モンテッソーリ教師が教える 「イヤイヤでパニック!」どうしたら?
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モンテッソーリ教育とは、1870年、イタリアで生まれた女医 マリア・モンテッソーリが確立した教育法で、「すべての子どもは、自ら伸ばす力(自己教育力)を備えていて、子どもたちは、その力を伸ばすために自ら行動をする。大人はその力を信じて、伸ばすために環境を整え見守る」ことを教育理念に掲げています。イヤイヤ期のかかわり方にも、独自の考え方があります。
モンテッソーリ教育では、“こだわりが強くなると同時に、子どもは自ら力を伸ばそうとする時期なので、なるべく子どもの意思を尊重するようなかかわり方”をすすめていますが、具体的にどのようにかかわるといいのでしょうか。
モンテッソーリ教育を実践している保育園で園長を務め、モンテッソーリ教師の資格を持つ神成美輝先生に、イヤイヤ期のかかわり方について聞きました。
モンテッソーリ流 イヤイヤ期の気になること解決Q&A
イヤイヤ期は、対応に悩むことがいっぱい! 周囲の目が気になり、外での接し方なども迷いますよね。よくあるママ・パパからのお悩みを、モンテッソーリ教師・神成美輝先生が解決します!
Q パパにはイヤイヤしないのに、ママには激しく感情をぶつけます
A ママに対して、甘えているのかも
ママのほうが一緒にいる時間が長いので、自然と「安心してイヤイヤできるのはママ」と思っているのではないしょうか。そうした気持ちを受け止め対応すると、甘えながらも気持ちが安定すると思いますよ。
Q 外でイヤイヤしたときの対処法を教えて!
A したいことを見極めて、できることはさせましょう
子どもの意思やこだわりを見極めて、できることはさせてあげてください。できない場合は「○○したかったね。でもここではダメだよ」と子どもの気持ちを受け止める言葉かけをしましょう。まわりの目が気になるからと、おやつなどで気をそらすのはNGです。
Q 着替えなどの生活習慣を嫌がるときは、どうしたらいい?
A 順序を見直して、選択肢をつくって子どもに選ばせて
なぜ嫌がるのか、子どものこだわりを探って受け入れるのが第一。そして着替えの順序などを、子どものこだわりを取り入れながら見直してみましょう。また歯磨きを嫌がるときは、歯ブラシを2本用意して子どもに選ばせるなど、選択肢をつくると興味を持って嫌がらなくなることもあります。
Q イヤイヤしながらパニックに。気持ちの落ち着かせ方は?
A 少し落ち着くまで待ってから、言葉をかけてください
子どもがパニックになっているときに、何かしても悪循環に陥るだけ。そのため落ち着くまで見守りましょう。できるならば子どもの気が済むまで泣かせて、落ち着いてから言葉をかけて、子どもの気持ちに寄り添ってあげてみてください。
Q 自分で食べたいのに、うまくできないとイヤイヤします
A 遊びを通して、スプーンなどを使う練習を
モンテッソーリ教育の中では、トングやスプーンでビー玉や豆などを移動させる“あけ移し”というお仕事(遊び)がありますが、家庭でも取り入れてみてはいかがでしょうか。遊びの中でスプーンなどに触れると、子どもも興味を示しやすく、上達も早いですよ。
Q かんしゃくを起こしたら、ほかのことで気をそらしていいの?
A 外に出て気分転換をするのはOKです
子どものしたいことをかなえられないときなどは、外に出て気分転換をしたり、「帰ったら、おやつを食べようね」と見通しの立つ言葉かけなどで対処するのはいいでしょう。ただし、その場を乗りきるためだけに、おやつなどで気をそらすのはやめましょう。
ママ・パパの中には「子どもがイヤイヤを連発して、疲れてしまう…」という悩みを抱える方もいるでしょう。原因として考えられるのは、“イヤイヤすると、ママ・パパが何かしてくれる”と思っていたり、怒られることでかえってイヤイヤしてしまったりするケース。そうした場合は「イヤイヤをどうにかしなければ!」とあせらずに、「そうだね。イヤだね~」と受け流してみると落ち着くこともあります。イヤイヤを減らすには、ママ・パパのかかわり方を見直すこともポイントですよ!(取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部)
監修/神成美輝先生
子育てアドバイザー、保育士、幼稚園教諭2種。モンテッソーリ教育を実践している保育園で保育士、園長として勤務し、2012年モンテッソーリ教師の資格を取得。2人の男の子のママでもあります。著書に『モンテッソーリ流“自分でできる子”の育て方』『才能がぐんぐん伸びる男の子の育て方』(ともに日本実業出版社)など。
参考/1才2才のひよこクラブ2018年夏秋号「モンテッソーリ流“イヤイヤ期”乗りきりテク」より