うちの子見えてる?と不安になったら!家庭でできる「目の健康チェック」方法
生後0ヶ月から6〜8歳くらいまでは、目の発達にとても重要な時期です。この時期に目に何らかの異常があると、視覚がうまく発達しません。
目の異常を見逃さないためには日々の観察が大切です。家庭で子どもの目の健康をチェックするポイントを、前橋ミナミ眼科副院長の板倉 麻理子先生に教えてもらいました。
視覚の異常は発見が早いほうが回復しやすい!
生まれたばかりの赤ちゃんの目は、形はほぼ完成されていますが、視力は未熟で目の前がぼんやり見える程度です。生後2ヶ月ごろからピントを合わせて物を見ることや、近くの物を見るときに目を内に寄せる動き、動く物をスムーズに追いかける目の動きが少しずつ発達していきます。
ものを立体的に認識することを「両眼視(りょうがんし)機能」と言い、両目を同時に使うことで自然に遠近感や立体感が育まれます。
視力は3歳までに急激に発達し、6〜8 歳の時期に完成します。この時期に何らかの異常が生じて正常に発達できないと、眼鏡をかけても視力が十分に出ない弱視となることがあります。
3〜4歳までに異常を発見し治療を継続することができれば、小学校入学までにはほとんどが学校生活で問題ない程度の視力に回復できます。しかし、異常に気づかないまま6〜8歳を過ぎてしまうと、治療を始めても思うように効果が得られず、手遅れになってしまうこともあるのです。
幼いうちは視力検査ができないため、3歳児健診が子どもの最初の視力検査となります。異常の発見が早いほうが治療がしやすいことが多いため、日頃から家庭で目の健康をチェックし、異常を早期に発見することが大切です。
月齢別 「目の健康チェック」ポイント
日常生活の中で、子どもが下記のようなしぐさや行動をよくしていないかチェックしましょう。確認はお子さんの機嫌のよい時に行ってください。
ただし、月齢・年齢別の区別はあくまでも参考です。発達には個人差がありますので、お子さまの月齢の前後のチェックも念のため行うといいでしょう。
生後0ヶ月の「目の健康」チェックポイント
■瞳が白く見えたり、黄緑色に光って見えることがありますか?
瞳が白く見えたり黄緑色に光って見える場合の代表的な病気に「網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)」という悪性腫瘍があります。「先天白内障(せんてんはくないしょう)」も瞳が白く濁って見えます。いずれも一刻も早い治療が必要です。
■目がゆれることがありますか?
眼球がけいれんしたように動いたり揺れたりすることを「眼振(がんしん)」と言います。軽度なものは視力も正常で、物自体が揺れて見えることはありませんが、まれに目や脳に異常がある場合があります。
生後3・4ヶ月以降の「目の健康」チェックポイント
■光の反射が左右で異なっていませんか?
フラッシュを使って子どもの正面から顔写真を撮ってみましょう(単にライトを当てても確認できます)。
正常な状態の場合
通常は(A)のように、フラッシュの反射が瞳のまん中に映ります。
斜視(しゃし)の可能性がある場合
片目の反射が黒目の外側にあったり【内側に寄り過ぎ:内斜視 (B)】、片目の反射が黒目の内側にあったり【外側にずれている:外斜視(C)】、上側や下側にずれている:上下斜視(D)場合は斜視(しゃし)の可能性があります。
斜視では片方の目で物を見てしまうので、使われないもう片方の眼の視力が育たず、斜視弱視になることがあります。
赤ちゃんの場合、内斜視のように見える場合があります
また、赤ちゃんの場合、目頭の皮膚が白目を覆っていることで内斜視のように見える場合があります。片目が内側に寄っているように見える時は、下のように目と目の間をつまんで観察してください。
つまんだ時に両目の反射が瞳の中央であれば異常ありません。手でつまんで、白目を覆っている鼻側の皮膚を引き上げると鼻側の白目の面積が増え、正常であることがわかります。
定期的に行ってほしい「目の健康」チェックポイント
■片目を隠すとひどく嫌がりますか?
子どもの片目の前にそっと手をかざしてみてください。隠す手の指と指の間に隙間ができないよう気を付けましょう。片目ずつ試したとき、どちらか一方の目を隠したときだけひどく嫌がって顔をそむける場合は、視力が左右で極端に違っている可能性があります。
このチェックは月齢にかかわらず、定期的に行いましょう。
1歳以降の「目の健康」チェックポイント
■テレビや本に極端に近づいて見ていませんか?
■目を細めて見ていませんか?
上のような行動がよく見られるときは、遠視や近視、乱視などで、よく見えていない可能性があります。
■いつも決まった側に頭を傾けたり、横目でものを見たりしますか?
■片目をつぶったり、まぶしがったりしませんか?
視力が左右で極端に違う弱視や斜視などの可能性があります。
■瞬きが多い、目をよくこする、涙をよく流すなどがありませんか?
逆さまつげの可能性があります。眼にまつげが当たっても、子どものまつげは毛質が柔らかいため、本人はあまり気にしません。
気になる様子が少しでもあったら早めに眼科へ
上の「目の健康チェック」を定期的に行い、少しでも気になるしぐさ、行動があったら、眼科で専門的な検査を受けましょう。
小児専門の眼科でなくても、視能訓練士が在籍している眼科は対応可能なことがほとんどです。視能訓練士がいなくても受け入れ可能な眼科もありますので、事前に電話などで問い合わせるとよいでしょう。
診察ではママやパパの観察報告が、とても重要な手がかりになります。
「物を見ようとするときに目が揺れる」「しょっちゅう目をこすっていて瞬きも多い」など、いつから、どんな時に、どんな症状が出るのか、できるだけ具体的に詳しく伝えてください。
診察中には症状が出ないこともありますので、写真やビデオなど異常が映ったものがあると大きな助けになります。
「目の健康チェック」は異常を発見するきっかけの1つです。「いつもじゃないから判断できない」などと厳密に考えず、少しでも気になる点があったら、確かめる意味でも眼科を受診しましょう。
眼科になじみがない場合、子どもが不安感を抱くことがあります。受診前に病院でどんなことをするのか簡単に話しておくと怖がらずにすむでしょう。受診時に好きな絵本やぬいぐるみなど持参するのもおすすめです。
(取材・文/かきの木のりみ イラスト/くにともゆかり)
●この記事は、再監修のうえ、内容を一部更新しました(2022年11月)
たまひよでは「ストップ弱視見逃し」記事をシリーズで掲載しています。