フリーランスに転身し“会社員時代の年収3倍を実現”した2児の母の仕事の掴み方とは?
「手に職」をつけフリーランスに転身、会社員時代の年収3倍を実現した2児の母・尾関さんと、「一生困らない 女子のための『手に職』図鑑」著者の華井さんの座談会イベント「『手に職』で年収3倍、一生困らない働き方(主催:デジタルハリウッドSTUDIO)」に行ってきました。尾関さんがフリーランスWebデザイナーになったきっかけや、仕事の様子などが赤裸々に語られ、「これから私も働きたい、稼ぎたい!」と思っているママの励みになる内容でした。
4か月・2歳の子どもを育て、仕事と両立させる尾関さん。
Skypeでミーティングする際に、子どもが後ろにいるのが気になるクライアントに「泣き声なんとかならない?」と言われたり、夜中に仕事のチャットが連続できてバイブレーションで子どもが起きてしまったりということも…
また、保活では「在宅で子どもをみながら働ける」という理由で減点がついてしまい、上のお子さんは2歳6ヶ月になるまでずっと待機児童だったそうです。
そんな経験もありつつ、月収20万円台の正社員時代と比べると現在の年収が3倍にもなったという尾関さんですが、もともとは「フリーランスってなんかヤバイ人たちの集団だと思っていた」と言います。
尾関さんがフリーランスを目指すようになったきっかけ
出産をきっかけに自分自身のスキルアップをしたいと考えるようになった尾関さんは、webの勉強をしようと思い、Webデザインの養成スクール「デジタルハリウッドSTUDIO」の渋谷校に入学。
尾関さんは夫婦でお財布を別にしていたので、これまで蓄えていた自分の貯金を切り崩して授業代にあてたそうです。
「デジタルハリウッドSTUDIO」は全国に20拠点以上展開されている、webデザイナーやグラフィックデザイナー、ネット動画クリエイターなどを目指せるプロを養成するクリエイティブスクール。尾関さんが通ったのは「Webデザイナー専攻」の主婦・ママクラス。育児や家事と両立しながら仕事をしたいママの夢を叶えるコースです。授業は昼に開催され、キッズスペースもあり、自宅でも学習することもできるそう。
ある日「フリーランスとは?」という授業を興味半分で受講した尾関さん。
復職した後、子どもを預けて仕事に行って、また仕事の後に子どもを迎えに行き…とバタバタな日常を送ることに不安を抱いていたそうです。もともとは前述の通り、「フリーランスってなんかヤバイ人たちの集団」と思っていた尾関さんですが、授業を聞くうちに理解が深まり、“子育てをしながら在宅で仕事をするライフスタイル”に憧れたのが、フリーランスを目指すようになったきっかけだそう。
尾関さんの夫は、楽しそうにwebデザインの勉強に取り組んでいる尾関さんの姿を見ていたので、尾関さんがフリーランスになることに肯定的だったそうです。
「常日頃からフリーランスになったときのライフスタイルや収入、自身のスキルについて、細かく夫婦で共有していたのも良かったのかもしれません。」とお話してくださいました。
自分の市場価値を知るためにやったこと
在学中、「自分のデザインが通用するのか?」と思った尾関さんは、イラストレーター・フォトショップ(デザインの仕事をするためのソフト)を学んだ後、早速仕事を探し始めました。
やってみたことは、クラウドワークスで仕事を受注すること。
クラウドワークスとは、ネット上で不特定多数の人に業務を発注できるクラウドソーシングのひとつで、自分のアカウントを作れば、誰でもすぐ活用することができます。
「どんな仕事が存在しているのかな、単価はいくらくらいなんだろう、これはちょっと安い…」クラウドワークスでイラストレーター・フォトショップだけでできる仕事を探します。
バナー制作やロゴ制作ならできそう!と思った尾関さんは、早速コンペに応募します。
作品の評価が公開されるコンペでは、自分の作品の評価が低く「私のロゴって通用しないんだ…」と落ち込んだこともあるそうです。
本イベントに一緒に登壇していた「一生困らない 女子のための『手に職』図鑑」著者でライターの華井さんも、「クラウドソーシングは単価がとにかく安い。でもライターの場合は、単価が安くてもまずはやってみて実績を作ることが大事でした。ライターに限らず、フリーランスは実績がないと仕事の受注は難しいので、クラウドソーシングの活用も最初は大切ですね」とアドバイスしてくれました。
スクール在学中から、仕事について多くのことを学ぶ
ロゴやバナー制作などの仕事では結果がついてこなかった尾関さんですが、ホームページ制作の仕事は依頼が多く、こっちの方が自分に向いているのではないか?と感じたそう。
できる範囲のことをいろいろとやってみて自分がハマる方向性を見つけるのも大事だと言います。
通っていたスクールでは、希望をする卒業生に対して、スキルアップにつながる情報や案件の紹介をおこなうサポートがあり、そのサポートも利用してお仕事をしていたそうです。
仕事の掴み方
尾関さんが話してくれた仕事の掴み方で大事なことは3つ。
①人脈 ②コミュニティ ③とにかく応募! です。
①人脈
通っていたスクールのスタッフから在校生・卒業生に仕事の紹介情報が共有されたり、卒業生と情報交換をしていく中でお仕事のお話をもらえることがあるとのこと。
日頃から色んな人と積極的に関わって人脈を作っていくのが大事だと教えてくれました。
②コミュニティ
尾関さんは個人での仕事のみならず、フリーランスの人たちが集まるコミュニティに所属し、チームを作ってプロジェクトマネージャー的な役割で仕事をしています。所属しているチームに問い合わせをもらい、チームメンバーの得意分野に応じて仕事を分担することで、単価の大きな案件を手掛けたり、仕事の数を増やすこともできるそうです。
③とにかく応募!
フリーランスになりたての頃はほとんど「応募」で仕事を獲得していたそう。デザイナー・コーダー向けのお仕事紹介プラットフォームや時にクラウドソーシングなどを利用して、面白そうな仕事に応募する。そうすると継続して発注してくれるクライアントも増えてくるとお話してくれました。
ライターの華井さんも、人脈は重要と語ります。「ライター養成のセミナーに通っていたときに知り合った人や、年に1回行われるセミナー関係者の懇親会で出会った人から、お仕事をもらうことも少なくありません。ライター養成講座には出版社の人も通っていることがあるので、講座で知り合った出版社の人からお仕事をいただけることもありました」。
フリーランスの仕事で気をつけていること
尾関さんは、スケジュール管理を特に気をつけているそう。
「以前は納期が迫っていても『今日・明日・明後日、徹夜すればできる!』と考えていましたが、子どもがいると予想外のことばかり起きて、自分の考えていたスケジュール通りに進めることはなかなかできません。
徹夜前提でスケジュールを組まないこと、基本的に夜はやらないつもりでスケジュールを組むことを大切にしています。」
また、「今日は何時間働いて、何円分の仕事をする。」といったように、自分の仕事量を定期的に見直すタイミングを持っているそうです。
華井さんは、クライアントとの連携が大事とお話してくれました。
メールが来たら早めに返事をする。取材の時も、気を遣う、挨拶をしっかりする。また自分自身のペースを保つために、タイプが合わないクライアントや無理なスケジュールを要求してきた場合はお断りすることも意識しているそうです。
今後のライフプラン
尾関さんは、来月でフリーランス3年目。
今後は印刷物やWebサイトなど、いろんなジャンルのデザインに挑戦していきたいとお話してくれました。
そして、4、5年したらもう一人子どもが欲しいこと、長期的には「コワーキングスペースのあるカフェを作りたい、東京以外にも自分の拠点を作りたい」と語ってくれました。
華井さんは結婚をしたので、妊娠出産子育てをしていきたいとのこと。また、「人生100年時代と言われる今、柔軟に働きつつ、ずっと書くことを仕事にしていきたい。興味があるものには積極的に取り組んでいきたい」とお話してくれました。
自分で仕事を掴みにいく必要があるので難しいことも多いと思いますが、チームを作りながらお互い助け合う体制を作るなど、子どもがいても、自分の裁量で自由に仕事をすることができる環境を作れるフリーランス。
尾関さん・華井さんのように自分自身も目標を持ち、やりがいを感じながら働けるこの働き方に、とても興味を持てる内容でした。(文・石川あずさ)