっと続けていきたい

自身がプロデュースする着物ブランド「haruno」の着物を着用した、はるな愛さん

――いろいろな取り組みをされているんですね。そういった資金はどうしているんでしょうか?

はるな ほとんど私の自己負担です。でも、ときどき、お店のお客さまから「ぜひ使って」とご支援していただくこともあります。お店に募金箱も置いています。私もイベント出演などでご祝儀や謝礼のようなものをいただいたら、「こども食堂」のほうに回すと決めていて。それでも、全然たりないんですが、私は資金集めとかがあまり得意ではなく…。

あるとき、私がこども食堂を開催しているという記事を見たというタレントの東野幸治さんが、「『こども食堂』の記事を見たよ。これ、何かに使って」と3万円をくださったことも。そのときは、ありがたく、「東野幸治DAY」とさせていただきました(笑)。

――ほぼ自己負担なんですね。「こども食堂」のように、子どもたちの支援をしたいと思ったのには、何か理由が?

はるな もともと子どもが好きというのもあるんですが、私自身の幼少期のことも影響しています。うちは私が子どものころ、スナックをやっていたんです。スナックを始める前は貧乏だったし、始めてからも商売だから波があって。家族で夕食を食べるなんてことも中学生くらいのときはなかったし、すごく温かい家庭かといえばそうでなかったんですよね。それに、なんといっても、私は自分の性に対してすごく悩んでいた時期もあって、「自分はどういうもので、これからどうなるんだろう…」と、常に不安に感じていました。

学校に行くといじめられるから、行きたくないし…。家の近くにおばあちゃんが住む団地があって、そこで過ごすことが多かったんですが、学校にも家にも自分の居場所がなくて、おばあちゃんの家のだれもいない部屋に1人でいると孤独で…。

でも、当時の大阪って、近所のおばちゃんが「芋(いも)吹かしたから食べ~」って食べさせてくれたり、町内の駐車場でおばあちゃんたちが集まっておしゃべりしていて、通りかかると気にかけてかまってくれて…ということもあったので、それがとても温かく感じたんですよね。

「こども食堂」って、子どもにとって安心できる居場所があるうえに、いろいろな大人とかかわることができるのも魅力。そこでのかかわりで、将来の選択肢のヒントとなるような考えが見つかることもあるんじゃないかな…と思うんです。だから、私が子どものころ、「こども食堂」があったらよかったのになぁって。

今の世の中って、インターネットが普及して、情報であふれていますよね。選択肢は多いけれど、フェイクニュースや悪いニュースもあって、悪い誘いもたくさんあるから、見極めが必要。子どもだけに判断をゆだねるのは怖いと思っています。相談できる大人が身近にいたほうが、絶対いい。

それに、人とかかわること、人と触れることで感じる熱量とか、やさしさとか。それを受け取ることって、スマホやパソコンの画面からは受け取れないものだと思うんですよ。

なので、子どもたちには、インターネット上だけでなく、自分の目で見て、人とのつながりが大切だということを感じてほしいな…という思いがあります。そのためにも、「こども食堂」とか、フリースクールとか、学校以外でも子どもたちが自分らしくいられて、安心して人とかかわれるような居場所が増えてほしい。そして、自分がいちばん自分らしくいられる場所を選べるよう、選択肢が多いといいな…って。そんな思いからも、私はこれからも「こども食堂」を続けていきたいと思っています。

お話・写真提供/はるな愛さん 取材・文/渡辺有紀子、たまひよONLINE編集部

▼続きを読む<関連記事>後編

「自分の子ども時代に『こども食堂』があったら…」と、子ども時代に抱えていた悩みや孤独を語ってくれた、はるな愛さん。これからも、子どもたちが安心して大人とかかわれる場所を提供していきたい…とお話をしてくれました。後編では、はるなさんがボランティア活動を始めるようになったきっかけやその思い、また、子育て中のママ・パパへの応援メッセージもいただいたので、ぜひ、そちらもご覧ください。

はるな愛さん(はるな あい)

PROFILE
1972年生まれ。大阪府出身。2007年、アイドル松浦亜弥さんを口パクで完コピする“エアあやや”でブレイクし、以後、バラエティー番組に多数出演。2009年「ミスインターナショナルクイーン」優勝。タレント活動をしながら、鉄板焼やたこ焼きの飲食店5店舗の経営も行い、現在は「こども食堂」の開催や、被災地の支援などのボランティア活動も積極的に行っている。

はるな愛さんのInstagram

はるな愛さんのX(旧Twitter)

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●掲載している情報は2025年2月現在のものです。

赤ちゃん・育児の人気記事ランキング
関連記事
赤ちゃん・育児の人気テーマ
新着記事
ABJマーク 11091000

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第11091000号)です。 ABJマークの詳細、ABJマークを掲示しているサービスの一覧はこちら→ https://aebs.or.jp/

本サイトに掲載されている記事・写真・イラスト等のコンテンツの無断転載を禁じます。