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落合陽一『2030年の世界地図帳』で、子どもたちが生きる未来を見通す

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「2030年の日本」と聞いて何を想像しますか? AIや自動運転などテクノロジーがより生活と一体化する社会、人口減少や高齢化がさらに進んだ社会、はたまた、人種や性別・宗教・価値観などを超えた多様な社会を想像するかもしれません。

2020年に生まれた赤ちゃんが10歳になる年。そのころ彼らはどんな世界を見て、どんな夢を持っているでしょうか?ママやパパが、変化のめまぐるしい世の中を正確に捉え、子どもたちが生きる未来を見通すためにどのような考え方が必要なのでしょうか?

メディアアーティストの落合陽一さんは、そんな問いへのヒントとなる『2030年の世界地図帳』(SBクリエイティブ)を昨年冬に出版。今話題のSDGsの枠組みを借りながら、データや地図を使って世界を俯瞰し、未来を見通すことを目指した一冊です。

この本の内容を、落合さんへのインタビューを交えながら、たまひよの視点で少しご紹介します。

未来を見通すために押さえておくべきは「SDGs」?

出所:国際連合広報センター

そもそもSDGs(Sustinable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、持続可能な世界の実現のために定められた国際目標のこと。みなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか? 1.貧困をなくそう …5.ジェンダー平等をなくそう…7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに…14.海の豊かさを守ろう など、貧困から環境、労働問題まで17のゴールを掲げて、2030年までに達成を目指すものです。
世の中が大きく変化するこの時代に、日本だけを見ていては何が重要な課題でどんな方向に進めばよいのかが見えにくくなります。そのため、世界中の人が同じゴールに向かって取り組んでいくSDGsは、未来を考えていく上での重要な手がかりのひとつになるのだと落合さんは言います。

世界地図、データをもとに目標の背景を読み解く

とはいえ、落合さんも最初は、あまり自分ごととしてとらえられなかったというSDGs。その理由の1つとして「身近なテーマとそうでないものが混在していること」を挙げています。たとえば、「1. 貧困をなくそう」について、日本人にとっては実感としてとらえにくいものかもしれません。そこで役に立つのが「世界地図やデータ」なのだと落合さんは言います。


*画像クリックで拡大 『2030年の世界地図帳』(SBクリエイティブ)より データ出典:【高齢者の貧困率】OECDdata(OECD),【高齢化率】World Development Indicators(WorldBank),【1.25ドル未満で暮らしている人の割合】 Povcalnet(WorldBank)

実際に1日1.25ドル(約130円)未満で暮らしている人の割合を示した世界地図・データを見てみると、「貧困」がアフリカ地域に集中していることがわかります。一方、「高齢者の貧困率が高い国」を表す地図とデータに目を移してみると、11位に日本が来ていることがわかります。「貧困」といっても「お金がない状態」と一口に説明することはできず、さまざまな尺度で測られているのだとわかります。
先進国の「貧困」はとても複雑で、「内在的な価値基準で考えること」が重要だそうです。たとえば「未来の可能性がない」ことも貧困を測るアプローチの一つだと捉えられており、特に日本では「シングルマザー」の貧困が深刻な課題であると本書では述べられています。

ふだんから「今」のデータにアンテナを

普段からニュースなどを見てその「背景」や「本質」と結び付けていくことは難しいと感じるママやパパも多いのではないでしょうか。事実を読み解く力をつけるにはどうすれば良いのか、落合さんに尋ねてみました。
「1つの手がかりは、やはり『今』のデータを見ることだと思います。特に、外務省、経産省、環境省などのデータを見るのが良いのではないでしょうか。日本は『一度やるといったなら継続しなければ』という気質がありますが、ヨーロッパは政権が代わると、方針が変わることが多いです。現に、ドイツは脱原発を宣言していますが、実は日本より依存度が高いですし、宣言してからも急速に依存度が下がっているわけでもありません。常にリアルタイムのデータを見ることが重要だと思います」。

ふだんの小さな行動でもSDGsを自分ごとに変えられる

このように、データや地図を見比べながらテーマについて深く掘り下げたり、逆に一見関係ないと思っていたテーマを抽象化してみることで、自分ごとに落とし込むこともできるSDGs。さらに自分ごととしてとらえるポイントを落合さんに聞いてみると「もともとSDGsは企業、学校、あるいは町内会などコミュニティで動くときに“SDGs的”に筋道立てて考えていくものとされているので、「個人」としてとらえることは実は難しいのです。ですが日常的に、たとえば『古着を着て楽しい』『フェイクファーもおしゃれ』『エシカル消費しているから気持ちいい』といったようなことからSDGsに興味を持つのもよいのではないでしょうか」。

著書で落合さんは、「興味のあるテーマを掘り下げて、自分なりの意見を持ち、日々行動することが、世界をよくして、未来の子どもたちへとバトンをつなげていくための一歩」であると述べています。SDGsを手がかりにして、次の世代である子どもたちのために考えておくべき要素をわかりやすく俯瞰できる一冊です。

(文・中島博子 / 撮影・柳原久子)

●Proile  落合 陽一

メディアアーティスト。1987年生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。筑波大学准教授。「デジタルネイチャー(PLANETS)」、「0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書(小学館)」、「10年後の仕事図鑑(SBクリエイティブ)」など著書多数。

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