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赤ちゃんが吐いた! 様子を見る?それとも受診?見極め方・ママ小児科医

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泣いている少女と母親を慰める
Hakase_/gettyimages

今回のテーマは、「赤ちゃんの嘔吐(おうと)」についてです。育児中のママ・パパのなかには、さっきまで元気そうに見えたのに、突然赤ちゃんが吐いてしまった…という経験がある方も少なくないのでは?
2才と4才のお子さんを子育て中の小児科医・泰道麗菜先生が、日々の診療の中で、ママ・パパたちに伝えたいさまざまな情報を発信します。[ママ小児科医の”コレが気になる”#12]

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原因は単なる「飲み過ぎ」や「 げっぷがうまく出せない」ことが多い!

日々の診療では吐いて受診するお子さんをみる機会がとても多いです。
「元気だったのに当然吐いた!」とか、「飲むたびに吐いてしまう」「夜中から突然吐いて何回も繰り返している」など。その原因はさまざまで年齢によっても少し違ってきます。
今回は赤ちゃんに多い、嘔吐の原因、対処法、受診のタイミングなどについてお話します。

赤ちゃんは満腹感を感じにくいので、おなかがいっぱいになっても母乳やミルクを飲みすぎてしまうことがあります。また母乳やミルクを飲む時に空気を一緒に飲みこみやすい傾向があります。とくに、飲み方が上手でなかったり、哺乳びんでミルクを飲んでいる赤ちゃんはさらに空気を飲みこみやすいので、げっぷがうまく出せないと空気でおなかが膨れてしまうこともあります。月齢の低い赤ちゃんほどこの母乳やミルクの飲ませすぎや、げっぷがうまく出せないことが原因で吐いてしまうことが多いです。
この場合は、機嫌も顔色もよく、吐いても1、2回で一度に何度も吐かないことが特徴です。あわてて受診する必要はなく、母乳やミルクの1回量を減らしたり、げっぷをよく出してあげることで改善します。

また、赤ちゃんは体の構造自体が未熟なために吐きやすいという傾向があります。

以下の2つは赤ちゃんの嘔吐の原因としては頻度が高いものです。どちらも成長とともに改善されることがほとんどです。

・胃食道逆流
赤ちゃんは食道や胃の発達が未熟なため胃の中のものが食道に逆流しやすい状態になっています。多くの赤ちゃんにみられる“いつ乳(ミルクを飲んだあとに口からミルクがだらだらとこぼれる)”もこれが原因ですが、量が多くなると吐いてしまいます。症状が悪化すると胃食道逆流症といって、吐くことを繰り返したり、せきや喘鳴(ゼーゼーすること)、気管支炎や肺炎を繰り返すなどの症状がみられることがあります。胃の中の母乳やミルクの量が多いほどが逆流しやすくなるので、母乳やミルクの1回量を減らして、その分授乳の回数を増やしたり、授乳後の縦抱きの時間を長くして母乳やミルクが腸に流れやすくすることが対処法です。
成長とともによくなることがほとんどですが、症状が改善しない場合には薬物療法や手術になることもあります。

・胃軸捻転
生まれて間もない赤ちゃんの胃は未熟なため大人と違っておなかの中でしっかりと固定されず、動きやすい構造になっています。そのために胃が病的にねじれてしまった状態を言います。げっぷが出しにくくなるので、おなかが張ったり、おならが多くなる、吐きやすいといった症状がみられます。赤ちゃんの場合、症状が軽くて長引く“慢性型”がほとんどで、この場合は元気もあり成長とともに自然に治ります。対処法はげっぷをよく出してあげる(たて抱きよりも肩に担ぎ上げるようにしてうつむきにして背中をたたいてあげると出やすいです)、母乳やミルクの1回量を減らして、授乳回数を増やす、おならが出るように授乳後少したってから体や足を動かすマッサージをするなどです。成長しても良くならない場合にはまれに手術が必要になることもあります。
一方、胃のねじれが突然強く起こる“急性型”は、赤ちゃんではまれですが、激しいお腹の痛みや嘔吐がみられます。胃に血液が流れなくなり、胃が腐ってしまったり、穴が開いてしまうこともあるので緊急手術が必要になります。

受診が必要な症状は? 考えられる病気について知っておこう

そのほか、注意したい病気としては以下のようなものがあります。
感染性胃腸炎は、嘔吐の原因としては赤ちゃんから大人まで頻度が高いものです。

・感染性胃腸炎
ウイルスや細菌が原因で胃や腸の粘膜に炎症を起こす病気で、ほとんどはウイルスによるものです。下痢や腹痛、発熱を伴うことが多いですが症状がそろわないこともよくあります。周囲で同じような症状の人がいる場合には感染の疑いが強いです。症状が進行すると脱水症状がみられ注意が必要です。症状が強かったり、長引く場合には早めに受診をしてください。

そのほかは頻度は高くありませんが、症状から疑われるようならばできるだけ早くに病院を受診したほうがいいものです。

・肥厚性幽門狭窄症
“幽門”と呼ばれる胃の出口のところの筋肉が厚くなり、通り道が狭くなるために、胃の中のものがその先の十二指腸へ流れなくなる病気です。生後2週〜3カ月前後の赤ちゃん、とくに男の子に多く、母乳やミルクを飲んだあとに突然、噴水状の大量の嘔吐が見られるのが特徴です。吐いても機嫌がよく、おなかがすくのですぐに母乳やミルクを飲みたがります。飲むたびに吐くことを繰り返すので、進行すると体重が増えなかったり、脱水症状がみられます。

・腸重積 
何らかの原因で、腸の一部が連続している腸の中にはまり込んでしまう病気です。2才くらいまでの赤ちゃんに多く、とくに生後6カ月前後の赤ちゃんに起こりやすいことが知られています。突然、急激なおなかの痛みで激しく泣きますが、一時的に痛みが治まると泣きやみ、また痛みが強くなると泣くといった間欠的な症状を数分から数十分ほどの間隔で繰り返します。いちごゼリー状の血便がみられることもあります。病態が進行すると腸閉塞(腸管がふさがってしまい、腸の中身が流れなくなる)の状態になりおなかが張ったり嘔吐がみられます。時間がたつと、腸の血流が悪くなり腸管が腐ってしまうこともあるので、緊急性の高い病気です。

・髄膜炎 
ウイルスや細菌の感染が原因で、“髄膜”と呼ばれる脳や脊髄(せきずい)を覆っている膜に炎症を起こす病気です。頭痛、首の痛み、発熱、嘔吐、痙攣などが主な症状ですが、月齢が小さい赤ちゃんは痛みを訴えることはできないので機嫌が悪かったり、母乳やミルクの飲みが悪くぐったりしているといった症状が初めの症状のことがあります。感染の影響で頭蓋内圧が亢進する(頭の中の圧力が一定範囲を超えて上昇する)と嘔吐が見られます。ウイルス性髄膜炎はほとんどの場合自然に治りますが、細菌性髄膜炎は治療が遅れると脳に重い後遺症を残したり、死に至ることもある重篤な病気です。

・食物アレルギー
ミルクを飲んだり、特定の食べ物を食べたあとに、主に食べ物に含まれるタンパク質が原因となり体にアレルギー反応があらわれる病気です。乳幼児期の食物アレルギーでは卵・牛乳・小麦が原因となることが最も多いです。多くは飲んだり食べたりしたあと2時間以内(※ほとんどは30分以内)に発疹や咳・鼻水、腹痛、嘔吐、下痢などの症状が出て、重症な場合には血圧低下や意識消失などがみられることもあります(※アナフィラキシーショック)。新生児から乳児期にみられる特殊なタイプの食物アレルギーで新生児・乳児消化管アレルギーというものがあります。原因となる食物は牛乳由来のミルクや母乳が多く、飲んだあと数時間〜数日、数週間後に嘔吐、下痢、血便などの消化器症状がみられるのが特徴です。頻度は低いですが、米や大豆、卵でも同じような症状が出ることがあります。

赤ちゃんの場合、以下の目安が1個でも当てはまるのであれば、急いで受診をしてください。

急いで受診が必要な5つの項目
・ぐったりしている、機嫌がずっと悪い
・おなかが張って顔色が悪い
・おしっこの量が極端に少ない、体重が減っている
・嘔吐を頻回に繰り返している、飲ませるたびに嘔吐する
・吐いたものに赤色、黄色、緑色、黒色など色がついている(何らかの消化管の異常が疑われます)

赤ちゃんは自分で症状を訴えることが難しいので緊急性の判断が難しいことがあります。普段いちばんそばで接しているお母さん、お父さんが「何かおかしいな?」「いつもと違うな?」と思ったら、その直感を大事にして病院への受診や相談をするようにしましょう。
(構成/ひよこクラブ編集部)

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■監修・文/泰道麗菜先生
神奈川県小田原市にある横田小児科医院の小児科医。アレルギー疾患を専門に、大学病院の小児科などを経て2018年より現職。2人のお子さんのママという目線からも、地域のママ・パパに寄り添った診療をしています。

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