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出産でキャリアを中断せざるを得なかったママたちの「新しい働き方」

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共働き家庭が多数派となった今、多くのママやパパが仕事と育児の両立に試行錯誤しています。その一方で、「育児と両立するにはどうすればよいかを考えたことで、より効率的で自分らしい働き方を見つけた」という声も聞こえるようになりました。この連載「わたしと子育てと仕事」では、家庭を大切にしながら前向きに仕事に取り組んでいるママパパの“ここだけの話”を紹介。両立の工夫やタイムスケジュール、働くことへの思いなどをお届けします。

連載「わたしと子育てと仕事」【第1回】目からウロコの“濃縮麦茶”!開発の裏には、働くママの悩みと愛情がたっぷりでした

出社は週1日のみで、残りの4日は在宅で働く。今回紹介する杉山優子さんと、一児のママ、相原紗代さんが所属するPwC Japanグループでは、このような「在宅秘書」のシステムを2015年から導入しています。今回は、同社で在宅秘書の日本への導入・運用に携わってきた杉山優子さんと、実際に在宅秘書として働く相原紗代さんにお話を聞きました。子育て中の働き方について、それぞれにどのような思いがあるのでしょうか。

ママたちがキャリアをあきらめずに済む働き方を

在宅秘書という働き方は、もともとPwC米国法人で考えられたシステム。より優秀な人材を秘書として雇用するために検討した結果、昨今は秘書業務もリモートで行うことが増えているという理由から、「週5日出社」を採用条件から無くしたのです。つまり、当初は”働くママのために”考えられた働き方ではありませんでした。
一方、PwC Japanグループにおけるシステムの立ち上げに携わってきた杉山優子さんは、在宅秘書を日本に導入した経緯を次のように説明します。

「1986年の男女雇用機会均等法の施行から30年余りが経ち、多くの女性が4年制大学卒業後に総合職として入社するようになりました。かつては、秘書は一般職の女性たちにとって花形の仕事でしたが、男性と肩を並べて働く女性が増えたことで、秘書志望の女性は減少。パートナーのサポート業務を行っていただく優秀な秘書を積極採用している弊社にとって、この状況に危機感もありました。一方、出産を機に職を手放さざるを得ない女性も少なくない時代。そこで注目したのが、米国法人で成果を上げていた在宅秘書という取り組みだったのです。」

ちょうどその頃、ある友人との会話がきっかけで、杉山さんは在宅秘書を日本に導入する必要性をより強く感じるようになったといいます。

「『私のママ友に、昔はバリバリ仕事をしていたんだけど、今は専業主婦になっている人がいるの。自分ができることを活かしてもう一度働きたいと言っているのだけど、何かいい仕事はない?』という相談を受けたんです。日本には、高い能力を持ち、仕事で十分な実績がありながらも、結婚・出産を機に家庭に入る女性が大勢います。私自身も、優秀な女性が育児との両立ができずに仕事をあきらめるケースをたくさん見てきました。このような女性たちに、在宅秘書として活躍できる機会を提供できれば、会社にとっても女性たちにとってもWIN-WINの関係を築けると思いました。」
 
PwC Japanグループの在宅秘書の応募条件は、TOEIC850点以上、社会人経験10年以上、中級レベル以上のパソコンスキルが必須。かなりハードルが高い条件であるにもかかわらず、いざ公募をしてみると想定を超える応募があったといいます。

「皆さん優秀な方ばかりなのですが、面接を受けることができたというだけで『ありがとうございます』と御礼の言葉を口にされます。『長い間、家の中で髪を振り乱して子育てをしていたから、オフィスビルに入るだけでドキドキしてしまった。でも、自分ができることを活かして、もう1回、社会とつながりたいんです』と。キャリアを中断せざるを得なかった女性たちのこうした切実な思いを叶えることが、本当の意味での女性活躍推進につながるのではないでしょうか。」

ママが在宅で働くことは子どもにとってもプラスに

在宅で働きながら子育てをする女性が増えることは、日本社会全体にとっても良い影響をもたらすと杉山さんは考えています。

「ママが仕事をしている様子を見れば、子どもたちは『自分も将来はこんなふうに働くんだな』とイメージしやすくなります。日常のふとした親子の会話の中で、自分の経験をもとに社会とつなげて話ができるママって素敵だと思うんです。
そして、働く母親の姿を間近で見て育った子どもたちは、将来、自分が共働きで子育てをすることになったとき、家事や育児の分担も含めてパートナーと助け合いながら生きていける人になるのではないかと思います。」

杉山さん自身も、男の子を育てながら働くワーキングマザー。息子さんには日頃から、「ママが直接お世話になっている人だけでなく、目には見えないところでママを支えてくれている人々も含めて、みんなであなたを育ててくれているのよ」と伝えているそうです。

「子どもがいると急な発熱などで仕事を休まざるを得ないこともあり、私もこれまで、上司や同僚をはじめ、たくさんの人のサポートに支えられてきました。子育て中は自分ではコントロールできないこともたくさんあるので、開き直ることも大切です。自分の経験も踏まえつつ、ママたちが無理なく安心して働ける制度や環境を整えた上で、『子どもがいるんだから、できないことはできないと開き直っていい。あなたの力を活かせるように、まずは一歩を踏み出してみて』と背中を押すことができるような存在でありたいと思っています。」

5歳児のママが在宅秘書の働き方を選んだ理由は?

このような考え方に魅力を感じ、2018年の9月から在宅秘書として働き始めたのが、保育園の年長の娘さんがいる相原紗代さんです。

大学の英文科を卒業した相原さんは、1年間のイギリス留学の経験があり、英検準一級、TOEIC 935点を取得している高い英語能力の持ち主。メーカーで海外営業の仕事を経験し、出産後は特許事務所でパートとして働き始めましたが、仕事・家事・育児で大忙しの毎日を送る中で「もっと時間を有効に使える方法はないかな?」と考えるようになり、在宅で働こうと決意。在宅秘書になる前は、個人事業主として翻訳や英語を使う業務の委託を受けていたといいます。

「個人事業主は自分の裁量で仕事ができるという魅力はあるのですが、収入が安定せず、仕事の幅が広がらないという課題も感じていました。そんなとき、PwC Japanグループの在宅秘書の公募を見て、フルタイム勤務でありながら在宅で働けるという点に魅力を感じ、応募してみることに。面接の場で、PwC Japanグループが在宅秘書を導入したのは『家庭も仕事も大切にしたいという女性の願いを叶える働き方を普及させたい』という思いがあるからだという熱意のこもったお話を聞いて、ぜひ挑戦してみたいと思いました。」

個人事業主として仕事をしていたときは、納期直前には土日返上で働くこともあったという相原さん。現在は土日はお休みなので、オンとオフのメリハリがしっかりつくようになったそうです。

「娘との時間を大切にできるように、小学生のうちくらいまでは現在のペースで仕事と家庭を両立していきたいと考えています。私たちが在宅秘書として質の高い仕事をすることは、同じような状況にある人たちの働き方の選択肢を増やすことにもつながるはず。だから、在宅でも出社している人と比べて遜色なく働けると身をもって証明できるように、在宅秘書の仕事を究めていきたいです」と在宅秘書への前向きな思いを語ってくれました。

【関連記事】キャリア寿命をグングン延ばそう!すぐに実践できる 「新しい働き方」5つのポイント

会社で働くか、個人で働くかという二者択一を迫られる時代から、会社に属しながらも自分のペースで働くという道が選べる時代へ。在宅秘書は、ママたちが自分の能力を活かして自分らしく働くことを可能にする、新しい時代に合ったワークスタイルなのかもしれませんね。

文/安永 美穂
早稲田大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーライターとして独立。ベネッセコーポレーション進研ゼミの情報誌などで、受験・進路・キャリアにまつわる記事や人物インタビューを数多く手がける。また、1児の子育て経験や保活経験を生かし、雑誌やウェブサイトで、子育て・ワーキングマザーの生き方・企業の両立支援策などについての取材・執筆も行っている。

企画・構成/たまひよONLINE編集部

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