「大丈夫」「なんとかなる」、子どもに意識してかけたい前向きな言葉。幸せホルモン“セロトニン”の分泌を促す
撮影/小山志麻
「幸せは、周囲にじわじわと広がっていくもの。そのためわが子を幸せにするには、まずはママ・パパが幸せへの階段を上っていくことが必要です」
そう語るのは、“幸福学”の日本の第一人者である、慶應義塾大学大学院教授・前野隆司先生。
わが子を幸せにするために、ママ・パパができることについて話をうかがいました。
ポジティブな感情が、幸せの第一歩!
子どもの幸せというのは、日々の積み重ねで築かれていくものです。わが子を幸せから遠ざける、いちばんの要因はママ・パパのネガティブな感情。ネガティブな感情は、その人自身が作り出すものです。たとえば、お皿の上にケーキが半分あるとします。「まだ半分もある!」ととらえる人がいる一方で、「もう半分しかない」ととらえる人もいます。
同じ状況でもポジティブにとらえるか、ネガティブにとらえるかは、その人次第です。ポジティブな子育ては、子どもを幸せにして生きる自信を与えますよ!
わが子を幸せに導くポイントはコレ!
わが子を幸せに導くには、親子のかかわり方がポイントになります。0~4歳の子育てで、意識して欲しいポイントを紹介します。
親が意識したいポイント5
□人と比較せずに、わが子の成長を穏やかに見守る
他人の目を気にせずに、自分らしく振る舞える子は幸せを感じやすいことがわかっています。そのため人と比べたりせずに“うちの子はうちの子”と穏やかに見守って育てましょう。そうすることで、子どもの心は安定し、幸せにつながります。
□愛情をたっぷり注ぐ
抱っこしたり、頭をなでたりするなどスキンシップをとって、たっぷり愛情を注ぎましょう。ママ・パパの中には、過保護を心配する方もいるかもしれませんが、口出し、手出しをし過ぎなければ大丈夫! 中学生ぐらいになると自然と親から離れていきます。
□言葉かけはポジティブに
ネガティブな言葉かけはクセになりやすいので、ポジティブな言葉かけを意識してみてください。とくに「大丈夫よ!」「なんとかるよ!」など、楽観的で前向きな言葉かけをすると、脳内神経伝達物質の幸せホルモン“セロトニン”が分泌されて、幸せを感じやすくなります。
子どもに言い聞かせる場合は「××したらダメだよ!」と否定するのはNG。「〇〇はよくできたね! ××だともっといいね」と、できたことをしっかり認めた上で、「さらに××するといいね!」とアドバイスしましょう。そうすることで子どもは、明るい気持ちでアドバイスを聞けます。
□夫婦で仲よく、認め合う
子どもも大人も関係なく、人はほめられることによって自己肯定感が養われ、成長を遂げます。そのためママ、パパもお互いに感謝の気持ちを素直に伝え合える関係を築きましょう。ほめるところがないと悩んだときは「あなたがいてくれてよかった!」のひと言で十分。
ママ・パパが仲よくしている姿を見るだけで、子どもは幸せを感じます。
□人の輪を広げ、多様な価値観に触れる
子育て中は、限られたママ友たちとだけ仲よくするなど人間関係が狭くなり、同じような価値観をもつ人とつながりがちです。しかし、公園などで高齢者や子どもの年齢が違うママ・パパ、諸外国のママ・パパなどと話をすると、多様な価値観に触れられ、新たな気づきを得られることもあります。ママ・パパの心が柔軟だと、子どもの心も柔軟になります。
「わが子を幸せに導くポイントはコレ!」参考になりましたか。幸福学を家庭でも実践されている前野隆司先生いわく、息子さんが大学生になったとき「僕はまだ何になれるかわからないけれど、幸せになる自信だけはあるから、お父さん、お母さん安心して」と言われたそう。子どもを幸せにするということは、生きる喜びや自信を与えること。子育てが一段落したときに、そんな言葉をかけてもらえたら、親としてはうれしいし、心強いですよね!(文・麻生珠恵、ひよこクラブ編集部)
前野隆司先生
「幸福学」研究の第一人者。著書『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン/1500円)が話題に。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授、研究科委員長。ロボット、教育、地域社会、ビジネス、幸福な人生など、さまざまなデザイン・マネジメント研究を行う。