赤ちゃんの生活習慣づけ、0歳、1歳、2歳、それぞれのポイントを解説
子どもに生活習慣をていねいに、教えても「なかなか身につかなくて…」と悩むことはありませんか。生活習慣を身につけさせるには、教え始める時期の見極めと教え方にコツがあります。
臨床心理士で子どもの発育・発達に詳しい、日本女子大学人間社会学部心理学科教授 塩崎尚美先生に話を聞きました。
悩んでいるママたちは、意外とたくさん!「生活習慣いつからはじめる?」
生活習慣を身につけるには、多少個人差があるため、まわりと比べてあせってしまったり、「生活習慣が身につかないのは、私のせい!?」と悩んだりすることも…。ママたちの声を紹介します。
●最近、うんちをするとおむつを持ってくるようになりました。トイトレっていつからスタートするといいですか? (1歳の子のママ)
●知り合いに「1歳9カ月でおむつが取れた子がいるから、2歳で取れてないのは遅いんじゃない?」と言われ不安に。「2歳半から3歳過ぎが平均」と聞いたこともあるのですが…。トイトレって、何歳から始めるの?(2歳3カ月の子のママ)
●食事は半分ほど食べると「食べさせて~」と言われます。体が小さく、本人に任せていると好きなものだけ食べて終わるので「食べさせちゃえ!」と思う一方で、「そろそろ3歳だから…」という不安もあります。ほかの子は、自分で食事食べているのかな?(2歳8カ月の子のママ)
●私が、手を出しすぎていたと思うのですが、衣類の脱ぎ着はもちろん、くつ下も自分で履こうとしません。いつごろから、一人で着替えたりできるのでしょうか? (2歳10カ月の子のママ)
年齢別にチェック! 生活習慣の教え方
幼児期に身につけてほしい主な生活習慣には、①自分で食事が食べられる、②手洗いができる、③歯磨きができる、④トイレに行って用を足せる、⑤着替えができるなどがあります。
塩崎先生によると、これら5つの生活習慣を身につけるには「2歳になったから、〇〇を教えよう!」と急に取り組むのではなく、1歳から徐々に始めてベースを作っていくことが必要だそう。年齢別のかかわり方について紹介します。
1歳代/親子で一緒に取り組んで、生活習慣のベースを作ろう
1歳代は、ママやパパと同じことをしたがり、言葉の理解も深まる時期なので、それぞれの生活習慣のベースを作るのに最適な時期です。たとえば、食事前に手を洗うときは、ママやパパが一緒に手を洗いながら「手がきれいになって気持ちいいね! ごはんにしよう」など声をかけましょう。そうした繰り返しが、2歳代になって「自分でしたい!」という意欲につながります。
2歳代/「自分で!」という意欲を刺激して、できることを増やす
2歳代になるとイヤイヤ期が本格化しますが、イヤイヤ期は「自分で!」という強い意欲が表れる時期でもあります。そうした意欲を刺激しながら、できることを1つずつ増やして。
また2歳代は、完璧にはできない時期なので、たとえばスプーンを上手握りしているときは、さりげなく下手握りに変えてあげるなどして、間違えをやさしく正すことも必要です。
3歳代/自分でできることが多いけれど、そばで見守って
3歳代は「自分でする!」という意欲がより高まり、着替えや手洗い、食事などは、ほぼ自分でできるようになりますが、まだママやパパのサポートが必要な面も。そのため横で見守り続けて。トイレから出てきて、手を洗い忘れていたら「手は洗った?」と聞いてあげたりすることが、生活習慣の定着につながります。また3歳代になったら、ママやパパが手伝ってあげることは必要最小限にとどめて。手伝うことがくせになってしまうと、生活習慣の自立にも影響します。
4歳代/ほとんどのことが自分でできるように!
4歳代になると、ほとんどのことは自分でできるようになります。またママやパパが声をかけなくても、起きたら着替えをするなど自分で判断して、行動するようにも。もしママやパパが、声をかけないと着替えたりしない場合は、「起きたら、まず着替える」「着替えが終わったら、歯を磨く」などルーティーンをしっかり決めて、慣れるまでは声をかけて導いてあげましょう。
生活習慣の自立には、1歳代から普段の生活の中で、自然に生活習慣に触れていくことが大切。たとえば1歳代では、本格的なトイレトレーニングはまだ早いのですが、「おしっこはトイレでする」という意識づけするのが重要です。また「3歳ごろになると、ボタンの留め外しもできるようになりますが、そのためには2歳ごろから、積み木を積むなど手指を使うような遊びを十分にしておくと、ボタンの留め外しが比較的スムーズ」とのことです。(取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部)
監修/塩崎尚美先生(日本女子大学人間社会学部心理学科 教授)
臨床心理士。専門は発達臨床心理学、乳幼児からの親子関係、子育て支援。一男一女のママでもあります。
※文中のコメントは『ウィメンズパーク』からの抜粋です。