【専門家監修】幼稚園受験するメリットと入試とは?
子どもの将来のために、できるだけよい環境でよい教育を受けさせたいと思うのが親心です。できれば、幼稚園から有名幼稚園や大学附属幼稚園に入園させたいと思う保護者もいるのではないでしょうか。幼稚園受験といって思い浮かべるのが、国立大学附属幼稚園や私立大学などの附属幼稚園の受験です。そのほかに、有名私立小学校を受験する子どもたちが通う有名幼稚園の受験があります。幼稚園・小学校受験とはどういったものなのでしょう。
【記事監修】
学校法人野上学園 久我山幼稚園園長。東京都私立幼稚園連合会常任理事、公益法人全日本私立幼稚園幼児教育機構調査広報委員会副委員長。40年の長きに渡り、幼児教育に携わる
幼稚園受験の基礎知識
幼稚園受験といわれるものは、大きく分けると以下の2つのタイプになります。大学や高校までつながる附属幼稚園と小学校受験の子どもが多く集まる有名幼稚園の受験です。
附属幼稚園
大学もしくは高校附属などの系列の小学校に併設されている幼稚園
有名幼稚園
国立や私立小学校の受験に力を入れている。また、受験する子どもが多く集まる幼稚園。有名私立幼稚園になると、入園説明会に参加するのも紹介制になっていたりすることも
子どもの将来を見据えた幼稚園選びを
附属幼稚園は大学まで併設されているケースと、中学・高校までの一貫校といったケースがあります。附属幼稚園といえども、無試験でエスカレーター式に併設校に上がれる場合もあれば、選抜試験があるなどさまざまです。最近は、あえて他大学の進学に力を入れる附属高校もあり、それを見据えて幼稚園を選ぶ家庭もあるようです。
有名幼稚園は、有名私立大学や国立の附属小学校に多数の園児が入学している実績があるので、高い人気を誇っています。幼稚園の正式な倍率は公表されていませんが、なかには数十倍と言われるところもあるようです。子どもの性格や家庭の教育方針、しつけなどとあわせて、子どもにあった幼稚園を考えてみましょう。
幼稚園受験のメリット・デメリットとは
メリット
・大学・高校の附属幼稚園では、一貫した方針のもと、将来を見据えた教育が長い期間にわたり受けられる
・附属幼稚園・小学校は、系列校への内部進学制度がある
・幼稚園受験は小学校受験よりも入学試験の倍率が低く、子どもの負担が比較的少ない
デメリット
・保育時間が短い
・受験対策のための習い事や幼児教室に通うことが必須。その費用がかかる
・親の経済的な負担が大きい
・学費以外に、学校の保護者同士のおつきあいなどの費用がかかる
附属幼稚園の受験のメリットは、独自の教育カリキュラムや建学の精神などを長きにわたって受けることができることではないでしょうか。ただ、幼稚園受験をするとなると、1〜2歳くらいの早期から幼児教室や習い事などの準備が必要なので、子どもの負担になることがあります。また、幼児教室の費用や送迎など、親のサポートや経済的な負担が大きいことも理解しておきましょう。大手の幼児教室の年間授業料の一例をあげると、約50〜80万。それに加えて冬・春・夏期講習代や模試代が必要となります。
幼稚園受験は、子どもの性格が見極めにくい年齢で、志望する幼稚園を決めることになります。受験対策の幼児教室に柔軟に対応できる子どももいれば、馴染めない子どももいます。馴染めていないなと感じたら「この子には幼稚園受験は早かったのかも…」と、小学校受験に切り替えるなど、潔く方向転換することも大切です。受験する場合は、子どもの発達や性格を考え、どういう校風が子どもにあっているのか、慎重に夫婦で考えて選択することが大切ではないでしょうか。
幼稚園受験にかかる費用
大手の幼児教室で、年間約50〜80万必要と言われています。年齢によってクラスが別れており、金額は異なります。これに加えて冬・春・夏期講習代や模試代などの費用が必要です。幼児教室によって、指導する内容は異なりますが、受験をする場合は、週に2〜3回ほど幼児教室に通っている子どもが多いようです。トータルで年間80〜120万円ほどになります。教室の費用はあくまでも、大手教室の目安です。そのほか、個人経営の幼児教室などもありますが、こうした教室は紹介制になっていることが多く、かかる費用は大きく違います。
有名幼稚園から小学校受験をする場合は、こうした幼児教室の費用に加えて幼稚園の保育料がかかります。最近の小学校受験は、子どもの主体性や自主性、自分で考え行動する力などを問われる試験が多いので、幼児教室などでもキャンプなど体験学習のカリキュラムも増えているようです。なかには、幼児教室に通わずに合格できたという家庭もありますが、それは稀なケースのようです。
幼稚園の願書を貰う方法と出願期間の目安
入試までのスケジュール
7月〜9月
入園説明会
募集要項・願書の配布
11月上旬
願書受付
考査・面接
11月中旬〜
合格発表
入園手続き 制服注文
2月
入学説明会
幼稚園受験は、秋が本番!
秋は幼稚園の説明会がまっさかりの時期です。有名幼稚園の中には、6〜7月に開催されるところもあるので前もって必ずチェックしましょう。幼稚園受験は2〜3園を併願することが多いようですから、第一志望とその他のスケジュール管理も忘れずに。
説明会は、教育熱心な家庭をアピールするためにも夫婦で出席したほうが好印象といわれています。説明会までには、園の歴史や教育方針などをしっかりリサーチしましょう。事前準備ができていないと思われないためにも、学校のパンフレットやホームページにすでに書いてあることを質問しないように注意しましょう。幼稚園受験は、説明会からスタートしているということを忘れないで!
願書は重要な書類です、必ずコピーを!
入園願書の配布時期はほとんどの幼稚園で決まっていて、2週間程度の園が多いようです。願書の受付期間は、7日〜10日ほどですが、中には日数が短いところもありますから、必ず受付期間や必要書類は事前に確認しましょう。
願書を手に入れたら、下書き用に必ずコピーを。幼児教室で願書の添削指導もありますから、複数枚コピーをとっておくと安心です。入園願書は志望動機から、家庭の教育方針や子どもについてまで、基本的な情報を幼稚園に伝えるための重要な書類です。特に指定がなければ、万年筆で書くのが望ましいですね。誤字や書き損じのないように丁寧に書きましょう。
入園説明会の服装
説明会といえども服装は大事、面接と同じように無地の紺のスーツという幼稚園が多いようです。どういった服装が望ましいか、先輩ママや幼児教室などで事前にリサーチしておきましょう。パパも出席する場合は、同様に服装や持ち物を確認しましょう。
入園説明会の持ち物
筆記用具やスリッパはもちろん、願書や書類が配られることもあるのでA4ファイルが入るバッグがオススメです。子ども同伴の場合は、子ども用の上履も準備しましょう。説明会に集中するためには、子ども用の玩具やお絵描きセットなど音のでないものがあると安心。中には、幼稚園の様子を撮影するためにカメラ持参するかたもいます。ただし、勝手に園内の撮影をするのはNG。必ず幼稚園に許可をとりましょう。
幼稚園受験のおもな試験内容・面接内容
集団テスト
お遊戯や運動、リズムなど、ほかの子どもたちと一緒に行動したり自ら環境に関わったりすることができるかを見ます。自由に遊んでいる子どもの様子を観察するということも
個別テスト
大きさの比較や簡単な数の問題のほかに、言葉の理解や相手とコミュニケーションする力を見ます。そのほか、先生に言われたことにきちんと反応できるか、どうかを見ています
行動テスト
自分で考えて行動できるかどうかを重視する幼稚園も増えています。その場で言われたことに、対応できるかを見ています
絵画
自由に絵を描きます。また、テーマにそった絵を描くことも
面接
幼稚園受験はその日の子どもの体調によって、実力を発揮できないことがあります。面接はそういったことを挽回できる絶好のチャンスです。事前にしっかり準備してのぞみましょう。幼稚園の基本的なデータや教育方針などはもちろん、願書を元に質問されることもあるので、コピーをとって夫婦でよく確認しておきましょう。幼稚園受験は、家庭での教育方針やしつけなど、どういった家庭環境で子どもを育てているかが見られています。
幼稚園受験の前の準備、対策
受験時期は2年保育の場合、3〜4歳の11月。3年保育の場合、2〜3歳の11月になります。風邪などの感染症に注意して、日頃からうがい・手洗い、十分な睡眠など規則正しい生活を心がけましょう。そのほか、日頃から目を見て話す、挨拶ができるといった礼儀などは、家庭でも練習しておくといいのではないでしょうか。
受験当日や説明会などでアンケートを記入することがあります。そのときのために、親も簡潔に文章をまとめて書く練習を。誤字を防ぐためにも、コンパクトな小型の辞書を持参しておくといいですね。
まとめ
幼稚園受験を考える前に、夫婦や家族で子どもの将来について話しあいましょう。どちらか一方だけが受験に乗り気というのでは、受験は成功しません。志望する幼稚園の見学会などに夫婦で積極的に参加して、どういった教育方針なのかを、親の目でしっかり確かめましょう。最近は、併設大学には進学せず、ほかの大学を受験したり、中学からは別の一貫校を受験したりという、選択をする家庭もあります。ただ、附属の幼稚園・小学校に入学しても、子どもが学校に馴染めなかったり、中学や高校生になってやりたいことが見つかったりすると、違う道に進むことがあります。そんなとき親は、子どもの気持ちをきちんと受け止めて、子どもの夢や選んだ道を応援しましょう。
監修
野上秀子さん
学校法人野上学園 久我山幼稚園園長。東京都私立幼稚園連合会常任理事、公益法人全日本私立幼稚園幼児教育機構調査広報委員会副委員長。40年の長きに渡り、幼児教育に携わる