乳歯だって虫歯にさせるのはNG!永久歯が適切な位置に生えないことも
「乳歯はどうせそのうち抜けて、大人の歯に生えかわる。むし歯になっても問題ないんじゃないの?」そう思っていませんか?
実は、乳歯が健康であるかどうかは、赤ちゃんのその後の成長にもかかわる大事なことなんです。「知らなかった!」では済まされないので、今、知っておきましょう。
幼児のむし歯予防にも詳しい、ほりぐち歯科(東京都大田区)の堀口尚司先生に、乳歯のむし歯がよくない理由を教えてもらいました。
乳歯のむし歯は永久歯にも影響が…
乳歯をむし歯にさせてはいけない理由のうち、代表的なものを堀口先生に聞きました。
【むし歯にさせちゃダメ!な理由1】 永久歯がむし歯になりやすくなる
乳歯がむし歯になると、口の中はむし歯菌だらけになってしまいます。その中に新しく生えてくる永久歯は、自ずとむし歯になりやすくなります。生えてから1年ぐらいの永久歯は、特にむし歯になりやすいので注意が必要です。
【むし歯にさせちゃダメ!な理由2】 永久歯が適切な位置に生えない可能性がある
実は乳歯は、永久歯が適切な位置に生えてくるためのガイド役でもあります。もし乳歯がひどいむし歯になって、抜け落ちてしまうようなことがあると、適切な位置に永久歯が生えてこず、歯並びが悪くなってしまうおそれがあります。
【むし歯にさせちゃダメ!な理由3】 かむ力、かみ合わせの発達に影響する可能性がある
1歳以降は、奥歯が生えてくる子が増えます。かむ力やかみ合わせは、前歯と奥歯を使うことによって発達していきます。乳歯がむし歯になってしまうと、かむ力が弱くなったり、歯並びに影響が出てかみ合わせが悪くなったりするおそれがあります。
【むし歯にさせちゃダメ!な理由4】 子どもの心と体の成長に影響する可能性がある
健康な歯でしっかりかむことは、子どもの心と体の成長にとても重要なことです。かむ運動により脳への血流量が増えるほか、五感が刺激されることで心も成長します。健康な歯を保つように心がけましょう。
むし歯にならないために心がけたい習慣
【むし歯を防ぐために身につけたい習慣1】歯ブラシの習慣をつけよう
幼児のうちはママ・パパによる仕上げ磨きが大切です。仕上げ磨きは、しっかり行えば1日1回で十分です。歯磨きを嫌がる子どもも多いので、歌を歌ったり話しかけたりしながら、楽しい時間になるように工夫しましょう。歯磨き剤には、むし歯予防に効果があることがわかっているフッ素配合のものがおすすめです。
【むし歯を防ぐために身につけたい習慣2】食習慣を見直そう
歯磨きだけでむし歯を防ぐことはできません。歯磨きの有無以上に大きな影響を与えているのは、実は食生活です。食事をすると、食べ物はがむし歯菌によって分解され酸になります。口の中が酸性に傾くと、歯のエナメル質が溶けだしてしまいます。この状態が長く続くとむし歯リスクが高まるので、ダラダラ食べ、ちょい食べなどの習慣がないか、見直しましょう。
【むし歯を防ぐために身につけたい習慣3】むし歯がなくても定期的に歯医者に行こう
歯医者はむし歯のときだけ行く場所ではありません。予防のため、定期的に歯の状態をチェックしてもらうようにしてください。子どもだけでなく、大人も同様です。親子で歯の健康維持に取り組みましょう。
冒頭、「知らなかった!では済まされない」などと言っておきながら、実はこの記事のリサーチで「へえ~、知らなかった」と感心するばかりであった筆者。子どもの歯だからといって、甘く見てはいけないですね。歯の健康は、その人の一生の健康にもかかわる大切なこと。子どもが自分でケアできないうちは、親がしっかりとケアしてあげたいですね。(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)
監修/堀口尚司先生
東京医科歯科大学歯学部卒業、同大学院保存修復科修了。虎の門病院勤務を経て2004年に「ほりぐち歯科」を開業。モットーは「子どもの気持ちに寄り添った治療」。
参考/「1才2才のひよこクラブ」2015年冬春号「むし歯にさせない歯磨き習慣ガイド」