【専門家監修】赤ちゃんの運動面・精神面の発達に影響する「鉄」を、離乳食で上手に摂る方法
離乳食では、栄養素をバランスよくとるのが基本ですが、食事からとりにくいため、意識しないととくに不足してしまいがちなのが鉄とカルシウム。
どちらも赤ちゃんの成長に欠かせない重要な栄養素です。
そこで今回は、管理栄養士の太田百合子先生に、鉄とカルシウムの役割と離乳食への取り入れ方について話を聞きまし
た。
鉄・カルシウムの役割ってなに?
赤ちゃんが7〜8カ月ごろになる離乳中期ごろになったら、栄養バランスのいいメニューを心がけましょう。
とくに鉄とカルシウムは赤ちゃんの成長に欠かせない栄養素です。
鉄とカルシウムの役割を理解し、離乳食スタート時から少しずつ取り入れられるようにし、離乳後期(9~11カ月)に入ったころにはさらに意識して食べさせるようにしましょう。
酸素を全身に運んでくれる「鉄」
鉄は酸素を身体中に運ぶ役割をする、血液中のヘモグロビンの成分になる栄養素です。
酸素は、体の中でエネルギーをつくるために必要なもの。鉄が不足するとエネルギー不足になるだけでなく、「鉄欠乏性貧血」になり、赤ちゃんの運動面・精神面での発達にも影響があります。
鉄には、肉や魚などに含まれる吸収のいいヘム鉄と、ほうれん草や小松菜などに含まれ、ビタミンCの力で吸収される非ヘム鉄の二種類があります。
骨や歯をつくる「カルシウム」
カルシウムは骨や歯をつくる、赤ちゃんや子どもの成長に欠かせない栄養素。ほかにも、筋肉を動かす、血管の壁を強くする、神経の興奮を抑えるなどの役割もあります。
血液中のカルシウムが不足すると、骨からカルシウムが溶け出し、骨の成長に影響してしまいます。
鉄・カルシウムを多く含む食材は? いつから食べられる?
硬さや苦み、消化のしやすさなどから時期ごとに、離乳食で赤ちゃんに食べさせられる食材を選びました。その中から鉄やカルシウムを多く含む食材を紹介します。
離乳初期:5〜6カ月ごろからOK
<鉄を多く含む>
ほうれん草
<カルシウムを多く含む>
ひよこ豆*、プレーンヨーグルト、たら、かれい、さつまいも、白菜、キャベツ、牛乳
<鉄もカルシウムも多く含む>
卵(黄身)、豆腐、大豆(水煮)*、きな粉*、しらす干し、ちりめんじゃこ、枝豆、グリーンピース、小松菜、チンゲンサイ、ブロッコリー、水菜、サラダ菜、ベビーリーフ
離乳中期:7〜8カ月ごろからOK
<鉄を多く含む>
レバー(鶏・豚・牛)*、鮭、かつお*、ぶり*、まぐろ*、ツナ(水煮缶)*、鮭(水煮缶)*、削り節、グリーンアスパラガス、プルーン
<カルシウムを多く含む>
粉チーズ、カッテージチーズ、里いも、オクラ、さやいんげん、さやえんどう、青ねぎ*、長ねぎ*、わかめ*、キウイ
<鉄もカルシウムも多く含む>
卵(全卵)、納豆、高野豆腐、焼きのり、かぶの葉、にら*、モロヘイヤ、いりごま*、レーズン、青のり
離乳後期:9〜11カ月ごろからOK
<鉄を多く含む>
さば、豚肉、牛肉、さば(水煮缶)*
<カルシウムを多く含む>
プロセスチーズ、溶けるチーズ、桜えび(干し)、ごぼう、ひじき
<鉄もカルシウムも多く含む>
焼き豆腐、さんま*、いわし*、あじ、かき、パセリ、切り干し大根、えのきだけ*
離乳完了期:1歳〜1歳6カ月ごろからOK
<鉄もカルシウムも多く含む>
厚揚げ、あさり、しじみ、きくらげ*
※*がついた食材は、その時期に食べられるほかの食材や離乳食に慣れてから、またその時期の後半から与えてOKなものです。
※牛乳は9〜11カ月ごろまでは調理で使う程度に。飲み物としては1歳から与えてOKです。
いつもの離乳食メニューにちょい足しでできる! 鉄カル補給レシピ
いつものメニューに食材をちょい足しするだけで、手軽に鉄とカルシウムを摂取することができるレシピの工夫を紹介します。
いつもの野菜にヨーグルトをちょい足し!
ほうれん草や小松菜、ブロッコリーなどの野菜は鉄が豊富。
そこでおすすめなのが、ヨーグルトのちょい足し。ヨーグルトはカルシウムを多く含んでいるうえに、舌触りもよくなって赤ちゃんも食べやすくなります。
いつものお好み焼きに桜えび・豚ひき肉をちょい足し!
いろんな食材を混ぜて焼くことができるお好み焼きですが、そこに桜えびをちょい足しすればカルシウムが豊富に。豚ひき肉をちょい足しすれば鉄が豊富になります。さらにトッピングに使う青のり、かつお節でカルシウム、鉄が補えます。
太田先生によると、食材をこまかく意識せずとも、和食にすると鉄を、洋食にするとカルシウムを自然ととりやすいのだそうです。1日の食事の中で、和食だけや洋食だけに偏らないように気をつけてみると、鉄・カルシウムをバランスよく補うことができそうですね。
(取材・文/大月真衣子、ひよこクラブ編集部)
初回公開日 2019/10/03
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