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今『輸入麻疹』が急増! 命定めの病気といわれる麻疹から赤ちゃん・子どもを守ろう【小児科医】

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●写真はイメージです 写真提供/ピクスタ

2025年1月以降、日本国内で海外から帰国してきた人からの麻疹発症が報道されています。小児科医の太田文夫先生は「なぜ今になって、輸入麻疹が急増しているのか!?」と警鐘をならします。
「小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」連載の#49は、輸入麻疹の流行情報と予防のすすめについてです。

2025年1月~3月末まで、たった3カ月で18例も報告が!

2024年1年間の日本国内で20例だった輸入麻疹が、今年は、1月から3月20日までのたった3カ月たらずの間で、すでに18例報告されています。輸入麻疹とは、日本国内で麻疹と診断され、医師が日本国外で感染したと推定した麻疹の症例のことを指します。
しかも、2月下旬から15名と急増。18例中、ベトナムからの帰国者が15名で、ほかにもタイ、フィリピン、パキスタンも1名ずつとなっています。すべてアジア地域からの持ち帰りです。
(3月25日現在の情報/患者報告は3月は毎週8名増。今週も新たな報告が上がってきています)

3月に入ってからは国内での感染の広がりも。0歳児も発症

輸入麻疹患者の同居家族と、患者接触者の2名が二次感染者として報告されていますが、3月になってからは感染源不明の国内発症者がじわじわ増えています。軽症患者が増えると、診断までに時間がかかり、接触者としての追跡がされない患者が出てきます。今後、輸入感染例が増えればさらに感染経路不明の発症者が増えるかもしれません。
輸入麻疹患者の多くは、20代から40代の成人ですが、9歳以下が4名、1名ワクチン未接種の0歳児も含まれていました。
定期ワクチン未接種者の行動には細心の注意を払う必要があります。

海外から帰国した人は、麻疹の怖さを理解して発熱には注意を

このような状況では診察する医療機関側では、海外渡航歴がある(とくにベトナム)発熱患者は年齢を問わず、麻疹を想定した対応が必要となっていると言っても過言ではないでしょう。
海外から帰国後に発熱した人は、自分が麻疹流行地域から麻疹をもらったかもしれないと考えて、通勤や外出を極力控えて早々に医療機関を受診してほしいと思います。

麻疹は、空気感染する非常に感染力が強い感染症です。患者がいた部屋にあとから入ってもうつります。流行時には人と人との接触を避ける対策を採ることが大事です。
日本では、60代以上の世代のほとんどの人はすでにかかっていますので発症しません。
それ以下の世代の人は2回のワクチン接種をしていれば発症しません。日本では定期接種対象者の接種率は95%程度なので大流行はあり得ません。しかし、接種したことがない、1度しか接種していない人が流行地域に行くとかかってしまいます。

どうしてベトナムからの輸入麻疹が増えているのか?

人口約1億人のベトナムでは、麻疹ワクチンの接種率がまだ高くなく、2024年初めごろからベトナム国内で麻疹が発生、2024年秋以降には累計の患者数は2万人にまで増えて、そのうち5名が死亡したそうです。(日本でも2007年と2008年には大流行がありました。日本での麻疹排除達成が認められたのは2015年です)
ベトナムで麻疹ワクチンは、定期接種で受けられますが、日本ほど接種率が高くなく、10歳代でも接種率が60%弱という報告もあるそうです。今回の流行を受けて国主導で緊急の麻疹・風疹ワクチン接種を始めたそうですが、一気に終息するほどの効果が出るとは考えられません。
ベトナムには多くの企業が進出しており、在留邦人は1万7410人(2024年10月1日時点)家族を連れての居住者も増えています。2回のワクチン接種が済んでいなければ成人でも現地で発症するかもしれません。罹患しないようにするには、極力、人と人の接触を避ける対策も必要でしょう。

ベトナムだけが困っているわけではありません。世界ではコロナ禍中に麻疹ワクチン接種がままならなかった地域があり、そのひずみが出ているのです。
残念ながら日本国内でも一部地域で摂取率が下がっており、回復のための対策が検討されています。

2011年の日本での風疹流行が思い起こされる

2013年を中心に、日本国内で風疹が流行し、先天性風疹症候群の新生児が45人生まれました。これは、2011年のベトナムでの流行発生後に日本でも流行が始まったのを思い出します。その当時ベトナムでは、風疹ワクチンは定期化されていませんでした。現在ベトナムでは、定期接種で、生後9カ月で麻疹ワクチンを、生後18カ月でMRワクチンを接種することになっていますが、接種率が高くなく、流行終息までに時間がかかると思われます。

今年の麻疹発症者の多くは、海外渡航歴がありました。海外でかからないようにするには、2回の麻疹ワクチンが済んでいることの確認が大事ですが、日本国内の製造が約半数が、一時的にストップになったままなので、どうしてもとなると渡航外来のクリニックで対応の相談が必要になります。もし今後も輸入麻疹が出続けるとしたら、最優先は1歳児。1歳の誕生日を迎えたら1日でも早くMRワクチンを済ませることが必要です。地域によってワクチン流通状況が異なるようですので、普段のかかりつけ小児科にワクチン接種に支障が出ていないかの確認も必要です。(現在定期接種もままならない自治体も出ていて、定期接種期限の緩和措置が取られています)

コロナ禍以降、麻疹ワクチン接種がままならない状態になっている国が増えており、いくつかの地域でも小流行が起きています。海外に出かける前に行き先の国の感染症情報を調べることが大事です。国内にいてもまだ定期接種が済んでないお子さんは早急に接種を済ますことができるとひと安心です。

文・監修/太田文夫先生 構成/たまひよONLINE編集部 

麻疹とは、高熱とひどいせき、そして発疹の出る病気です。肺炎や脳炎などの合併症が起き、命を奪われることもあります。太田先生は「近隣に麻疹が発生している情報が出ているときは、未接種乳児を人の多い場所には連れ出さないようにしましょう」と話します。

●記事の内容は2025年3月25日の情報であり、現在と異なる場合があります。

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