2才になっても、おむつはずれをスタートしたがらないママたちの心の声にプロが答えます
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最近は、Lサイズよりも大きい、「ビッグサイズ」の紙おむつが売られていたり、ひと昔前ほど「幼稚園入園までにおむつをはずさないといけない」というプレッシャーもないせいか、おむつはずれのスタート時期が遅めになっているようです。
おむつはずれの本格的な始めどきは、2才代と言われているのですが、「まだまだ始める意欲がわいてこない」ママたちの声をピックアップ。白百合女子大学教授で子育て支援のエキスパートである秦野悦子先生にアドバイスをいただきました。
2才になったのに、おむつはずれを始めない4つの理由
おむつはずれを始める目安は、
①トイレに興味を持っている、
②おしっこの間隔が2~3時間空くことがある、
③歩いてトイレまで行ける、
この3条件がそろっているかどうか。2才になると、これらがそろってくる子が多いので、2才がおむつはずれの始めどきと言われています。でも最近は、あえてスタートを遅らせるママたちも。どうしてなのでしょうか。
【Case1】興味がない
ママ…「おしっこやトイレに全然興味を示さないから、トイレに誘うのはもうちょっと先でいいかなって思ってます」
秦野先生…「上にきょうだいがいてトイレに興味を持つ場合以外で、自分からおしっこに興味を持ったり、トイレに積極的に行きたがる子はまれです。
子どもは親とのかかわりの中で、トイレやおしっこに興味を持つようになります。おむつ替えのときに『おしりさっぱりで、気持ちいいね』と声かけしたり、ママのあと追いで子どもがトイレについてきたときに、中に招き入れてあげることも。入浴ではだかになったとき、浴室でタイミングよくおしっこが出てしまったときなど、『あ、おしっこ、出たね』『気持ちいいね』と声をかけることもあるでしょう。
こういったトイレやおしっこに関する親のポジティブな声かけや反応が子どもの中に積み重なって、子どもは『ここがトイレなんだ』『これがおしっこなんだ』と認識していきます。
2才過ぎはおむつはずれの始めどきですから、子どもがおしっこやトイレについて認識しているようなら、生活の流れの中で『トイレでおしっこしよう』と誘い始めてほしいです」
【Case2】自分から教えてくれたら…
ママ…「おむつはずれを始めるのは、おしっこが出る前に「ちっち」と教えてくれるようになってからでいいと思っているので、今はなにもしてません」
秦野先生…「1才代から、おしっこが出る前に自分から『ちっち』と教えてくれる子どももいますが、大抵は教えてくれません。2才代でも、おしっこが出てからのほうが多いでしょう。
布おむつはぬれたら気持ち悪いので、教えるのが早かったかもしれませんが、今の紙おむつは高性能。ぬれてもサラッとしていて気持ちいいので、おむつにおしっこをしても平気な顔をしている子どもが多いんです。だから、自分から教えてくれるように待つ、なんてことはナンセンス。
おむつはずれを始める目安は、①トイレに興味を持っている、②おしっこの間隔が2~3時間空いている、③トイレまで歩いて行ける、の3条件がそろっているかどうかで判断しましょう」
【Case3】保育園ではできている
ママ…「保育園ではトイレでおしっこできているみたいだけど、家で誘うのは面倒で、何もしてません」
秦野先生…「保育園では、時間でおしっこに誘うなどをしているので、トイレでの排尿感覚がつきかけている子が多いようです。生活でトイレに誘うリズムが決まっていて、お友だちと一緒に行動することも刺激になるからです。
保育園で始めているなら、家でも同じリズムで誘い続けることが理想的ですが、働くママはとにかく余裕がないので、面倒に感じてしまうのもやむをえませんね。でも、おむつはずれは生活習慣として継続することで身体感覚が身につくので、平日は保育園にお任せするとして、平日のいい習慣を週末に後退させないためにも、ゆっくり過ごせる休日は、無理のない程度に家でもトイレに誘うようにするといいでしょう」
【Case4】こじらせたくない
ママ…「早く始めてもこじらせちゃったら意味なし。3才代で始めて、1~2週間で外れるのが理想!」
秦野先生…「早く始めるとこじれる、と思っているママは結構多いみたいですね。でも、必ずしも遅く始めれば、短期間ではずれるわけではありません。子どもの体(尿意)の発達と、トイレでおしっこするという習慣づけのタイミングがうまくと合えば、短期間ではずれることもあるというだけ。
始める前からこじれることを心配して、おむつはずれをあと回しにするのは避けたいですね。おむつはずれの3つの条件がそろうのは、2才代です。このタイミングを逃さず始めてみてください。うまくいかないときは一度中断して、仕切り直せばこじれることはありません」
本格的なおむつはずれを2才代から始める理由は、おむつはずれに対する子どもの心と体の準備が2才代で整うから。このタイミングを逃さないことが、おむつはずれをスムーズに進める秘訣でもあるようですね。(取材・文/白鳥紀久子、ひよこクラブ編集部)
■監修:秦野悦子先生
臨床発達心理士。白百合女子大学教授。専門は発達心理学(言語発達、障害児のコンサルテーション、子育て支援)。わかふじ幼稚園園長。著書に「心と体が育つ親子遊び」「最新しつけ大百科」(ベネッセコーポレーション)。
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