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視力は8歳までに決まる?!子どもの弱視は早期発見・早期治療がカギ!【専門医監修】

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青い目の陽気な子
※写真はイメージです
Tsikhan Kuprevich/gettyimages

日本では0歳から3歳までの視覚スクリーニングが適切に行われていませんが、3歳児健診では全国すべての自治体で視覚の検査が行われます。その後多くの自治体では、就学前健診まで健診はありません。子どもの視力は、3歳ごろまでに急速に発達し、8歳ごろに成人と同じレベルに完成します。この視覚刺激に対する感受性が高い期間内に、弱視の危険があれば、早く見つけて治療をしないと、十分に視力が発達しないままになってしまいます。

弱視を見つけるためには、3歳児健診での視力検査をしっかり受けることがとても重要です。3歳児健診で行う視力検査の大切さや、健診で見逃されることがある子どもの弱視について、「3歳児健診における視覚検査マニュアル~屈折検査の導入に向けて~」(日本眼科医会・発行)の編集委員長を務めた、国立成育医療研究センター眼科診療部長 仁科幸子先生に聞きました。

子どもの目の異常は、普段の生活で気づかないことも

3歳児健診では、乳幼児健診で初めて視力検査が行われます。視力検査ではどんなことをチェックしているのでしょうか。

――3歳児健診の視力検査でわかることを教えてください。

仁科先生(以下敬称略) 左右の視力をしっかり検査することで、片目の弱視や目の病気を発見することができます。
弱視とは、脳の発育障害によって起きる低視力のことで、眼鏡をかけても視力が十分に出ない状態を言います。適切に治療をしないと、手先を使うようなこまかい作業が苦手になったり、運動発達などにも影響が出たりすることがあるため早期発見・早期治療が大切です。弱視の頻度は、50人1人といわれています。

――子どもの目の異常は、普段の生活では気づきにくいものでしょうか。

仁科 いつも顔をテレビに近づけて見るなど、わかりやすいサインを出す子もいますが、気づかないこともあります。
たとえば弱視の1つである不同視(ふどうし)弱視は、屈折異常(遠視や乱視)に強い左右差があるために起こる、片目の視力障害です。普段は正常に発達しているほうの目を中心に使って見ているので、生活に支障が出にくく、ママやパパには気づきにくいです。

弱視を早期に見つけるには、3歳児健診を正しく受けることが第一

日本眼科医会では「STOP!弱視見逃し」という動画を公開し、ママやパパに3歳児健診の大切さを呼びかけるなど、今、子どもの弱視の見逃しが課題にあがっています。

――3歳児健診での弱視の見逃しが課題になっているようですが…。先生の考えを教えてください。

仁科 3歳児健診で弱視を適切に見つけるには、家庭で行う一次検査が大切です。ママやパパは、説明書をしっかり読んで、説明書通りに家庭で検査を行ってください。説明書には、メジャーで検査距離(2.5m)を測ることや、片目ずつ視力を測るときに、ガーゼやティッシュペーパーで目を隠す眼帯を作り、のぞき見をしないように、しっかり隠すようにも書かれていますが、こうしたことも必ず守ってほしいと思います。

目測でだいたいの検査距離をとったり、手で片目を隠したりしても正確な検査結果は得られません。家庭でうまく検査ができなかったときは、必ず3歳児健診で伝えてください。たとえば前述のとおり、弱視には片目だけの視力障害もあるため“検査はできなかったけど、普段見えているから大丈夫”など、自己判断はしないことが大切です。また多くの弱視は遺伝ではないので“親が弱視でないから、子どもも大丈夫”とは考えないでください。

――弱視の発見について、ほかにも課題はありますか。

仁科 3歳児健診では二次検査のしかたが自治体よって異なっていることも問題です。
二次検査は、家庭で一次検査ができなかったり、左右の目いずれかでも0.5の視力が確認できない場合、自治体が指定する会場で視力の再検査を行います。弱視の見逃しを減らすには、視力検査だけではなく、屈折検査(焦点が網膜上に正しく合っているか、遠視、乱視、近視、不同視を調べる検査)を行うことが有効です。最近は、わずか数秒で簡便に屈折検査が行える機械を導入している自治体もありますが、高価なので屈折検査の導入率は全国でまだ28%程度です。

私は、子どもが全国どこに住んでいても、弱視の早期発見ができる健診体制を作ることが急務と考えています。

気になる様子が見られたときは、眼科で相談を

弱視は、早期発見・早期治療が大切。理想は、就学前までの治療です。

――3歳児健診で弱視を見つけることは、なぜ大切なのでしょうか。

仁科 子どもの視力は、3歳ごろまでに急成長し、8歳ごろに成人と同じレベルに完成します。そのため弱視の治療は、視力が完成する前の視覚の感受性の高い期間に行うのが有効です。
弱視の治療は適切な眼鏡を常用させることが第一ですが、次に片方の目だけが弱視の場合は、家庭で正常なほうの目に眼帯(アイパッチ)をつけて遮閉し、休憩をはさみながら2時間~4時間ぐらい、弱視の目だけで物を見る訓練を行います。就学後だとこうした弱視訓練の時間も取りにくくなります。

――弱視は、健診でしか見つけることができないのでしょうか。

仁科 日ごろから子どもの様子をよく観察してください。次のサインが見られたら、早めに眼科で診てもらいましょう。

1)片目を隠すと嫌がる
2)目つきや目の動きがおかしい
3)テレビや絵本を、近づいて見る
4)あごを上げたり、頭を傾けたり、横目で見たりする
5)ひどくまぶしがる
6)物にぶつかったり、転びやすい
7)気になる目の異常がある



――経過観察と言われた場合は、どうしたらいいでしょうか。

仁科 3歳児健診や眼科で、経過観察と言われたときは、次の検査や受診時期を必ず確認して、それに従ってください。
そのままほうっておいて、就学後、子どもが “読み書きがうまくできない”と指摘を受けたり “黒板の字が見えにくい”などと言い出してから治療を開始し、十分な治療効果が得られないケースもあります。

取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

お話・監修/仁科幸子(にしな さちこ)先生

3歳児健診では、心や言葉の発達、耳の聞こえ、歯の状態なども確認します。視力検査は、家庭で行う一次検査が主体になるので、しっかり正しく行いましょう。子どもが嫌がってできなかったりしたときは、健診会場でできなかったことを正しく伝えることが弱視など目の病気の見逃しを防ぐことにつながります。「3歳児健診における視覚検査マニュアル~屈折検査の導入に向けて~」には、家庭での検査のしかたも詳しく紹介されているのでチェックしてください。

「3歳児健診における視覚検査マニュアル~屈折検査の導入に向けて~」

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