寝かしつけのタイミングがわかる“赤ちゃんの眠いサイン”
育児の中で多くのお母さんが悩むのが“赤ちゃんの睡眠”。そんなお母さんたちのために、子どもの睡眠コンサルタントとして活躍する愛波文さんにインタビュー。「寝かしつけのタイミング」についてお話を聞きます。
赤ちゃんは疲れすぎると寝られない⁉
-早速ですが、赤ちゃんを寝かしつけるタイミングに迷うお母さんは多いと思います。赤ちゃんには“おなかがすいたサイン”があるように、“眠いサイン”ってあるんでしょうか?
愛波さん:あります。赤ちゃんの眠いサインとしては、「目を大きく開く・叫ぶ・顔を保育者にこすりつける・転ぶ・あくびをする・ぐずる・目をこする」などが挙げられます。
この中でも、「あくびをする・ぐずる・目をこする」というのは疲れすぎているサイン。「疲れると眠くなる」という現象は大人にとっては当たり前のことです。しかし、赤ちゃんの場合は疲れすぎるとストレスホルモンが過剰に分泌され、その結果、寝ぐずりや夜泣きが起こってしまうんですよ。
だから、赤ちゃんが疲れすぎる前に眠らせることが大切なんです。
-そうだったんですね…! どうすれば赤ちゃんの眠いサインをいち早くキャッチできるのでしょう?
愛波さん:お母さんたちは、日々マルチタスクをこなしながら忙しく過ごしているので、赤ちゃんの眠くなるサインをずっと見張っておくのは難しいですよね。
そこで知っておきたいのが、月齢ごとの1回の活動時間。活動時間とは、赤ちゃんが起き続けていられる時間のことです。これを知っておけば「そろそろ眠くなる時間かな?」と、眠くなるサインをキャッチしやすくなります。
-赤ちゃんの1回の活動時間はどのくらいなんでしょうか?
愛波さん:新生児から1ケ月くらいまでは約40分、6ケ月を迎えるころに約2時間〜2時間30分活動できるようになります。その後、1歳ごろは3時間30分〜4時間、1歳6ケ月〜4歳になると6時間というように、月齢とともに1回の活動時間も長くなります。
詳しくは以下を参考にしてみてくださいね。
<月齢ごとの1回の活動時間の目安>
■0〜1ケ月:~約40分
新生児は授乳やおむつを替えたらまたすぐ眠ります。眠らない場合は、環境を整えたりおくるみをしたりして、眠れるようにしてあげましょう。眠そうな合図を見せたら、40分よりも早く寝かせてあげましょう。
■1〜2ケ月:約40分~1時間
昼寝が短い場合は、最長1時間の活動時間を待たずに、早めに寝かしつけをしてあげましょう。黄昏泣き(コリック)がある赤ちゃんや敏感な赤ちゃんは40分ぐらいを目安に寝かしてあげましょう。
■2〜3ケ月:約1時間~1時間20分
この時期の赤ちゃんの日中の睡眠は、1回あたり45 分が目安。45分以下で起きてしまった場合は、とんとんや抱っこをして再入眠させてあげましょう。3ケ月ごろは徐々に体内で睡眠ホルモンのメラトニンの生産が始まる時期です。夜にメラトニンを適切なタイミングで分泌させるためには、朝起きてから太陽の光を浴びることが大切。朝は忙しい時間帯だと思いますので、窓越しでもOKです。
■4〜5ケ月:約1時間20分~1時間30分
あくびやぐずりを見せなくても1時間20分ほどたったら寝かしつけを開始しましょう。まだ決まったスケジュールに沿うより、起床時刻から活動時間を目安に次の睡眠を計算したほうが、うまく寝かしつけられる確率が高いです。
■6〜8ケ月:約2時間~2時間30分
6ケ月ごろになるとある程度、朝寝・昼寝・夕寝の時間が確立されていきます。朝寝は起床後2時間以内には寝かしつけを始めましょう。この時期は活動量が重要。起きているときに活発に活動した場合、10分程早めに寝かしつけを始めるなど、時間を調整する必要があります。
■9ケ月〜1歳2ケ月:約2時間30分~4時間
一般的に9ケ月ごろに夕寝がなくなってきて、日中の睡眠は3回から2回に移行していきます。夕寝がなくなったら活動時間が3時間30分から最長で4時間になります。4時間を超えてしまうと疲れすぎてしまうことが多いので気をつけましょう。
■1歳3ケ月~1歳6ケ月:約4時間~6時間
一般的に日中の睡眠が2回から1回に移行していく時期。1回に移行後は、活動時間が5~6時間になります。子どもにもよりますが、「朝起きてから昼寝までが5時間、昼寝から起きたら5時間から6時間で就寝」というスケジュールが理想的です。
■1歳6ケ月~3歳:約6時間
■4~5歳:約5~12時間
-意外と赤ちゃんが起きていられる時間は短いんですね。
愛波さん:そうなんです。でも、多くのお母さんは赤ちゃんを疲れさせすぎてしまい、ストレスホルモンが過剰に分泌されテンションの上がった赤ちゃんを見て、「うちの子はまだ眠くないんだわ」って勘違いしてしまうことも。そしてもっと疲れさせようとする悪循環に陥ってしまうんです。
このような悪循環を生み出さないためにも、まずは活動時間の目安を把握しておくことをおすすめします。ご機嫌な活動時間内のうちにベッドに寝かせると、泣くこともなく自然と眠る赤ちゃんも多いですよ。
セルフねんねできる赤ちゃんはたくさんいる!
-ベッドに寝かせておくだけで泣くこともなく自然と一人で眠ってくれるなんてことがあるんですね。私の子どもは、抱っこをしなければ眠りませんでした!
愛波さん:実はそれこそが思い込みです。自分で眠る“セルフねんね”ができる赤ちゃんはたくさんいるのに、お母さんたちが「抱っこしないと」「トントンしてあげなきゃ」なんてことを思い込んでしまっているんですよ。
大人はトントンされて眠っているわけではないですよね。赤ちゃんも一人の人間として考えれば、そんなことをわざわざしなくてもいいのに「赤ちゃんだから」というだけで抱っこしたりトントンしたりすると、いずれ抱っこやトントンがないと寝ない子になってしまいます。
-子どもの「自分で寝る力」を私が奪ってしまっていたんですね…。
愛波さん:お母さんたちは赤ちゃんが一度トントンで寝てくれると「あ! この子はトントンが好きなんだ!」と思い、ずっとそれで寝かしつけするようになります。でも、「これまで毎日トントンで寝かしつけていたけれど、思いきってトントンせずに寝かしつけてみたらちゃんと眠りました」なんて事例はたくさんありますよ。時には赤ちゃん自身が持つ力を信じてあげることも必要です。
今回、愛波先生にお話をうかがった中でのポイントは以下の3つ。
・月齢ごとの活動時間を把握する
・疲れすぎる前に眠らせる
・「〇〇しないと眠らない」という思い込みはNG
月齢とともに睡眠時間が大きく変化していく赤ちゃんですが、活動時間の目安を頭に入れ、眠たいサインをキャッチすることで、スムーズに寝かしつけができるかもしれません。
(取材・文/大月真衣子[ヒャクマンボルト]、撮影/高山諒[ヒャクマンボルト]、ひよこクラブ編集部)