子どもに必要なのは丁度いい「見られて」「守られて」いる安心感、過度な見守りはNGな理由
撮影/小山志麻
子育ての中で“見守る”という言葉をよく耳にすると思います。しかし、子どもを見守る、育ちを見守るというのは、本当はどういうことなのでしょうか。
“子どもの心に寄り添う保育”を理念に、37年間にわたり自主保育・りんごの木(横浜市都筑区)を運営する、代表・柴田愛子先生に教えていただきました。
子育てで、見守るとは“見る + 守る”こと
育児書や育児雑誌を読んだり、子育て講座などに参加したりすると、“見守る”という言葉によく触れると思います。ママ・パパは、子育ての中で“見守る”と言われたら、どのようにとらえますか。
柴田先生は「見守るとは、単に子どもを見ていることではありません。“見る+守る”ことです」と言います。
「子どもは、ママ・パパから暖かいまなざしで見られ、何かあったときは守ってもらえることで安心感を覚えて、健やかに成長します。
たとえば、子ども同士のけんかで、わが子がピンチになったときは“もう嫌だよね! 終わりにしよう”と間に入って守ってあげてください。そばで見ているだけでは、見守るとは言いません」
子どもの生きる力を信じて、見守る子育てを
0~4歳は、発育発達が目覚ましい時期ですが、個人差が大きいもの。そのため「病気などの特別な理由がなければ、まわりの子と比べて“うちの子、まだ歩き始めない”“まだ言葉が話せない”などで、あせる必要はありませんよ」と語る柴田先生。
「りんごの木でも“うちの子〇〇がまだできないんです。大丈夫でしょうか?”という悩みをよく聞きますが、時間が解決してくれることがほとんどです。私がいつもママやパパに伝えているのは“子どもが持って生まれてくる力を信じて、少し待ってあげて”ということです。おすわりやはいはい、つかまり立ちができるようになるのは、ママ・パパが手取り足取り教えてあげるからではないですよね。わが子の生きる力を信じて、育ちを見守ってあげてください」。ただし、過度になるのは考えものだそう。ママ・パパが守り過ぎると、親への依存度が高くなったり、自主性の芽が育たなくなったりすることも。“守る”の目安は、危険なときと子どもが本当に困っているとき。「助けたほうがいいかな?」と悩んだときは、子どもの目をよく見て、子どもが本当に助けて欲しいかどうか判断してみるのもいいそうです。(文・麻生珠恵、ひよこクラブ編集部)
柴田愛子先生
りんごの木子どもクラブ代表。保育者。37年間、「子どもの心に添う」を理念に保育を実践。保育雑誌への寄稿、保護者や保育士向けの講演活動も行う。近著に『今日からしつけをやめてみた』(主婦の友社/1200円)がある。