1. トップ
  2. 赤ちゃんの子育て・育児
  3. 「手遅れ」にならないために。原因は?治療方法は?子どもの「弱視」ってどういうもの?

「手遅れ」にならないために。原因は?治療方法は?子どもの「弱視」ってどういうもの?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

leungchopan/gettyimages

弱視には「医学的弱視」と「社会的弱視」があります。「医学的弱視」とは視力が発達する時期に適切な刺激を受け取ることができなかったために生じた弱視で、早期発見・治療すれば回復可能です。一方、「社会的弱視」は目の病気によって生じた回復困難な視力障害のことをいい、盲目や弱視を含めて「ロービジョン」ともいわれます。ここでは「医学的弱視」について、前橋ミナミ眼科副院長の板倉 麻理子先生にお話を伺いました。

関連:【危険!】早く治療すれば回復したのに…「50人に一人もいる!子どもの弱視の見逃し」に気をつけて!

「弱視」とは「視力の発達が不良で、めがねをしても視力が出ない」状態です

目の前にある物は、目の角膜(かくまく)、水晶体(すいしょうたい)などを通って網膜(もうまく)にピントが合った後に、その情報が視神経を通って脳に伝わります。視覚は8歳くらいまでに発達しますが、その間に目の病気・異常・けがなどがあって「物をくっきりと見る」ことが妨げられると、視力の発達が遅れて弱視になってしまいます。
弱視とは「めがねやコンタクトをしても視力が1.0に満たない状態」で、約50人に1人の子どもが弱視と言われています。

弱視の目は生まれてからずっとピンぼけの状態で過ごしています。それに慣れてしまっているため、よほど重症でないかぎり、見えにくそうにしている幼児はあまりいません。
両目が弱視の場合は、テレビに極端に近づいて見たり、目を細めたりすることがあります。片目の弱視の場合は、良い方の目を隠すととても嫌がったりすることがあります。しかし、いずれの場合も症状は何もなく、周囲が全く気付かない場合がほとんどです。

どうしてなるの? 弱視になる「3つの原因」

子どもが弱視になる原因は、主に以下の3つがあります。

弱視の原因1 — 屈折異常(くっせついじょう)

「屈折異常」とは、いわゆる近視、遠視、乱視のことです。それぞれ見え方の特徴は以下です。

近視…遠方ははっきり見えませんが、近くはよく見えます。
遠視…ごく軽度のものでは、眼のピント合わせ機能により遠方も近方もはっきり見えますが、ある程度以上になると遠近ともはっきり見えません。
乱視…近視性乱視と遠視性乱視、雑性(混合性)乱視に分かれます。ある程度以上の乱視があると、遠近ともに視力低下をきたします。

両方の目に強い遠視や乱視があると、いつもピンぼけの物しか見ることができないために視力の発達が止まり、弱視のリスクが高くなります。
片目だけの遠視や乱視を「不同視」と言い、この場合は片目だけ視覚の発達が止まって弱視となります。もう片方の目はよく見えるので、もっとも見逃されやすい弱視です。

ただし、ある程度の遠視でも弱視ではなかったり、逆に軽度でも弱視である場合もあり、個人差があります。軽度の遠視や乱視で視力であっても、経過で視力が少し下がってくることもあり、詳しくは眼科での検査が必要です。

弱視の原因2 — 斜視(しゃし)

「斜視」とは、物を見ようとする時に、片目は正面を向いていても、もう片目が違う方向を向いてしまっている状態です。
斜視の場合、右目と左目のとらえる映像が大きく異なります。異なる映像が同時に脳に伝達されると脳が混乱し、片目の映像をシャットダウンします。シャットダウンしたほうの目が弱視になります。

弱視の原因3 — 視線がさえぎられる

「先天性白内障(せんてんせいはくないしょう)」や、上まぶたが垂れ下がった状態になる「眼瞼下垂(がんけんかすい)」、本来透明であるべき角膜に濁りが生じてしまう「角膜(かくまく)の混濁(こんだく)」などにより視線がさえぎられる状態が続くと弱視になります。
眼帯などで黒目が覆われている場合も目に光が入らず、視力の発達が止まって弱視になってしまいます。
また、網膜に腫瘍ができる「網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)」は視力の低下や斜視を招きます。「網膜芽細胞腫」や「先天白内障」の治療は緊急を要します。赤ちゃんの時から白色瞳孔など目をチェックしましょう。

弱視の治療には「タイムリミット」があることを知って!

子どもが弱視であると診断されると、多くのママたちは「もう治らないのでは」と焦ってしまいがちです。しかし、弱視の多くは早期発見・早期治療をすることで、回復させることができます。ただし、視覚の発達は6〜8歳で完成するため、それ以降に治療を行っても思うような効果は得られず、一生弱視となってしまう場合が少なくありません。そう、弱視の治療にはタイムリミットがあるのです。

満3歳〜3歳半頃に異常を発見し治療を継続することができれば、小学校入学前までにほとんどが0.8以上の視力になり、学校生活で問題ない状態にすることができます。しかし、6~8歳から治療を始め場合は小学校の中・高学年まで治療が継続されることになり、子どもにとって大きな不利となります。小学校入学後は通院が難しく、治療を中断してしまう子どもが多いことからも、3歳児は6~8歳児にくらべて治療が容易です。

関連:赤ちゃんの視力 いつから見えて、どう発達していくの?

「手遅れ」にならないためには「眼科での検査」が大切

日常生活で気になることがあったら、迷わず眼科へ

弱視であっても、日常生活は不自由なく過ごせている子どもがほとんどです。そのため保護者も気付きにくく、発見が遅れてしまいがちです。日常生活の様子を普段から気にかけて、少しでも見え方や目の様子に気になることがあったら早めに眼科を受診することが大切です。

発達障害の疑いなどで検査がむずかしい子どもでも、早期に発見・治療することが大切です。弱視があった場合には、弱視治療によって大きく行動が改善することもあります。子どもの成長には良好な視力がたいへん重要です。

小児専門の眼科でなくても、視能訓練士が在籍している眼科は対応可能なことがほとんどです。視能訓練士がいなくても受け入れ可能な眼科もありますので、事前に電話等で問い合わせるとよいでしょう。

「要精密検査」は先延ばし厳禁!

3歳になると、3歳児健診で視力検査が行われます。ここでしっかりチェックすることもとても重要です。もしも「要精密検査」になった場合には、速やかに眼科で精密検査を受けてください。

残念なことに、「要精密検査」となった方の3割が受診していないのが現状です。子どもが不自由そうにしていないために緊急性を感じていなかったり、落ち着きがない子どもでは受診しても検査できないだろうと考えて先延ばしにしてしまうことなどが理由です。
これではせっかく早期発見できても、ムダになってしまいます。今、子どもが不自由を訴えていなくても、必ず早めに眼科を受診しましょう。

眼科での検査内容と注意ポイント

精密検査では、視力検査・屈折検査(近視、遠視、乱視などがないかの検査)・両眼視機能検査(両眼を使ったときの視覚の状態をチェック)・眼位検査(両眼の位置のズレをチェック)などを行います。家庭で片目ずつ視力検査の練習をしておくと、スムーズに検査ができます。

診断のためにたくさんの検査が必要ですが、3歳未満の子どもはじっと座って検査を行うのがむずかしい場合が少なくありません。子どもの心的負担も大きいので、医師とよく相談して検査計画を立てましょう。最初はできなくても、慣れてくると検査ができるようになってきます。

子どもの弱視はどういう治療をするの?

弱視の治療方法は、原因になっている疾患によって異なります。

遠視・乱視などの屈折性弱視の治療

メガネをかけて「物をくっきり見る」ことによって視力を発達させます。片目だけが屈折性弱視の場合は、良い方の目を眼帯(アイパッチ)で1日約2時間隠し、悪い方の目の発達を促す方法を行います。アイパッチは1〜2年間継続することになりますが、視力が回復してきたら徐々に時間や日数を減らしていきます。
両目・片目いずれの場合も、メガネは常にかけておくことが大切です。本を読むときや授業中だけかけても、弱視の治療として不十分で効果があまり得られません。

なお、メガネを作るときは、大人用の小さいサイズを選ぶのではなく、必ず子ども用のフレームを選びましょう。子ども用フレームはメガネがずれないように、耳の部分や鼻あてに工夫がしてあります。
弱視治療用メガネの購入には、5歳までは1年に1回、5歳〜9歳の誕生日までは2年に1回、上限額3万8000円程度まで補助が出ますので眼科で弱視等治療用眼鏡等作成指示書を作成してもらいましょう。

斜視による弱視の治療

プリズムメガネや手術で視線のずれを治します。
プリズムメガネとは、レンズにプリズムを組み込み、光を屈折させることにより目のずれを矯正することができるメガネです。プリズム眼鏡も弱視治療用であれば、上の「遠視・乱視などの屈折性弱視の治療」でのメガネ同様に補助が出ます。

プリズムメガネを使用するだけで治ることもありますが、場合によっては手術を必要とします。斜視の種類によって、手術が必要かどうか、何歳のときにどのような手術を行うかなどが異なります。
視線のずれを治しても視力が回復しない場合は、良い方の目を眼帯(アイパッチ)で隠し、悪い方の目だけを使う訓練をします。

先天白内障などの病気による弱視の治療

眼瞼下垂や先天白内障などが原因の弱視の場合は、原因となっている疾患を治療します。手術などを行った後に十分な矯正で見えやすい環境をつくり、さらにアイパッチなどを使用して視力の出ない方の眼を強制的に使用するトレーニングを行うことで治療します。

治療開始の時期や治療期間の長さは、弱視になった原因によって異なります。そのことからも早期に発見して治療計画を立てることが大切です。
もし見逃してしまっても、あきらめないことが肝心です。8歳を過ぎるとたしかに治療に反応しにくくなりますが、だからと言って良くなる可能性がゼロではありません。小児眼科医とよく相談して、子どもにあった治療方針を決めてあげたいですね。
(取材・文/かきの木のりみ)

監修
Profile:板倉 麻理子先生(前橋ミナミ眼科副院長)
前橋市出身。前橋赤十字病院勤務を経て、2018年11月に前橋ミナミ眼科を開院し副院長に。日本眼科学会認定眼科専門医、群馬県3歳児健康診査の眼科検査に関する検討会議委員、日本眼科学会会員、日本弱視斜視学会会員。

たまひよでは子どもの弱視について、もっと早く知っていれば・・と後悔しているママや、もう後悔しているママの姿を見たくないという医師たちの声を受け、「ストップ弱視見逃し」記事をシリーズで掲載していきます。

「ストップ弱視見逃し」記事の一覧はこちら

■おすすめ記事
おすすめの赤ちゃんとの遊び方

子育て・育児

更新

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

新着記事

新着記事をもっと見る

赤ちゃんの子育て・育児の人気記事ランキング

関連記事