赤ちゃんのパパ見知り、どう乗り越える?
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自分の子どもなのに、赤ちゃんが最近、自分を警戒している――。人見知りならぬ「パパ見知り」という悲劇的な(?)現象に、寂しい思いをしているパパはいませんか? パパ見知りの時期を、パパと子はどう乗り越えればいいのか。3男の父親であり保育士のキャリアも持つ大阪教育大学教育学部准教授(家政教育講座)の小﨑恭弘先生に「パパ見知り対処法」を聞きました。
「パパ見知り」が始まったら、家族の時間を増やしてみよう
――赤ちゃんの「パパ見知り」という現象は、どうして起こるのでしょうか?
小﨑先生:まずその前に、人見知りについて知っておく必要があります。個人差はありますが、赤ちゃんはだいたい7ケ月前後から人見知りをするようになります。赤ちゃんの人見知りというのは、知らない人が近寄ってきたときに、赤ちゃんの表情から笑顔が消えたり、怖がったりすることをいいます。人見知りというのは一般的にはネガティブなイメージを持たれがちですが、赤ちゃんの場合はポジティブな面もあります。知っている人と知らない人を区別できるようになったということなので、記憶力や認知力が育っているか確認することができます。また、親に愛情を持っているという証しにもなります。
――ということは、「パパ見知り」というのは、ママには愛情を感じているけれども、パパにはあまり感じていないということですか?
小﨑先生:残念ながらそういうことになります。何をするのでも、パパではなくママがいい、ママのほうが安心、と感じている状況です。赤ちゃんからすれば、ママは自分が思うことをちゃんとしてくれる存在。「パパ見知り」しているということは、パパに対しては「こいつ全然わかってへんやつや」という評価を赤ちゃんなりにしているということです。自分の思うようにしてくれないパパのことが不快になっているのでしょう。
――その状況を改善するには、どうすればいいでしょう?
小﨑先生:赤ちゃんが「この人は大丈夫だな」と思えるような経験を重ねておくことが大事です。ミルクをあげたり、おむつを替えたり。赤ちゃんが持つ不安を軽減してあげることで、だんだんと「この人なら大丈夫」と思えるようになります。とはいえ、無理やりママと子どもを引き離してパパと2人きりにするのはよくありません。赤ちゃんにはトラウマになってしまいます。ですので、最初はママとパパと赤ちゃんの3人で楽しい経験をすることが大切です。
――パパのことが好きになりそうなことも、たくさんしたほうがいいですか?
小﨑先生:小さな子どもでも、パパとママをしっかりと使い分けています。そこで、パパだけが「おいしいところ取り」をするのはよくありません。たとえば、ママがしかった後にパパが人気取りのために子どもにおいしいジュースをあげようとするのは、よくない例です。夫婦で子どもの取り合いをするのではなく、小さいうちから一緒にいる時間を作って、親子のかかわりを深めることが大切です。一緒に有意義な時間を過ごすことで、パパが「安心できる人」になり、パパ見知りもなくなるでしょう。
「パパ見知り」は自然に始まるものではなく、赤ちゃんからパパへのイエローカードなのかもしれません。ただし、挽回のチャンスはこれからまだまだあります。パパ見知りは、パパと赤ちゃんの信頼関係を確認する最初のチャンス。パパ見知りが始まったら、意識的に家族で過ごす時間を増やすなどしてみましょう。今、手を打っておけば、将来のレッドカードを回避できるかも!?(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)
監修/小﨑恭弘先生
大阪教育大学教育学部教員養成課程准教授(家政教育講座)。西宮市初の男性保育士として活躍したのち、大学の准教授やNPO法人「ファザーリング・ジャパン」の顧問として活動中。3男の父。
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