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4歳の女児の母であり俳優。娘はかけがえのない存在「大変なときでも、いつも希望はある」シングルマザーの声【体験談】

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映画は2023年の宮古島チャリティー国際映画祭で、最優秀ドキュメンタリー賞を受賞しました。

2020年、シングルマザーとして長女を出産した俳優の千葉ミハルさん。現在は長野県安曇野市のシェアハウスで暮らしながら子育てをしているそうです。千葉さんは、2024年公開のドキュメンタリー映画「取り残された人々~日本におけるシングルマザーの苦境~」の中で「シングルマザーを支えてくれる人は必ずいるし、必ず希望はある」と力強く語っています。全2回のインタビューの後編です。

▼<関連記事>前編を読む

両親と同居して育児をするも、距離が近すぎてけんかをしてしまうことも

全力で出産・育児をサポートしてくれた実母と。

――千葉さんは2020年、妊娠を機に東京から実家のある長野県に住まいを移し出産されたそうです。実家での育児はいかがでしたか?

千葉さん(以下敬称略) 両親はとてもこまやかにサポートしてくれました。両親がいなかったら私は1人で出産し、育児をするのは難しかったと思います。本当に感謝しています。
私は出産のときに出血が多く、産後もかなり体調が悪かったんです。初めての出産で精神的にも不安定になり、すごく後ろ向きになっていました。いわゆる産後の「ガルガル期」だったのかもしれません。母からのアドバイスを「私がちゃんと育児できていないと責めているのかもしれない」とネガティブに受け取ったり、ちょっとした言葉の行き違いでけんかになってしまったりすることが少なくありませんでした。

たまたま姉が、長野県安曇野市のアパートに住み始めたんです。よく気ばらしに遊びに行っていました。同じアパートの別の部屋に、姉の友だちが家族で住んでいました。その友だちが離婚してシングルマザーになって・・・。せっかくだったら一緒に住もうという話になったようです。姉とシングルマザーの友だちとその子どもがアパートで共同生活を始めるようになりました。

シェアハウスでの子育ては、大人3人で子どもの面倒を見る生活

いろんな人とかかわりながら育児することで、娘さんも社会性がめばえているとのことです。

――どのような経緯でお姉さんたちと一緒に暮らすことになったのでしょうか?

千葉 姉と一緒に住んでいたシングルマザーの子どもが、とても活発だったんです。アパートでは声や足音が近所迷惑になるのではないかと、2021年に一軒家を借りることになりました。そのタイミングで私も一緒に住み始めました。3世帯のシェアハウスです。
その後、当時住んでいたシングルマザーの友だちは再婚し、別のところに引っ越しました。現在は姉、もう1人の友だちと私と娘で暮らしています。

――シェアハウスでの暮らしはいかがですか?

千葉 とても気に入っています。大人3人で子どもたちの面倒を見ている感じで、孤独感がないんです。以前、一緒に暮らしていたシングルマザーの友だちの子は、私の娘の1歳年上の男の子でした。子どもたちはきょうだいのように仲がよかったです。

私も子育ての悩みを共有できるのが支えになりました。子どもたちがイヤイヤ期でも「わかる、うちの子もこんな感じだったよ」と言ってくれる人がいるだけでほっとするんです。仕事があるときは、ほかのハウスメイトが子どもの面倒を見てくれるなど、サポートし合えていたと思います。もし私だけで子育てをしていたらだれにも相談できず、子育てと仕事も両立できず、苦しかったと思います。

共同生活ではありますが、ルールに縛られているわけではありません。家事はできる人ができるときにやる感じです。たとえば私はわりと掃除が好きだから積極的にするんですが、ほかの2人はこまかいところは気にしないタイプです。おたがいに自分ができること、得意なことは積極的に担当して、ほかの人にお願いできるところはお願いしています。
食事もだれかが作ってくれたのをみんなで一緒に食べるときもあれば、それぞれが別の場合もあります。たまにお金に関しての話や、生活のしかたについてなどを話し合うこともありますが、それぞれ無理なく暮らせるようにしています。

子どもたちにとっても、親と1対1ではなく、大人3人と暮らすのは大きな刺激になったと感じます。世の中には価値観の違う人がいて、それぞれ異なる遊び方をしてくれて、いろんな人がいるんだと学んでいるようです。同居している大人3人に対して、娘はそれぞれちがった接し方をしています。シェアハウスで暮らすことで社会性を身につけている気がします。

離れて暮らすようになり、両親との仲も改善されました。週末は実家に帰ることが多く、娘だけが泊まりに行くこともあります。
同居して距離が近すぎると、おたがいのいろいろな面が見えてしまうのかもしれません。適度な距離感があったほうがいい関係を築けるんだなと感じました。

――千葉さんにとって娘さんはどんな存在ですか?

千葉 かけがえのない存在です。ともに生きるパートナーであり、対等な関係を築いていると思います。現在、娘は4歳ですが、ときには彼女のほうが人生の先輩みたいに感じることもあります。娘のほうが気持ちの切り替えが上手で、嫌なことがあってもすぐに楽しいことを見つけられるんです。子どものほうが精神的に大人だと、ハッとすることも少なくありません。「どうしたらそんなにいつもハッピーでいられるの?」と聞くと「お友だちと楽しいお話をしたらいいんだよ」なんて答えを教えてくれます。

だから私は子どもを子ども扱いできないし、対等に接しているつもりです。何か問題があって、選択肢がいくつかある場合も、一方的に私が決めるのではなく、娘の意見を聞き、話し合っています。

映画ではシングルマザーの希望を伝えたかった

映画撮影中の1コマです。飾らない日常生活が撮影されました。

――2024年に公開されたドキュメンタリー映画「取り残された人々:日本におけるシングルマザーの苦境」に出演された経緯を教えてください。

千葉 最初は映画を製作したライオーン・マカヴォイ監督から、別のムービーを撮影したいと知り合いを通じて連絡がありました。結局その話はなくなったのですが、改めて「シングルマザーに関する映画を作りたいから協力してほしい」と声をかけられました。
当初は「映画ではシングルマザーはつらい状況に置かれ、大変な思いをしているというメッセージが強くなりすぎるのではないか?」と心配だったんです。

私は未婚で出産しましたが、その状況が特別で大変だという感覚がありません。もちろん、私とは状況が異なる人もいるとは思いますが、必要以上にシングルマザーを「かわいそうな人」ととらえられるとしたら、少し嫌だなとは思いました。
そのことを監督に伝えました。撮影は、監督が私の家に来て2日くらいかけて密着取材してもらいました。ふだんの私の生活そのものを見てもらった感じです。

――密着取材中、監督とはどんな話をしましたか?

千葉 最初は「シングルマザーとして子育てしてきたなかで、どんな苦労がありましたか?」というふうに聞かれたと思います。そこまで大変なことはなかったのですが、保育園の申し込みをしようとしたら、65歳以下の家族と同居していると3歳未満の子は入園できないという規定がありました。当時母は65歳以下でしたが、体力面でも私と同じように子育てできるかというと難しかったです。
とはいえ、客観的に見れば大変だったかもしれない局面でも、私はそれほどつらいと感じなかったこともあり、苦労話はそれくらいでした。監督には「もうこれは無理だ」と限界を感じた先に、たくさんの希望があることを伝えました。手を差し伸べてくれる人も多かったです。

子育ての多様な形が、サポートされる社会になってほしい

2日間密着取材を受けました。監督とのツーショットです。

――実際に完成した映画を観たときはどんな感想を持ちましたか?

千葉 最初はどんな映画になっているか想像がつかず、観るのが少しこわかったんです。でも、実際はとても多くのことを調べられていて、日本のシングルマザーが置かれている状況、実際にどんな経験をしてきた人がいるのかなど、詳細に描かれていました。その上で、シングルマザーの人たちはみんな、たくましく子どもを育てていて、支援する人も多くいると希望を感じさせる終わり方をしていました。

最近地元・長野県の映画館でも上映されました。その際、映画館の館長の好意で出演者としてあいさつさせてもらったり、出口で直接お客様と話をさせてもらったりしました。

――実際に映画を観た人と話すというのは、どんな気持ちでしたか?

千葉 とても貴重な経験でした。出産前、俳優として舞台に立つと、お客様がその舞台をおもしろいと感じたか、そうでなかったかはカーテンコールのときの雰囲気を肌で感じていたんです。
映画だと、皆さん私のことをすでに映像で目にしているおかげで、まるで昔からの友人のように、とてもフレンドリーに接してくれるんです。映画のなかでは、ふだんの私の生活の様子も映っていたから、もう友人みたいな雰囲気で。映像の力を感じました。話しかけてくれた人たちはシングルマザーの方がほとんどでした。

――千葉さん自身は、ほかのシングルマザーの人たちに対しどんな印象を抱きましたか?

千葉 ごくふつうの人たちばかりでした。実際に私が会った人たちは悲壮感もないし、とてもパワフルです。もちろん、大変な状況にある人もいると思うのですが、目の前の困難に立ち向かい、前向きな人が多い印象を受けました。
シングルマザーというと、なんとなく特別視されている部分があるとも感じます。でも、これからはそういった思い込みが払しょくされ、子育ての多様な形がサポートされる社会になるといいなと思います。

お話・写真提供/千葉ミハルさん 取材・文/齋田多恵、たまひよONLINE編集部

日本のシングルマザーが置かれた状況を描いた映画「取り残された人々~日本におけるシングルマザーの苦境~」は、海外で大きな話題となりました。出演者の1人である千葉さんは、「どんな状況でも希望はある」と力強く話してくれました。だれもが支え合い、困っている人がいれば貸し合える社会が進むことを期待したいです。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

千葉ミハルさん(ちばみはる)

PROFILE 
俳優、シングルマザー。15歳で俳優の勉強のため上京。20歳から約10年演劇集団円所属、その後フリーで活動。31歳舞台や殺陣をメインに活動中妊娠発覚。未婚の母となる。

千葉ミハルさんのinstagram

千葉ミハルさんのnote

千葉ミハルさんのX

『取り残された人々:日本におけるシングルマザーの苦境」

シングルマザーの苦境や日本における子どもの貧困問題について、素直に疑問として映像化したことで世界各国の映画祭で数々の賞を受賞。戦後、短期間で経済の急成長を遂げ豊かになった日本だからこそ起きた「隠された貧困」がテーマ。今まで描かれたことのなかったシングルマザーの苦悩をいろいろな角度から取材し、不平等な社会的背景の原因をひも解いてゆく。

『取り残された人々:日本におけるシングルマザーの苦境」HP

●記事の内容は2025年2月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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