もっと早く知りたかった! 「睡眠の土台」こそ赤ちゃん寝かしつけの肝。米国IMPI公認・乳幼児睡眠コンサルタントがその秘訣を語る
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今回は「睡眠の土台」の整え方について。日本人初の米国IMPI公認・乳幼児睡眠コンサルタントの愛波文さんが、赤ちゃんや子どもの睡眠について米国NYから情報を発信!
「愛波文さんのぐっすりねんねROOM#2」。愛波さんはご長男の睡眠の土台を2ケ月かけて整えたところ、大変だった寝かしつけは必要なくなり、難なくすーっと寝てくれるようになったそうです。科学的根拠に基づいた睡眠の土台の整え方を教えてくれました。
3ステップで睡眠の土台を整えよう!
みなさん、こんにちは。 乳幼児睡眠コンサルタントの愛波文です。
この連載では赤ちゃんや子どものねんねトラブルについて、科学的根拠に基づいた改善方法をみなさんにお伝えしていきます。少しでも悩みが改善し、ママ・パパたちがいままで以上にハッピーで子育てができるようになることを心から願っております。
お子さんの睡眠について悩んでいるときに、改善をしたいけれど、どこからどう改善していけばいいかわからない場合ってありますよね? その場合、すぐねんねトレーニングを実践するのではなく、まずは「睡眠の土台」を整えていきましょう。睡眠の土台を整えるだけで、多くのトラブルが改善でき、大変なねんねトレーニングをする必要がなくなることも。
今回は、その「睡眠の土台」の整え方をお伝えしていきたいと思います。
ステップ1:睡眠環境を整える
睡眠の土台を整えるためには、まず睡眠環境を整えましょう。具多的には、安全、光、音、温度・湿度の4つの要素を確認していきます。
1つめの要素 安全
寝床が安全でないと、寝返りをし出したり、ずりばいをし始めたら、ベッドから落ちしてしまったり、事故が起こることがあります。
米国小児科学会は、「赤ちゃんにとっていちばん安全な寝床は、親と同室で別の寝床」と伝えています。赤ちゃんの寝床は、ベビーベッドでも子ども用布団でもどちらでもOK。
添い寝が悪いわけではありませんが、大人とくっついていると熱がこもってしまい、乳幼児突然死症候群(にゅうようじとつぜんししょうこうぐん)のリスクを高めたり、大人用の掛け布団や枕で窒息してしまったりする可能性もありますので、安全な睡眠環境を確保してあげることはとても大切です。
親と同じベッドで添い寝をしている場合、まだ寝返りを打たない時期はいいかもしれませんが、寝返りをし始めて動き出すと、ベッドから落ちてしまう可能性が出てくると思います。そうすると、一緒に寝ているママ(パパ)が赤ちゃんの寝返りに気づいたとき、落ちるかもしれないと思い起きてしまいます。ママ(パパ)も心配しながら寝ないといけなくなり、お互いに安眠できなくなってしまうこともあります。
ですので、安全な睡眠環境をつくることが、第一にしてほしいこと。乳幼児突然死症候群について詳しく知りたい方、は厚生労働省のこちらのページをご確認ください。
2つめの要素 光
質のいい睡眠をつくるベースは、朝の日光浴から始まります。朝起きたらカーテンを開けて、5分以上は日光を浴びることを意識してみましょう。朝は忙しいと思いますので、窓越しの日当たりがいいところでお子さんを遊ばせておくだけでOKです。
もう一つ、光で意識していただきたいのがブルーライト。スマホやテレビの画面から発するブルーライトは、睡眠時に必要なホルモン・メラトニンの分泌を抑制してしまいます。なので、見せるのは就寝2時間前までにすること。遅くとも1時間前までには終わらせたいですね。
日中と夜の区別がついてきている赤ちゃん(だいたい3ケ月以降)に関しては、日中も真っ暗な部屋で寝かせましょう。部屋に光が入ってきていると、脳が「起きていてもいい!」と反応してしまうので、眠いのになかなか眠りにつけなかったり、昼寝からすぐ起きてしまったり、早朝起きなどのねんねトラブルが起きてしまうことがあります。遮光カーテンをつけるなどして、真っ暗にしてみてくださいね。
3つめの要素 音
外の車の音、電話の音や生活音で赤ちゃんが起きてしまっていると感じたら、「ぐっすりノイズ」を使ってみましょう。「ぐっすりノイズ」とは、ホワイトノイズ(アナログテレビの砂嵐の状態で聞こえるザーザーという音)、水が流れる音、波の音など、何でもOK。寝かしつけから朝起きるまで、連続して同じ音を鳴らしておきましょう。ホワイトノイズを発生させる機械、換気扇、スマホやタブレットのアプリを使ってもいいでしょう。
4つめの要素 室温・温度
寝室の温度は、大人が肌寒く感じるくらい(20~22度)が最適です。新生児の場合は暑すぎると乳幼児突然死症候群のリスクがあがるという研究結果もあるので、衣類の着せすぎには注意をしましょう。湿度は40〜60%が最適です。
ステップ2:スケジュール・ねんねルーティンの確立
実は、赤ちゃんは起きていられる時間がある程度決まっています。それが活動時間です。もちろん赤ちゃんは1人1人違うので、多少のズレはあるかもしれませんが、この活動時間を大幅にオーバーしてしまうと、疲れすぎてしまいます。ストレスホルモンのコルチゾールが過剰に分泌されてしまうことで、逆に興奮状態になってしまうこともあるのです。
疲れすぎて興奮した赤ちゃんの状態を見て、親は「まだまだこの子は元気だわ!」と思い、もっと活動させてしまいます。そうするとどんどん疲れてしまい、寝ぐずりや夜泣きのねんねトラブルの原因につながってしまいます。各月齢の活動時間を確認していただき、活動時間内に寝かしつけをしてみてください。たとえば赤ちゃんが6ケ月の場合、活動時間が約2時間から2時間30分なので、起きてから2時間半で寝ている状態がベストです。なので、寝かしつけは起きてから2時間ぐらいたったときから始める必要があります。
活動時間に関しては以下の表をご確認ください。
出典:ママと赤ちゃんのぐっすり本 画像提供:愛波 文さん
ステップ3:幸福度をアップさせる
幸福度とは親子ともにどれだけ心が満たされているかです。これはなかなか難しいことですが、毎日コンサルテーションや個別相談を行っている中で感じるのは、「ママたちはみんな頑張りすぎている」こと。子どものために一生懸命になるのはいいことですが、それでママがハッピーでなければ疲れてしまいます。
私も長男が生まれたときに、「この子のためなら私のことはすべて犠牲にしていい!」と、とにかく毎日必死に育児をしていました。でも、そうしていたら、自分が体調を崩し、ボロボロになっていき、まったく笑っていないことに気づいたんです。
ママ(親)の幸福度が高いと、その感情が赤ちゃんに伝わり、余裕を持って優しく子どもに接すことができるようになります。すると、自然と寝かしつけがスムーズになることがあります。寝かしつけがスムーズになると、赤ちゃんがぐっすり寝てくれるためママの睡眠の質もよくなり、さらに幸福度がアップして、育児にどんどん余裕が出てきます。
親子ともに幸福度をアップしていくには、まず親や保育者が自分自身を満たしてほしいと思います。何をしている時がいちばんハッピーなのかを考え、それを実践していくことが大事。
私はとにかく寝たいと思っていたので、限界にきたときは平日にベビーシッターを頼みました。リビングで長男を見てもらいながら、私は寝室で昼寝をしたことも。主人に「誕生日、何が欲しい?」と聞かれたときに、当時は「睡眠と自分の時間」と答えていましたよ(笑)。
自分の幸福度をアップすることで、子どもにも変化がみられるようになると思います。お子さんと毎日1対1の時間をとることを意識すると、お子さんの幸福度もアップします。1対1の時間では、子どもと真剣に向き合ってほしいと思います。一人遊びが上手になってくると、ママはついやらないといけない家事をしてしまうと思うのですが、1日20分くらいはテレビなし、スマホなしで、真剣に一緒に遊んでみましょう。
ワーキングママの場合、1日20分は難しいかもしれません。そうしたら、3分でもOK。30秒ぎゅーとハグをすることで、ストレスや不安を軽減させることができますので、それは意識してやってみてくださいね。
ステップ1、2、3の順に実践して、「睡眠の土台」から改善を行ってみてください。
私は長男のとき、あまりにも寝てくれなくて悩んで睡眠についての勉強をして、2ケ月かけて睡眠の土台を整えていきました。まずは安全な睡眠環境を整え、遮光カーテンを購入し、入眠時には寝室を真っ暗にしました。そして、活動時間を意識し寝かしつけをしてみたら、それまでグズグズで寝かしつけに3時間ほどかかったこともあったのが、すーっと寝るようになりました。長男が寝てくれるようになり、少しずつ余裕が出てきて、10ケ月になったころにセルフねんねのトレーニングを行ったところ、4日で「大好きだよ、おやすみ」とベビーベッドにおくだけで、朝までぐっすり寝てくれるようになったんです! そこから気持ちも生活も180度変わり、こんなに育児が楽しいものなんだと感じるようになりました。
悩んでいるみなさんも絶対改善できますので、大丈夫ですよ。あせらず一貫性をもって、睡眠の土台を整えていってくださいね。(構成・ひよこクラブ編集部)