子どもの遅寝は絶対にダメ⁉ 成長ホルモンのためにしたいことを米国IMPI公認・乳幼児睡眠コンサルタントにきいてみた
今回は「就寝時間と成長ホルモンの」の関係について。日本人初の乳幼児睡眠コンサルタントの愛波文さんが、赤ちゃんや子どもの睡眠について米国NYから情報を発信!
「愛波文さんのぐっすりねんねROOM#3」。
睡眠の“ゴールデンタイムって、知っていますか? ゴールデンタイムとは、人が深い眠りに入り、成長ホルモンが出る時間帯のこと。「ゴールデンタイムは赤ちゃんにもある?」「夜更かしの子は成長ホルモンが出にくくなって脳が育たないの?」など、とっても気になる就寝時間と成長ホルモンの関係について教えてくれました。
「20時に寝かせられない!」は 気にしすぎなくてOK
保育園に通っている子の場合、お迎え、夕食、おふろの時間を頑張って短くしたとしても、就寝が21時~22時過ぎになってしまうことって、よくありますよね? 子どもに十分な睡眠を与えられているか、心配になるママ・パパが多くいらっしゃるかと思います。確かに未就学児の場合、19~20時ごろ就寝が理想ではありますが、20時に寝かせられるご家庭は少ないと思います。
実は、一日に必要な合計睡眠量がとれていれば、就寝時刻が遅いことをそこまで気にする必要はありません。
月齢別の活動時間の目安とベストな睡眠時間の一覧表
(画像:愛波 文さん提供 出典:『ママと赤ちゃんのぐっすり本 「夜泣き・寝かしつけ・早朝起き」解決ガイド』(講談社刊)より)
わが家は長男が7歳、次男が4歳で、次男はまだ保育園で昼寝をしているため、保育園で2時間くらい昼寝をした日は就寝時刻が21時~21時半になってしまうときもありました。そのため、保育園に「昼寝は1時間で起こして!」と伝えたところ、それからは20時半に寝つくように。2人とも現在は20時には寝室に入り、20時半ぐらいには寝ています。そして、2人とも私より早く、朝は6時半~7時に起きます。
20時に寝かせることより 就寝時刻を毎日同じに
さまざまな研究で、乳幼児期の就床時刻や睡眠時間、生活リズムの不規則性が神経発達や実行機能、問題行動(恐怖、不安、引きこもり、身体的訴えなどの内在化問題や攻撃、非行、多動性、かんしゃく、非応諾性などの外在化問題)、肥満リスクに影響するという報告がありますので、まったく就寝時間を気にしないというのも考えものです。
成長ホルモンは最初の深い睡眠で70~80%分泌します。毎日安定して深い睡眠を得られるよう、生活リズムをきちんと整えることや、就寝時刻が毎日ばらばらでないことが何より大切になってきます。
幼稚園と保育園で行われた研究があります。226名の幼稚園・保育園に通う5歳児クラスの子どもを対象に、保育者が睡眠質問票に2週間記入。総睡眠時間、夜間入眠時刻、翌朝起床時刻とともに、保育者と面談し、子ども本人による三角形の模写を行いました。
その結果、2週間の睡眠日誌で得られた夜間入眠時刻、もしくは翌朝起床時刻において個人内のばらつきが極端に著しく(±1.5時間を超える)、昼夜の生活リズムが不規則だった子どもでは、三角形をうまく書けなかった子どもの割合が有意に多いことがわかりました。
三角形の模写ができなかった子は、「話を集中して聞くことができない」「理解していない」「持続力がない」「姿勢が悪い」「手足をふってきちんと行進できない」「突然攻撃をしかける」などの問題が見られたという報告もあります(Suzuki et al., 2005)。
就寝時刻を早めるコツは 「おふろに入らず寝る」
毎日同じ生活リズムで就寝させていれば、基本的にはOKです。けれど、就寝時刻があまりにも遅いと、小学校に入学したときに早く起きられない子になってしまい、不登校やさまざまな悩みが新たに出てくる可能性があります。ですので、できるだけ就寝時刻を早めていくことをおすすめします。
共働きのおうちで就寝時刻を早めるコツとしては、夕食は作り置きしておく、寝る準備は事前にしておく、最低でも寝る1時間前にはテレビ・スマホ・タブレットは見ない、激しい遊びをしない、ゆったりとした睡眠環境を整える、などが挙げられます。
木曜や金曜になると、子どもも親も疲れてきますよね。汗をかいていない日は、おふろはスキップして寝かせてあげましょう。体を洗わないと気が済まない子の場合は、パパッとシャワーでもOK。ちなみに、アメリカの子どもは毎日おふろには入っていません!
お子さんの成長を考え、よりよい睡眠をとらせてあげるために心がけていただきたいことは、以下の3つ。
① 朝起きたら朝日を浴び、体内時計をリセットさせること
② 日中は外気に触れ、月齢に応じた遊びをして、規則正しく食事(授乳)をとること
③ 睡眠環境を整え、寝かしつけルーティンを確立すること
これらを意識することで、質のいい睡眠がとれ、成長ホルモンも正常に分泌されますよ。(構成・ひよこクラブ編集部)