二人目出産で家計が無法地帯に!カード地獄から脱した主婦の小さな習慣とは[ピンチは貯まる分かれ道#2]
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こんにちは。マネーライター・FPの大上です。
仕事柄、日々貯まる人を取材していますが、いつも驚くのは貯めている人ほど過去に家計の大ピンチを体験しているということ。
このシリーズでは、そんなピンチをチャンスに変えた達人をご紹介。誰もが陥りやすいリスクや、貯まる暮らしを支える“根っこ”は何かを探ります。
今回登場するのは、奈良県で3歳と2歳の男の子を育児中のKさん(34歳)。Kさんは年子で出産した二児の育児に追われ、やりくりどころではなくなり気づけば赤字に。カード地獄、そこから再び貯蓄ができるようになるまでには、どんな葛藤があったのかを語ります。
二人目を出産後、家計が悪化。カード払いに頼る日々
「二人目が生まれると、育児の負担が一気に倍増。上の子もまだ1歳だったので、どちらの世話も同じぐらい手がかかり、どうしても家事は手抜きせざるを得ませんでした。よくないなぁと思いつつ、ランチは外で食べたり、夕食も惣菜を買ってきたり、“ラク”を買うための出費がみるみる増加。生まれた季節も長男と真逆だったため、お下がりが使えず一式全て買い直す、母乳の出が悪く粉ミルクを買うなど、お金がどんどん出て行き、あっという間に赤字に。
児童手当も生活費に消え、それでも足りずカード払いに頼り、翌月は引き落としでさらに苦しくなるという悪循環が始まったのです」。
保育園に預けて働いても家計は同じ。毎日、悩んでストレスまみれに
「毎月が苦しくなり、やっぱり私が働いたほうがいいのか? と思いましたが、多少のパート代では2人分の保育料で消えてしまう。本当にどうしたらいいのか、他の家はどうしているのか、毎日めちゃめちゃ悩みました。貯蓄がどんどん減っていく通帳を見るたびに、心臓がバクバクしたのを覚えています。
そんななか、ある日届いたクレジットカードの請求が決定的なパンチに。引き落としが合計で30万円超もあるのを見て本気で怖くなり、“このままでは、2人とも育てていけなくなる!! 悩んでる場合じゃない!!”と、お尻に火がつきました。
とりあえず、すぐに働くのは難しかったので、“仕方ない”で片付けていた出費を一から見直してみることに。
いざ家計簿をつけてみると、数日で自分の甘えが浮き彫りになりました。そんなに使っていないと思っていたのに、1日に1〜2万円は出費している事実が発覚。外食は、1週間に4回はしていて、ファミレスやファーストフードに1ヶ月4万円も使っていたのです。
服も食品も雑貨も、子どものものなら、基本何でもOK。使いすぎを防ぐ努力もせず、疲れたから、大変だからと言い訳して使っているお金ばかりでした。
これでは、たとえいくらお金があっても同じこと。結局、欲しいものを我慢できない自分を見るのが嫌で、お金から逃げていただけだったと反省したのです」。
レジ前の小さな習慣で、出費が激減!
無法地帯だった出費に、ルールを決めないといけないと思った私はまず、欲しいものと必要なものを分けることに。買い物メモは、“今日絶対必要なもの”には○、そうでないものには△をつけることにしました。こうすることで、お店で迷わず優先順位がつけられるように。
レジ前でカゴの中をざっくり計算し、予算オーバーしそうな時は、△のものをカゴから出せばいいだけ。小さなことですが、これだけで、本当に出費が激減したのです!
外食も同じです。以前は、疲れるとすぐファミレスでしたが、記念日や誕生日などどうしても行きたい特別なときのみに。どのお店に行こうか、その日を楽しみにやりくりできるようになり、お財布のゆとりもぐっと増えました」。
「1日3000円ルール」で家計簿なしでも予算を守れる暮らしに
「少しずつ、出費は減ってきたものの、育児で忙しくやはり家計簿は続けられず。“必要なものメモ”で、そんなにたくさん買わなくても、生活できることがわかってきたので、1ヶ月のやりくり費を割って1日3000円ルールにし、その中で収まれば何を買ってもOKにしました。使わなければ、翌日6000円になるし、なるべく多く残したくて、お金の使い方を一層慎重に考えるように。これが、私には合っていました。
1ヶ月で食費は4万円、日用品は1万円……と予算を決めるやり方では、使えるお金がどんどん減っていくのがストレスでしたが、毎晩、翌日の3000円をお財布に入れる“加算式”ならお金が増えるようで嬉しくて、やる気が続いたのです。
気がついたら、貯蓄に手をつけることは全くなくなりました。今は、子どもの教育費を毎月1万円貯められるまでに。お金を貯めて、4人で旅行に行こうと以前は考えられなかった目標もでき、やればできるものだなと思います!」
出費の「質」に目を向けたことが、無理のない家計の改善に
出費を減らそう、貯蓄を増やそうと思ったときにありがちなのは、焦って“今より3万円は削らないと!”と金額ばかり見てしまうこと。Kさんは金額ではなく出費の質に目を向け、必要なものとそうでないものの優先順位をつけたことが、成功への最初の分かれ道でした。
急いで無理に出費を削っても、赤字の根本的な解決にはなりません。むしろ、ストレスで衝動買いに走ってリバウンドする可能性が大。
Kさんのように要不要を考えて削ることで、ケチケチ感も少なく、自分で納得しながら家計をスリム化していけます。
小さな成功が「次はこれも」とやる気を維持し、やがて安定した貯蓄を守れる家計へとつながっていくのです。
■監修・文:大上ミカ
マネーライター・FP。(株)カクワーズ代表。生活情報誌を中心に、家計管理やお金に関する情報を取材・執筆。これまでに取材した貯まる人は延べ1000人以上。数々の貯まる人の共通点を発見し、雑誌や書籍、セミナー等で貯まる暮らしを作るアドバイスも。最新著書に「収入が増えなくても貯蓄が2倍になる方法」(リベラル社)。