貯蓄だけでいいの? 教育費は? 老後は? 新米ママ・パパはお金をどう学ぶ?
連載第2回。今回のテーマは、「インデックスファンドってなに?」。
将来のお金が不安。投資も気になるけど、子育てが忙しくて手が回らない……という新米ママ・パパに伝えたいのが、手間をかけずにできる、ほったらかしインデックス投資。ブログで投資経験を綴り、著書も出版、インデックス投資家のバイブル的存在として知られる投資ブロガー・水瀬ケンイチさんが、超カンタンガイドしてくれます。
「新米ママ・パパむけインデックス投資講座。教えて!ほったらかし投資家・水瀬さん」第2回。
インデックス投資って何?実際何買えばいいの?
こんにちは!水瀬ケンイチです。前回の連載初回では、インデックス投資は、「手間がかからない」点で、とてもラクチンな投資法であるとお伝えしました。
カンタンにおさらいしますと、インデックス投資で行うのは、
・毎月、「インデックスファンド」を積み立てで買う
・年に1度、リバランスする
この2つだけ。
でも、いきなりインデックスファンドを買えと言われても、そもそもインデックスファンドがなんなのか、何を買えばいいのか戸惑いますよね。
そこで今回は、インデックスファンドとはなんなのか? 実際にどんなインデックスファンドを選べばいいのか? をご説明していきます。
インデックスファンドとは、投資信託の一種です
まずインデックスファンドの「ファンド」とは「投資信託」のこと。つまり、インデックスファンドとは、投資信託の一種です。
そして、「インデックス」とは、「指数(たとえば日経平均株価など)」のことを指し、こうした指数に合わせた運用を目指す投資信託の商品ですよ、という意味になります。
はい、いきなり難しくなったーと思ったママ・パパ、大丈夫です。
要するに、1つの銘柄に投資する株とは違って、もっと大きな経済の動きに投資するものだと思って下さい。
個別の株を買ったら、値上がったり、値下がったり、ひどいときは会社自体が倒産…なんてリスクもありますが、インデックスファンドの投資先は市場全体。株のように大儲けは期待できない代わり、リスクを分散でき、大きく負けることも少ない投資法として、世界的に使われています。
ちなみに、インデックスファンドとよく対になって語られるのが「アクティブファンド」。これらは、投資のプロがその手腕をがっつり振るい、指数以上の成績を目指しますよ〜と運用する投資信託になります。
ランキングに頼ってはダメ!
へー、なるほどね。じゃあさっそく買いましょう……と思っても、これがどっこい。いざネット証券にアクセスすると、投資信託の商品は山のようにあり、ものすごく選びにくいのが現状です。
なぜなら、投資信託の売り場は、インデックスファンドもアクティブファンドもごちゃまぜ。商品名もやたらに長く、「日本株式」だの、「新興国」だの種類もいろいろで、とても分かりにくいのです。
結果、「投資信託売れ筋ランキング」などに頼って、適当に選んでしまうことに。それではうっかり、ムダに手数料が高いファンドや、自分に合わないリスクのファンドに、毎月お金を払い続けることになりかねません。
はい。前段はこのぐらいにしましょう。じゃあどうすればいいの?何を買えばいいのか、早く教えて!という声が聞こえてきそうですので、さっそく、選び方をご紹介いたします!
イチオシは、「全世界株式」と「日本債券」の組み合わせです
インデックスファンドの選び方で、万人向けで理にかなった方法として私が皆さんにおすすめしたいのは、
●全世界株式(のインデックスファンド)
●日本債券(のインデックスファンド)
の2つを組み合わせる方法です。
たくさん商品があっても、とにかく、インデックスファンドの中でこの2つのタイプだけふるいにかければOK。
1つずつ、説明しますね。
「全世界株式」は、世界の株式市場がまるっと入っているファンドです。前回、インデックス投資とは、世界経済の成長に乗って資産を大きくしていく投資法だとご紹介しましたが、それが、これ1本でカンタンにできます。
わざわざ「先進国」だの「新興国」だのと、ややこしく考えなくても、世界経済の縮図のごとく、これひとつにまるごと入っているのです。
「日本債券」は、文字通り、国内の債券に投資するファンド。債券は、値動きが少ない金融商品です。期待できるリターンは少ないのですが、株式のリスクを減らすクッションになってくれるのが、組み合わせる理由。株式市場が暴落したときは、安全資産として価値が高まり、資産を守る働きをしてくれます。
今、買うならこの2本!
選ぶインデックスファンドについてご理解いただいたところで、いよいよ、具体的にどの商品を選べば良いのかをご紹介しましょう。
結論から申し上げますと、ズバリ、この2本です。
●eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
●eMAXIS Slim 国内債券インデックス
eMAXIS Slim(イーマクシス スリムと読みます)は、ブランド名と考えればわかりやすいかな。ちなみに、Slimがつかない「eMAXISシリーズ」もあります。会話で出たら「Slimのほうね」と言うと、ちょっと通っぽいです(笑)。
インデックスファンドには、さまざまなブランドがあります。今回はどちらも、たまたまeMAXIS Slimシリーズになりましたが、私は決してこの商品の回し者ではありません。
インデックスファンドを選ぶ、最も大事なポイントは「コスト」です。この2本はコスト面で現在、最も安いのでベスト1としました。
インデックスファンドは、市場に連動する成績を目指すものなので、同じ「全世界株式」のカテゴリーであれば、どれも中身は似てきます。つまり、どの商品を選んでも結果にあまり大差はないので、できるだけコストが安いものを選ぶのが鉄則なのです。
コストはとても重要ですので、いずれまた詳しく解説しますね。
投資の開始は、自分が取れるリスクを決めてから
買う商品も分かったし、さっそく積み立てを開始!といきたいところですが、あともう少しだけ! まだ買わないでくださいね。
インデックス投資では、始める前に「どのぐらいまでならマイナスになっても耐えられるか」を考えておくことが極めて重要です。
かつての私のように、リスクを理解せずに始めたり、家計に見合わない金額を投資につぎ込むのは危険です。
次回はとってもとっても重要な「生活防衛資金」についてのお話をさせていただきます。
ではまた!
監修・水瀬ケンイチ イラスト・おぐらなおみ
1973年生まれ。IT企業に勤める会社員であり、個人投資家。2005年より、ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」で自身の投資経験を綴り、インデックス投資家のバイブル的存在として認知される。著書に「お金は寝かせて増やしなさい」(フォレスト出版)など
取材・文 大上ミカ
お金は寝かせて増やしなさい
参考文献:水瀬ケンイチ著書
お金は寝かせて増やしなさい(フォレスト出版)
全面改訂 ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド(朝日新書)
投資は元本保証がありません。資産運用はあくまでもご自身の責任で行ってください。本連載の内容を実践したことによって被る損害については、いかなる理由があろうとも、監修者、運営社、執筆者ともその責任は負いません。