将来の教育費を「投資」で準備できる!?赤ちゃんがいる家庭におすすめの「投資」について
「教育費を投資で準備」と聞くと、金融知識のある一部の人だけがしているもの、というイメージがありませんか。ところがここ数年、初心者でもトライしやすい商品について耳にするようになりました。高額な教育費について気になっている子育て世帯も多い今、「知識も経験もほぼナシ」「高額な掛け金は怖い」「育児家事で忙しく、まめに手は入れられない」といった、初心者&忙しいママ・パパにも向く投資について、ファイナンシャル・プランナーの竹下さくら先生に聞きました。
「投資」を検討する前に。教育費のベースは貯蓄が大前提!
教育費の準備の手段として「投資」を考える前に、あらためて教育費を準備するうえでの基本からおさらいしましょう。
「教育費の資金づくりは、貯蓄が基本です。高校までは生活費のやりくりの中でできる範囲の教育環境を整えてあげるとしても、大学費用は高額で、生活費の中から捻出するのは難しいのが現実です。大学費用としての貯蓄目標は、最低でも18才までに400万が目安です。児童手当を中学卒業までに貯めておけば約200万円貯まります。残り200万円は月1万円の貯蓄で達成できます」。
でも、実は教育費は貯蓄だけではたりない!?
しかし、教育費は年を追うごとに増加の傾向にあります。
「国立の学費は4年間で約243万円と、値上がりはしていますが私立に比べて負担は軽めです。ただ、国公立大学に通う大学生は全体の約26%と、4分の1。4人のうち3人は私立大学に通うことになります。みなさんのお子さんも私立に通う可能性のほうが高いのです。しかも、私立は文系なら4年間でかかる学費は約397万円ですが、理系では約540万円かかるというデータがあります。
さらに自宅外通学の場合、学費以外に4年間で平均400万円の仕送りが必要というデータもあり、できれば基本の400万円にプラスアルファしておきたいところなのです」。
教育費の貯蓄にプラスアルファしたいなら、「ちょこっと投資」がおすすめ!
400万円ではたりない…でも、これ以上の貯蓄は厳しいし、ゼロ金利時代のなかこれ以上貯蓄を殖やすのはちょっと、という人も多いはずです。
「もし少しでも余裕資金があるなら、貯蓄ではなく投資にまわしてみる、というのも一つの方法です。ここ数年、国で総力を挙げて取り組んでいるのが投資人口の増強です。初心者でも始めやすい商品がたくさん出ています。
そのなかでも、赤ちゃんがいる世帯におすすめなのが、『つみたてNISA』です」
初心者でも始めやすく、教育資金に向くのは「つみたてNISA」
「NISA」って言葉、少し前にコマーシャルで見たことあるな…という人も多いはず。「NISA」には、「NISA」「ジュニアNISA」「つみたてNISA」の3種類があります。その中でも、赤ちゃんのいる家庭におすすめなのが「つみたてNISA」だと竹下先生は言います。
「投資商品というのは、利益が出たらその分税金がかかるのですが、『NISA』は一定期間かかりません。中でも『つみたてNISA』は最長20年間非課税と、ほかの『NISA』より長く(NISAとジュニアNISAは最長5年)、教育資金向きです。また、非課税枠が年間40万円(購入額)と小ぶりなので、初心者がチャレンジしやすいのもポイントです」。
リスクを最小限におさえた安心感と月100円から始められる手軽さが魅力
けれど、投資にリスクはつきもの。低額とはいえ元本割れになるのは気になります。
「投資はもちろんリスクを伴うものなので、元本割れの危険性はあります。しかし、『つみたてNISA』は約6000本の投資信託から166本(2019年10月1日現在)を金融庁が厳選し、独自の基準をクリアした低コストの商品の詰め合わせになっています。リスクが低い積み立てタイプの投資信託しか入っていないうえに、長期間の分散投資になるため、元本割れの可能性が低くなっています。また、家計が苦しいときは積立額を減らしたり、中断したりすることもできる柔軟性も魅力です。
ネット証券なら月100円から始められるものもあるので、投資デビューにはぴったりです」。
ただし、注意点もあります。
「『つみたてNISA』を始めたら、『NISA』はできません。併用はできないので注意が必要です」。
「つみたてNISA」の手続きは、ステップ3で完了
月100円なら始められそうですが、証券会社と取引ってどんなことをするのか、ちょっと心配ですよね。以下に、「つみたてNISA」の始め方を竹下先生のお話からまとめました。
ステップ1 銀行または証券会社にNISA口座をつくる
NISA口座は銀行または証券会社でつくることができます。現在口座をもっている銀行か、ネット証券で始める人が多いのですが、選ぶポイントは、自分が何を重視するかで変わります。
●運用実績を重視したい
●たくさんの商品から選びたい
●月100円など低額から始めたい
という方におすすめなのはネット証券です。楽天証券、SBI証券、松井証券、マネックス証券、カブドットコムが5大ネット証券で、投資商品を150前後から選べます。月100円など超低額から始められる手軽さが魅力ですが、最大のポイントは運用実績のよさです。運用実績は、ネットで調べることができます。最終的にどのネット証券にするかは、ホームページを見て、自分と相性がよさそうなところを選ぶといいでしょう。
逆に、
●少ない商品から選びたい
●ネットよりも対人で取引したい
●現在取引している銀行口座に開設したい
という人は、ネット以外の銀行や証券会社がいいでしょう。証券会社で運用実績トップ2の野村証券が保有する商品は6、大和証券は20とネット証券に比べて少ないのが特徴です(2019年9月末現在)。ただし、スタート金額が月に1000円~1万円と、ネット証券より少し高めの設定になっている点は留意しておきましょう。
ステップ2 口座に入金する
ネット証券なら、ネット上で簡単に開設することができます。口座登録を済ませたら入金をしましょう。入金額は、大学進学時に400万円を目標にする例なら月1万円の貯金と同額の、月1万円を上限とするイメージです。
ステップ3 投資信託を選ぶ
ネット証券を選んだ場合、150もの投資商品があります。最大のポイントは2つあります。
●インデックス型
●バランス型
商品名にこのワードがついていれば、初心者向けです。あとは、国内ものがいいか、海外ものいいか、ミックスがいいか、不動産がいいか、などいろいろありますが、低額から気軽に初めて、気長に育てる、というスタイルがいいでしょう。
これで「つみたてNISA」の手続きは完了! あとは、定期的に状況をホームページで確認します。上がるときもあれば、下がるときもある、と浮き沈みがあるので長い目で見守りましょう。投資のプロが運用してくれるので、基本的には放置でOKです。
●ママの「つみたてNISA」体験談
●今のところは、iDeCoの拠出はなしで積み立てNISAのみにしようと思っています。積み立てNISAだと当面の生活費を確保しつつ運用に回せる、ほったらかし……いや非課税となる期間が長い方がいい、NISAと比べると対象商品が少ないので選びやすい、と自分の性格優先で考えた結果です。
●銀行に預けるよりマシになればいいなと。投信は私も初心者です。まだ初めて数ヶ月ですが、この間にも上がったり下がったり。長ーく続けて、15年後あたりにどうにかしようかな。と思って始めたのですが、解約したくなる時もしばしば。その人のスタイルにもよると思いますが、私は少額からにしてよかったです。
いかがでしたか? ちなみに「つみたてNISA」の口座開設ができるのは2037年までとなっていましたが、現在、20年間の積立金確保のため、延長される方向で国会審議が進んでいます。要注目の投資であることがわかりますね。ためしに月100円からでも、始めてみませんか?
(取材・文/岩崎緑、ひよこクラブ編集部)
■監修/
竹下さくら先生
ファイナンシャル・プランナー。大学生、高校生の母でもある経験に基づいたアドバイスに定評があります。『「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)など著書多数。
※文中のエピソードは「ウイメンズパーク」の投稿からの抜粋です