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インフルエンザの流行スタート!2025年の秋冬、家族を感染症から守るために、どうすればいい?ママ友ドクターに聞く

更新

“ママ友ドクター®ゆみ先生”こと西村佑美先生。2男1女を育てる母親であり、診察室やSNSやオンラインスクール、コミュニティで、親たちへさまざまなアドバイスをしています。先生が実践していたことをベースに教えてもらう連載「ママ小児科医がすすめる ポジティブ育児」の6回目です。インフルエンザの流行についても報道されていますが、西村先生は「今年は早めの流行に注意。家族を感染症から守るために予防対策をしっかりと」と話します。

2025年秋冬、どんな感染症に注意すべき?

長男8歳、長女4歳、二男0歳。2024年、冬の外遊びの様子です。

2025年9月の時点で、すでにインフルエンザやRSウイルス感染症の流行が始まっています。例年より早い立ち上がりで、東京都や沖縄県などでは「流行入り」の注意報レベルの基準を超える患者が出ています。
「先生、お子さん3人もいて、風邪の予防ってどうしてるんですか?」
と、診察室でよく聞かれます。わが家でもだれかが熱を出すと、感染が広がらないよう臨戦態勢に入ります。そんな私の小児科医兼3児の母として行う風邪予防&対策術をお伝えします。

そもそも「風邪」って何?

長男1歳のころ。はいはいをしながら元気に公園で遊んでいます。

まず、予防の話の前に、「風邪」について知っておきましょう。「風邪」って、実は正式な病名ではないんです。「風邪」とは、200種類以上のウイルスによる上気道感染症の総称で、鼻やのどにウイルスが感染して起こる症状の集まりを「風邪」と呼んでいるんです。
抗菌薬(抗生物質)は「細菌」には効くけれど、風邪の原因の「ウイルス」にはまったく効果がありません。
つまり、いわゆる「風邪」に抗菌薬を飲んでも意味がありません。「でも前に風邪で抗生物質もらったことあるよ?」と思う方もいるかもしれません。確かに、ひと昔前、つまり肺炎球菌などの細菌感染を防ぐワクチンが普及する前の時代は、抗菌薬を子どもに処方する機会は多かったのです。今でも、場合によっては細菌による二次感染の予防や治療のために処方されることもありますが、風邪のウイルス自体をやっつけるためではないんです。

鼻水・熱・せきは、体が頑張っている証拠!

長男1歳のとき。高熱が何日も続き食事がとれなくなり、脱水の診断で入院しました。

お子さんが風邪をひくと、鼻水ダラダラ、熱が出る、せき込む・・・。見ているのはつらいですよね。でも実は、これらの症状は「悪いこと」ではなく、体がウイルスと戦っている証拠です。

【鼻水は?】 ウイルスを洗い流そうとする反応
【発熱は?】 体温を上げてウイルスが増えにくい環境をつくっている
【せきは?】 のどや気管についたウイルスを外に追い出している

つまり、お子さんの体の中では、免疫細胞たちが必死にウイルスと戦ってくれているんです。
そして、風邪をひいて数日経つと、透明だった鼻水が黄色や薄い緑色っぽくなりますよね。多くの場合これは、「免疫細胞たちが勝った!」というサインなんです。

濃い色の鼻水の正体は・・・
・やっつけられたウイルスの残がい
・戦い終わった白血球(免疫細胞)たち
・はがれ落ちた粘膜の細胞
なんです。つまり、「戦いの痕跡」。お子さんの免疫細胞たちが見事にウイルスをやっつけてくれた証拠。だから、鼻水の色が濃くなってそれがのどにからんでせき込んでも、熱が下がっていれば「よく戦ったね!」と私はわが子をいつも誇らしく思っています。
もちろん、高熱が続く、呼吸が苦しそう、ぐったりしているなどの場合は、無理せず受診を。でも、回復傾向なら「体が正常に働いている」経過と前向きに捉えましょう。

風邪をひいたとき、本当に必要な3つのこと

長男3歳のとき。肺炎で入院も経験。

風邪には特効薬はないからこそ、自分の子どもたちが風邪をひいたら、私は医師として子どもの免疫力が最大限に働けるようサポートしています・・・、といっても特別なことはありません。

【1】 しっかり休む(睡眠) こと
免疫細胞は睡眠中に活発に働きます。「寝る子は育つ」だけでなく、「寝る子は治る」んです。
【2】 栄養をとること
食欲があれば、消化のいいものを。無理に食べさせる必要はないけれど、果物やおかゆなど、食べられるものを少しずつ食べさせましょう。
【3】 水分補給をすること
熱で汗をかくので、こまめな水分補給を。母乳、ミルク、お茶、経口補水液など。糖分と塩分量が調節してある経口補水液は点滴と同じ効果が期待できます。

小児科医ママが実践している「風邪予防」とは?

長男8歳、二男0歳のころ。「寝る子は育つ」、そして、「寝る子は治る」。睡眠の確保を。二男のほっぺの赤い発疹は、離乳食かぶれです。

できることなら予防していきたい「風邪」。私が実践してることをお伝えします。基本的なことが大切なんです。

【1】家族みんなの手洗いを徹底すること
・帰宅後すぐに。石けんがないときは流水で20秒以上流すこと
・赤ちゃんがいる家庭では「赤ちゃんに触れる前の儀式」として手洗いの習慣化が大切
・手洗いは楽しく続けられる視覚的工夫も。もちろんほめることも大切
【2】室内環境を整えること
・湿度50〜60%を保つ(乾燥すると粘膜の防御機能が低下)
・換気をする(理想は1時間に2回ほど5分ずつ)
【3】食事・睡眠をしっかりとること
・たくさん遊んだ日はたっぷり寝かせる(免疫力の発揮は体力がカギ)
・粘膜の防御力がUPする、ビタミンCを意識した食事を
【4】マスクを着用する(5歳未満は無理に使わない)
・最初は短時間から
・子ども自身に選ばせる
・未就園児は息苦しくなることがあるので基本不要
・感覚過敏でマスクが苦手な場合は、無理強いしないで工夫を

ちなみに、インフルエンザはワクチン接種での予防も期待できますが、「注射が苦手」というお子さんも少なくありません。ワクチン接種をどういう目的で行うのか、病院で何をするのか動画などを見せながらきちんと説明してあげると、多くの場合頑張ってくれます。
また、インフルエンザワクチンは、鼻から投与するフルミストという痛くないワクチンも新しく出ています。

きょうだい間の感染を防ぐ5つのコツ

長男8歳、二男0歳。公園でシャボン玉遊びを。

わが家の3人の子どもたちは、一番上と一番下で7歳差。だれかが風邪をひくと感染予防作戦が始まります。といっても難しいことはしてません、いくつかご紹介します。

【1】飛沫接触感染対策として食器・タオルの共有を避ける
【2】「ちょっと風邪っぽいかな?」と思ったら、みんなで早めに寝る
【3】食事や寝室を可能な範囲で分ける
【4】家庭内でも体調不良の人がいたら数日はマスク着用
【5】食事の時間をずらす、対面を避けて座る、寝る場所を離すなど、 きょうだい間の「いつもの接触」を一時的に調整
【6】嘔吐・ 下痢があるときは、共有スペースだけでも頻繁にアルコールや塩素系消毒剤でふく

発達特性がある子の風邪予防、マスク・手洗いの工夫とは?

人混みを避ければ、マスクを長時間しなくても楽しく過ごせます。風邪は人の飛沫から移るもの。

感覚過敏があってマスクの着用が着用が難しい場合は工夫をしてみましょう。でも、WHO(世界保健機構)も「発達特性のある子にマスク使用を強制すべきではない」としているので無理強いはしなくて大丈夫。ほかにも体が冷えないために服装も工夫したいですね。

【マスクが苦手な場合】
・本人と一緒に素材や形を選ぶ(不織布、布、シルクなど)
・耳が痛くならないタイプを試す
・無理強いせず、短時間から慣らして「頑張って着けたね」とほめる
忘れっぽいという特性がある子は手洗いそのものを忘れてしまうこともしばしばでしょう。「忘れるのはダメ」としかるのではなく、「思い出せるしくみ」を作ることが大切です。
【手洗いを思い出す、視覚的なリマインダー】
・玄関に「手洗いステッカー」を貼る
・タイマーやアラーム機能を活用
・スタンプカードで達成感
【手洗いの手順の明確化】
・「きちんと洗って」は抽象的でわかりにくい
・写真付きの手順表を洗面所に貼る
・タイマーで「20秒」と具体的に示す
【手洗いの環境を整えるポイント】
・踏み台で届きやすく
・使いたくなる香りの石けん、泡で出るのがおすすめ
・水温を調整する(冷たすぎると嫌がる子も)

たとえば玄関に大きな手のマークを貼っておくと、帰宅するたび、その手のマークをタッチして「あ、手洗いだ!」と思い出してくれます。

文・写真提供/西村佑美先生 構成/たまひよONLINE編集部

風邪予防で一番大切なのは「続けられること」だと西村先生は言います。「私は長男が赤ちゃんのとき、加湿器を使いすぎて部屋の壁にカビを生やしてしまったことがあります!快適空間を目指して完璧を目指さず『できることから継続』が大切です」だそう。 小児科医の西村先生から教えてもらった「小さな工夫の積み重ね」を続けて、家族を感染症から守りましょう。

【参考文献・資料】
・国立感染症研究所「感染症発生動向調査」(2025年9月)
・東京都感染症情報センター「インフルエンザの流行状況(2025-2026年シーズン)」
・厚生労働省「RSウイルス感染症に関するQ&A」
・厚生労働省「マスク等の着用が困難な状態にある方への理解について」

●記事の内容は2025年10月の情報で、現在と異なる場合があります。

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