【動画】背中スイッチOFFはそもそも難しい!?プロに聞いた赤ちゃんの睡眠
なんで寝てくれないの?に答える、赤ちゃんの眠りの秘密
読者のママ・パパからつねに困っているという声があがるのが、赤ちゃんの睡眠。
なかでも多いのが、「抱っこでようやく寝かしつけても、ベッドに置くときに『背中スイッチ』が入っちゃう・・・涙」というもの。
そこで、今回、日本人として初めて国際認定資格を取得した、乳幼児の睡眠コンサルタント・愛波文さんに、赤ちゃんの「背中スイッチ」について聞いてみました。
そもそも背中スイッチOFFは難しい
「実は赤ちゃんの『背中スイッチ』を切ることは、そもそも難しいんです」と愛波さん。
「抱っこで寝かしつけをして完全に寝落ちしたと思ったのに、いざベッド(布団)に置こうとすると赤ちゃんは寝床が変わったと感じ、起きやすくなってしまうんです。
赤ちゃんには45分から60分ぐらいの睡眠サイクルがあります。
眠ってうつらうつらと起きることを繰り返しているといえば、わかりやすいかもしれません。
そこで重要なのが、赤ちゃんが眠りに入ったときの環境や状況です。赤ちゃんはその環境や状況にとても敏感で、一瞬目をあけたときに寝入ったときと同じ環境だと、そのまま次の睡眠サイクルに入ってくれる確率があがります。
だけど、抱っこ寝かしつけを行い、完全に寝た後に寝床においても、一瞬目が覚めたときに、『抱っこされてない!』と不安になり泣いてしまうんです。抱っこで寝かしつけながら、おっぱいをあげている人も多いと思いますが、これもまた「くわえていたはずのおっぱいがない」と不安になってしまって、その不安を言葉で伝えられないから、泣いてしまうんですよね。」
「セルフねんね」の3つのポイント
(編集部)ではどうすればよいのでしょうか?
「起きている状態から『セルフねんね』をできるようにしてあげることで、背中スイッチが入らなくなります。
セルフねんねには3つのポイントがあります。
【1】 まず「うちの子は抱っこでないと寝ない」という思い込みを、ママ・パパが捨てる
私が多くの親子をコンサルティングしていて気づくことは、なぜか、ママ・パパは『うちの子は抱っこしてないと寝ない』と思い込んでいる方が多いということなんです。
でも、隣に座って見守る方法をお伝えすると、「自然に寝ました」という方が本当に多くいます。
【2】 疲れすぎる前、月齢ごとの適切な活動時間内に、赤ちゃんを寝床に置いてみる
赤ちゃんには月齢ごとに、「起き続けられる時間=活動時間」があります。
たとえば、生後1ヶ月の赤ちゃんは、個人差はありますが、どんなに頑張っても40分ほどしか起きていられない。
疲れると眠くなる、と大人は思いがちですが、赤ちゃんが逆です。疲れすぎると逆に興奮して眠れなくなるのです。本来は自然な目覚めを促すホルモンである、コルチゾールが疲れすぎると過剰に分泌されてしまいます。コルチゾールは通称ストレスホルモンとも呼ばれており、赤ちゃんはうまく眠れずに興奮状態になりぐずってしまいます。
だから寝かしつけは、疲れすぎる前=赤ちゃんの活動時間内にはじめることが望ましいのです。
【3】 一貫性をもって毎日続けてみる
ねんねには生活リズムがとても重要です。赤ちゃんにとって毎日同じスケジュールで生活することは安心につながります。
日によって抱っこで寝かしたり、添い寝をしてみたり、置いてみたりではうまくいきません。
毎日毎日一貫性をもって同じ寝かしつけを続けてみると、自然と寝てくれる可能性が高くなります。
(編集部)具体的な方法を教えてください。
「活動時間内にまず寝床に置いてみて何もせずにお子さんを見守ってみてください。疲れすぎてないのでギャン泣きにはならないと思います。もし泣き出したら、声かけをしてみましょう。
「大丈夫だよ、ママここにいるからね」でもなんでもいいんです。
それでも泣いている場合は、背中やお腹をトントンしてあげましょう。それでも泣いているなら、抱っこしてもOK。
ただし、ここで重要なのは抱っこで完全に寝させてしまわないこと。抱っこをして泣きが落ち着いたらもう一度寝床においてみましょう。何回か繰り返すことになると思いますが、一貫性をもって続けてみてください。」
ママ・パパが辛くなければ抱っこで寝かしつけもOK
「ただ、ママ・パパが抱っこで寝かしつけをしていることが幸せで、何も問題を感じていない場合はそのまま抱っこで寝かしつけを続けても大丈夫です。
抱っこで寝かしつけが悪いことではまったくないので、親子ともにHappyであれば抱っこでも授乳でもOKですよ」と愛波さん。
ママ・パパのHappyが、赤ちゃんのHappyにつながる
自身が寝かしつけで本当に苦労した経験から、乳幼児の睡眠科学に関する勉強をスタートさせた愛波さん。
米国・ニューヨークでの在住期間が長い愛波さんは、日本のママに比べてアメリカのママが、寝かしつけはじめ、育児のさまざまなことを気軽に楽しんでしていることに衝撃を受けたそう。
著書『ママと赤ちゃんのぐっすり本 「夜泣き・寝かしつけ・早朝起き」解決ガイド』(講談社刊)でも、詳しく書いてありますが、こうでなくちゃいけない、こうあるべきでではなく、どうしたらママ・パパがHappyになれるか、それが赤ちゃんのHappyにつながるという視点を大切にしており、その思いが伝わってくるインタビューでした。
■動画撮影時期/2018年12月
■取材・文/たまひよ編集部