育児中の体と心のリラックスに、フィトテラピー(植物療法)を試してみませんか!?
日々育児で多忙なママたち。「疲れがとれない…」「気持ちが落ち込む」「お肌がカサカサする」など、何となく不調なときには、植物の力を借りて元気になるフィトテラピー(植物療法)を試してみては? 植物油やハーブティー、エッセンシャルオイルを用いた簡単ケアについて、植物療法士の森田敦子さんに教えていただきました。
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気持ちが落ち込み、イライラするときはセントジョーンズワートを
産後はホルモンバランスが大きく変動したところに育児疲れが重なって、情緒不安定になりやすい時期。そんなとき、手軽にできるセルフケア法がフィトテラピーです。
「育児中に試してみる方法としては、ハーブティーやハーブチンキなどの浸出液がおすすめです。気持ちが落ち込んだときには、ストレス緩和作用があって、サンシャインハーブと呼ばれるセントジョーンズワートや、ホルモンを調整して気持ちを明るくしてくれるメリッサがいいでしょう。母乳を通して赤ちゃんに影響する心配がないので、授乳中も安心して飲むことができます。また、風邪などの感染症対策のために、免疫力アップをサポートしてくれるエキナセアも常備しておくと安心です」(森田さん)
リラックスにはアロママッサージ、肌の保湿には‟よもぎ葉”のおふろがGOOD
育児中は自分のケアまで手がまわりにくいですが、ちょっとしたすき間時間にリラックスタイムを持つだけで、疲れを蓄積しにくくなるもの。
「ティースプーン1杯分のマッサージオイルに、ゆずやラベンダーなどのエッセンシャルオイル(精油)を1滴落とし、そのオイルで首筋~デコルテ付近を軽くマッサージ。残ったオイル分は両手にのばしてササっとハンドマッサージしましょう。首筋や両手から立ち上る精油の香りなどにより、リラックス効果が期待できます。また、肌の乾燥が気になるときは、漢方薬局で購入できる乾燥よもぎ葉(艾葉・がいよう)をお茶用パックに詰め、おふろに入る1時間前に湯船にいれておいて。よもぎ葉は肌にやさしく、赤ちゃんのおむつかぶれや脂漏性湿疹にもおすすめです」
フィトテラピーの本場フランスでは、腟まわりのケアがあたりまえ
森田さんによると、最近、人知れず腟まわりの乾燥や萎縮(いしゅく)に悩む人が増えているのだそうです。
「もともとは更年期以降の悩みとして知られていたのですが、今やセックスレスが増えている時代。20~30代の女性の腟も乾燥している傾向にあります。
私が薬草学を学んだフランスでは、腟まわりのケアは女性のたしなみと考えられており、20数年前の留学当初は目からウロコが落ちる思いでした。
かつての日本では、‟腟は月経時に出血する不浄なもの”とみなされていましたし、‟腟について語るのは恥ずかしい”というイメージが今でもありますよね。でも、フランスでは、‟腟は赤ちゃんを生み出すサンクチュアリ(聖域)”と考えられていて、赤ちゃんを産んだ後も男女のセクシュアリティーを大切にします。そして、多くの女性が‟産前よりもいい腟でいたい”という意識を持っています」
産後は腟が乾燥しやすい時期です
産後はホルモンバランスの影響で、男性を寄せつけたくない気分になる人が多いもの。同時に、ホルモンの影響で肌や腟まわりもカサカサしやすい時期です。
「腟の老化は、見た目の若さと比例します。腟の若さと潤いを維持するためにも、入浴後に専用のオイルを使ったオイルマッサージを試してみましょう。
フランスでは、腟まわりになじみやすいのは、“種子”が原料の植物油とされていて、アプリコットカーネル油やマンゴー種子油、グレープシード油などの入ったマッサージオイルがすすめられています」
デリケートゾーンのマッサージで、産後うつの予防サポートも
「産後にうつっぽくなったとき、腟まわりをマッサージすることで、不安や孤独などのネガティブな感情を取り除きやすくなると考えられています。
本来は腟の中に指を入れてマッサージしますが、『指を入れるのがこわい』と感じる場合は、大陰唇、小陰唇など、くすっぐったいと感じるデリケートゾーンを指の腹でやさしくマッサージするだけでOK。‟くすぐったい感覚”が脳下垂体を刺激し、β-エンドルフィンと呼ばれる幸福ホルモンの分泌を促すと言われます。慣れてきたら、指の先端をちょっぴり腟内に入れることができるといいですね。指の第1関節か第2関節まで入れてマッサージすると、腟の血行がよくなり、粘液が出やすくなるんです」
腟内が粘液で潤っていると、腟壁に弾力やハリが出るのだそう。ただ、やりすぎるとトラブルにつながることもあるそうなので気をつけましょう。
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育児疲れや産後のブルーな気持ちなど、何となく不調を感じたときは、心と体のリラックスを意識することが大事。ママのリラックスは赤ちゃんにも伝わります。植物の力を借りて、自分に合う方法を試してみてくださいね。(取材・文/大石久恵、ひよこクラブ編集部)
■監修/森田敦子さん
フィトテラピスト(植物療法士)。フランス国立パリ13大学で植物薬理学を本格的に学ぶ。植物療法専門校「ルボア フィトテラピースクール」主宰。腟まわりのケアなどを取り上げた最新刊『潤うからだ』(ワニブックス)は、幅広い年齢の女性の間で話題に。女性のためのケアブランド「アンティーム オーガニック」や妊娠中でも使えるライン「インティメール」では製品開発も手がけている。