ママ友ドクターに聞く、発達特性に合わせたトイレトレーニング。「あせらない、責めない、比べない」がコツ
2男1女を育てる母親であり、診察室やSNSやオンラインスクール、コミュニティで、親たちへさまざまなアドバイスをしている“ママ友ドクター®ゆみ先生”こと西村佑美先生。「ママ小児科医がすすめる ポジティブ育児」連載の7回目は、先生も悩んだというトイレトレーニングについてです。
「医師の私も悩んだ」、言葉の遅れがある子のトイレトレーニング
皆さん、こんにちは。3人の子育て中の小児科医・ママ友ドクター®ゆみ先生こと西村佑美です。トイレトレーニング(以下、トイトレ)は夏がおすすめと聞いていたけれど、うまくいかずに冬になってしまったという方、安心してください。子どもの発達と心の成長を専門とする小児科医として断言します。トイトレは個人差があり、その子によってうまくいく時期や季節はさまざまです。ただ、あせることは絶対によくないんです。
私自身も、自分の子どものトイレトレーニングでは本当に悩みました。とくに長男のときは、「たまひよ」や「こどもちゃれんじ」の記事を参考にしながら四苦八苦しました。
一般的には2歳過ぎから、尿の間隔が2時間程度になり「ちっち」と自分の尿意を訴えるようになったらトイレに連れて行く練習をしましょう、というのがセオリーです。でもここに、大きな落とし穴があるんです。みんな「おしっこを訴えるようになったら始める」と思い込みがちですが、実は「おしっこ」を訴えることなく、トイレができるようになっちゃう子もいるんです!
わが家の長男は言葉の遅れがありました。でも発語に遅れがあるからといって理解力が遅いわけではない。トイレでするということも理解していました。でも言葉で表現できないから、私も「まだ早いか」と後回しにしてしまったんです。
すると困ったことが起こりました。2歳、3歳になると知恵がついてきます。話せるようになったけど「おしっこ行きたい」と言いません。というのも「おしっこ行きたいな」と思っても、今見ているテレビや遊びを中断してまでトイレに行くのは面倒くさい。ちょっと我慢すれば遊びを続けられる・・・、子どもにとって、おむつで排せつするほうが「得」になってしまったんです!
そのうち、勝手におしっこに行くようになりました。そして今でも忘れられないのが、長男が初めてトイレでうんちをした日。それはなんと、私が二男→長女を出産した日でした。陣痛に耐えて無事出産して休んでいるころ、実家の母から写真が送られてきました。タブレットを持ちながらトイレに座って満面の笑みでピースをしている長男、このとき3歳6カ月でした。ついにうんちもできるようになった!!と、その瞬間を見届けられなかった寂しさと安堵を覚えました。
トイトレは3歳を過ぎたら作戦変更!モチベーションアップの工夫を
3歳過ぎても昼のおむつがはずれていない場合、「面倒くさいけど、トイレに行こうかな」と、子どもが思える工夫が必要です。知恵がついた子どもは、遊びを中断してまでトイレに行くメリットを感じないからです。
基本は時間を決めて連れて行くこと。ごはんの前、おふろの前、お出かけの前、寝る前。あるいは食後90分後など、排尿パターンを把握してそのタイミングで連れて行きます。
小さいうちは「シール貼りに行こう」「座ったら1枚、できたら5枚」が効きます。でも3歳前後になるともっと魅力的な「ごほうび」が必要です。トイレでしか遊べないおもちゃを置く、成功したら特別な動画タイム、トイレに座っている間は動画OKなど、モチベーションを上げる工夫をします。
ただし、最初からごほうびを大きくしすぎないこと。まず一般的な方法を試し、ダメなら少しずつグレードアップさせていくのがポイントです。
大事なのは、うまくいったときにめちゃくちゃほめること。偶然でも成功体験につながれば「次もやろう」という気持ちになります。
一方で失敗しても全然構いません。トレーニングパンツを履かせても結局もらして、洗濯物の山にため息が出たことが私もあります。スーパーでうんちのおもらしをされたときは、大好きなウルトラマン柄のパンツごと処分したことも。イライラするのはよくわかります。でも、子どもを責めてしまうと本当にうまくいかなくなります。
失敗しても「まあいっか」と自分に言い続けて淡々と処理するのがいいでしょう。おもらしなんてなかったかのようにふるまう。それでも無言が気まずくて何か言いたくなったら「次があるさ!」と気楽に声をかける。これが本当に大事です。
もし過去におもらしをきつくしかってしまったなど、子どもが必要以上に落ち込んでしまったなどのエピソードがあると、子どもは失敗を怖がり、トイトレが停滞しがちです。このように、トラウマができてしまった場合は、ウルトラスモールステップ作戦で進めましょう!
まずトイレのある廊下でおむつを替える。次はトイレの前で。その次はトイレの中でおむつを替えつつ、便座に少しずつ慣れていく。その次は、おむつがぬれる前にトイレに座ってみる。ちょっとでも座れたら「やったー!」とほめる。本当にこまかくステップを分けることで、チャレンジしやすく達成感も得られやすいです。
うんちは5歳までおむつでもOK!?おねしょは?親の心構えが一番大切
医学的事実をお伝えします。昼間のおむつは3~4歳でとれるとされています。うんちに関しては5歳までおむつがはずれなくても正常範囲です。おねしょも5~6歳までは十分あり得ます。旅行のときなどは無理しなくていい、と私は思っています。
子ども自身がその状態を「嫌だな」と感じるようになると、自然とトイレでしようという気持ちになります。だから本当にあせらないでください。
冬の今の時期、「4月の入園までに」とあせっているお母さんも多いでしょう。まず環境を整えましょう。トイレに足台を置く、楽しい雰囲気にする。一歩進んでトイレを子ども部屋のように楽しい場所にしてもOK!
私が主宰する「子ども発達相談アカデミーVARY」で相談を受けたお母さんたちのアイデアをいくつか紹介します。
・トイレを「宝探しの場所」にして、成功したら100均の宝箱からおもちゃを選べる
・天井に光る星のシールを貼って「プラネタリウムトイレ」に
・壁を好きなキャラクターで埋めつくす
とくに発達特性がある子は真面目で感受性も豊かなので、一度失敗するとものすごく落ち込んだり、トイレ自体が怖くなったりします。
だからこそ親の心構えが大切。「失敗しても大丈夫」「いつかは必ずできる」という気持ちをもつこと。子どもは親のあせりを敏感に感じ取ります。親がリラックスすれば子どももリラックスできます。
私も長男のトイトレで苦労しましたが、今振り返ると、あのあせりは何だったんだろうと思います。ちなみにトイレで用を足す長男を見て育った妹・弟は、保育園で少し学ぶとすぐできるようになりました、こんなにトイトレ楽な子たちもいるんだ・・・、とビックリしました。
最後に、同じように悩んでいるお母さんたちへ。トイレトレーニングに「普通」なんてありません。早い子は1歳代ではずれるし、遅い子は5歳でも大丈夫。
医師として、そして3人の子を育てる母として断言します。あせらない、責めない、比べない。これが本当に大切です。子どもの笑顔を守りながら、その子なりのペースで進んでいけばいい。いつか必ず、おむつははずれます。ただし、小学校に入学するころになってもおねしょが続く場合や、昼間のおもらしや、排尿回数が極端に少ない/多い場合、本人がおねしょを気にしている場合など、何らかの病気や疾患が隠れていることもあります。気になるときはぜひ、小児科医に相談してください。
私も「たまひよ」の先輩ママの記事に救われました。今度は、この記事がだれかの「大丈夫、小児科医だって苦労するんだ!」という安心感につながればうれしいです。
子育ては親子で成長する大切な時間。楽しみながら、ゆっくり進んでいきましょう。
文・写真提供・監修/西村佑美先生 構成/たまひよONLINE編集部
入園などが決まると気になってくる「トイレトレーニング」。発達に特性がある子も、そうでない子も、子どもそれぞれにペース・タイミングがあるとのこと。「あせらない、責めない、比べない」という西村先生のアドバイスを参考に、すすめたいものですね。西村佑美先生の連載は、今回が最終回になります。
【参考文献】
・日本小児科学会「トイレットトレーニングに関する指針」(2019)→削除してください
・日本小児泌尿器科学会「幼小児の昼間尿失禁の診療とケアの手引き」
・日本夜尿症・尿失禁学会「夜尿症診療ガイドライン2021」
●記事の内容は2026年1月の情報で、現在と異なる場合があります。


SHOP
内祝い
