「視力は遺伝する?」赤ちゃんの視覚・聴覚・味覚の発達★気になるQに小児科専門医が回答
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機能・はたらきが赤ちゃん時代に急速に成長する目、耳、口。ママたちが気になる疑問や気がかりを、小児科専門医で発達脳科学の専門家でもある成田奈緒子にお答えいただきました。
見る力の発達の気がかり
赤ちゃんの視力の発達って…ママやパパが強い近視や遠視だと、遺伝する? 予防できる?と気になりますね。
Q 視力は遺伝するの?
A 親の近視が遺伝することもありますが、近視にはそれより室内の照明が明るいかどうか、悪い姿勢で本を読んでいないかなど、環境的要因が大きいです。視力が低下しない環境を意識的につくってあげましょう。
Q テレビやスマホを見せると視力の発達に悪影響はある?
A 現実の世界は3次元ですが、テレビやスマホは2次元。2次元の世界ばかり見せていると、立体や距離をとらえる機能が発達しません。視力の発達には、実体のあるものを見せて、触らせる体験が大切です。
Q 複雑な色の違いはいつ理解できるようになるの?
A 1才前ごろになると、目で見て複雑な色の違いもわかるようになりますが、まだ感覚的なもの。本当に区別ができるようになるのは、複雑な色を言葉で認識できるようになる3~4才ごろです。
聞く力の発達
低月齢の赤ちゃんでは、反応がわかりにくいこともあって、聴力の様子は気になりますね。
Q たまに声をかけても振り向かないことが・・・大丈夫ですか?
A 室内がザワザワとした環境になっていないか見直しましょう。また、遊びなどに熱中しているときは振り向かないこともあります。1才6カ月になって名前を呼んでも振り向かないときは、小児科に相談しましょう。
Q あるCMソングを聞くと喜びます。好きな音ってあるの?
A音楽の好き嫌いもあるようですが、赤ちゃんは自分が知っているものが繰り返されるのを喜びます。何度もそのCMソングを耳にして慣れているから、喜ぶのかもしれません。
味わう力・かむ力の発達
食べることに直結する口の発達。わかっているようでわからないことがいっぱいありますね。
Q 味の好みが出始めるのはいつごろ?
A 生まれたばかりの赤ちゃんは、甘みとうまみを好みます。味覚はいろいろな味の経験をすることで徐々に達し、0才代前半ごろから、少しずつ味の好みに違いが出始めるといわれています。
Q 昨日は喜んで食べたものを、今日は食べないことがあるのはなぜ?
A 大人も日によって食べたくないものがあるように、赤ちゃんもその日の気分で食べたくないことがあります。食べなかったからといって嫌いとは限らないので、数日たったら、またメニューに入れてみましょう。
Q おっぱいとミルクでは口の発達に差が出るの?
A ママの乳首でも哺乳びんの乳首でも、赤ちゃんの口の動きはほぼ同じ。口の発達に差はあまり出ません。ただ、授乳時間が短いと口の運動量が減るので、早飲みしすぎない哺乳びんの乳首を選ぶといいでしょう。
赤ちゃん時代にどんどん発達していく、目・耳・口。順調に発達していくように、生活環境を整えていろいろ体験させてあげたいですね。(取材・文/ひよこクラブ編集部)
■参考:『ひよこクラブ』2016年9月号「赤ちゃんの目・耳・口はこう変わる」より
■監修:成田奈緒子先生
「子育て科学アクシス」代表・文教大学教育学部教授・医学博士・小児科専門医。神戸大学医学部卒業後、米国セントルイス・ワシントン大学医学部留学を経て現職。専門は乳幼児の脳の発達や睡眠。一女のママ。ワークショップ「子育て科学アクシス」を主宰。
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