【専門家監修】「小1の壁」 共働き家庭の夏休み、どうしている?
地域差はありますが、小学校では7月下旬から8月いっぱいが夏休みになります。けれども、働く大人がとれる夏休みはせいぜい1週間程度。そのため、周囲は開放感あふれる夏休みなのに、学童クラブに入っている子どもたちは、毎日学童へ通うことになります。そんな背景から、学童に行くことをイヤがる子が出てきたりすることも。
また夏休み期間中は給食がなくなるので、子どものお昼ごはんとしてお弁当が必要になります。共働き家庭にとって、この毎朝のお弁当作りがとても大変だったという声も多数。
みんなはこの壁、どう乗り越えたのでしょうか?先輩ママからの体験談(※)をご紹介していきます。
※2017年11月~2018年6月までの間に、 小1の壁を経験した都内の小学生ママに編集部で取材したものとなります。
学童クラブへ通うことに子どもが疑問を持ったら…
はじめは何の疑いも持たずに夏休み中、学童クラブへ通っていた新1年生も、数日経つと、学童クラブに入所している以外の子どもは、自由に過ごしていることに気づきます。誰かの家に遊びに行ったり、家族で出かけたり…。
「なんで、うちは夏休みなのに、毎日朝から学童に行かなければならないの?」と言われて、せつなくなった経験を持つ働くママやパパもいるのではないでしょうか。
この機会に、ママもパパも働いている家庭とママが働いていない家庭があることや、働き方によって帰宅時間や家にいられる時間が違うこと、働くことの意味などを伝えてもいいかもしれません。
そして、まだ小学1年生では大人がいない家に何時間も1人でいることへの心配があることなども伝えましょう。
もちろん、子どもの気持ちも大切にしたいので、子どもの希望があれば、それが実現できる方法を考えましょう。
子どもとよく話してみると、「なぜ自分は毎日、学童に行かなくてはならないの?」とただ聞いただけで、学童に行くのは楽しみだというケースもあります。学童に通わせていることに過剰に罪悪感を持つ必要はありません。
次の項目で小1の夏の過ごし方の実例を紹介しますので、夏休みの壁の解決策の助けにしてください。
共働き家庭の子どもも楽しめる! 飽きない夏休みの過ごし方
「親子で旅行をする以外に、子どもだけで行ける3泊4日のサマーキャンプに参加させました。川遊びをしたり、自分たちでごはんを作ったりして、また来年も行きたい!と楽しそうに話していたので良かったです」
子どもだけで参加できるものは、民間のものからNPO主催のものといろいろあり、内容も自然体験や国際交流、工場見学や勉強主体のものなど様々な種類があります。「サマーキャンプ 小学生」などで検索すると情報が得られますので、検討してみてはどうでしょうか。
「夏休みはまとめてとるのではなく、両親が交替で少しずつとって、日帰りや1泊のお出かけをしたり、家でのんびりする日を作ったり、親子で買いものをしたり。夫婦の夏休みを別々にとると、週に1〜2回はそんな日が作れたので、低学年の時はそうして乗り切りました」
「両親が交替で休みをとって出かけた他は、1週間ほど祖父母宅に泊まりに行かせました。祖父母の家の近くの子どもと仲良くなって、一緒に遊べて楽しかったそうです」
「学童クラブに夜までいるのではなく、少し早く帰って留守番する日を作りました。用意しておいたおやつと1人の時間が新鮮だったようです。もしも何か困ったことが起きた時は、隣りのお宅に頼れるようにあらかじめ頼んでおきました」
夫婦が別々に休みをとるケースも多いようですね。
ただ「1年生の夏はいろいろと予定を立てすぎて、子どもが体調を崩してしまいました。2年生の時はのんびり子どもといる時間も増やして、図書館に行って親子で思い思いに過ごしたりする日も作りました。学校が始まると忙しくなるので、そんな時間も貴重でした」なんて先輩の声も。
あまり欲張らずに、楽しい夏の予定を組みたいものですね。
どうしよう! 毎日のお弁当作り
「夏休みで一番大変だったのは、毎日のお弁当作り」と答えるママやパパはかなりの人数にのぼります。確かにお弁当作りに慣れていないと、毎日作るのは高いハードル。
「唐揚げやハンバーグなど生協の食材と茹で野菜やミニトマトを組みあわせたら、後は何か副菜があれば十分。気分転換に、サンドイッチやベーグルサンド、おにぎりなどの日も」
すべてを朝作るのは大変なので、冷凍食材などが活躍するようですね。
お弁当はできるかぎり涼しいところに置くそうですが、それでも夏はお弁当が痛まない工夫は必要です。「水分の多いものは入れない」「必ず冷めてからつめる」「おにぎりはラップで握る」「前日の残りものを使う時は必ず温めてからイン」といった基本を守りつつ、お弁当袋に保冷剤などを入れても。
「冷やした果物やゼリーなどを入れると保冷剤代わりにもなって便利」というアイデアもいいですね。
特に可愛いお弁当を持ってくることの多い女の子の保護者は気を使って大変だったという声が寄せられています。先輩ママパパの工夫を紹介します。
「人と競ってもしょうがないので、おかずケース(アルミカップの紙版)をカラフルなものにしたり、可愛いピックをさしたりするだけでお弁当は可愛くなります」
「いろいろな色が入ると美味しそうに見えるので、奥の手はふりかけです!」
その他、マンネリを吹き飛ばすこんなお弁当も。
「昨日、Sくんがソーメン持ってきた!」
「へー、おつゆも?」
「うん、ちっちゃい水筒に入れて」
このソーメンはかなり、学童で話題になったそうです。
また、スープジャーにカレーを入れて持ってきたとか、野菜やウインナー、チーズなどが容器に入っていて、自分で好きなようにロールパンにはさんで食べていたという話も。
アイデア次第で、手間をかけないお弁当は可能そうですね。
ちなみに、学童クラブに働きかけて、希望者は事前に仕出し弁当を注文できるようにしたという体験談もあります。お弁当作りがどうしても負担だったら、周囲や学童クラブに相談してみるという方法もあるようですね。
毎日お弁当作りをしながら、長い夏休みを子どもが楽しく過ごせるよう苦心する働くママとパパ。
でも、「親が面倒を見なければ」という時期はそんなに長くはありません。それだけに、出かけるにしても、何かを一緒にするにしても、親子で思い出を作るいい時期といえそうです。
(取材・文/bizmom編集部 橋本真理子<メディア・ビュー>)
初回公開日 2018/11/28
●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。