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子どものせき、コロナだけじゃない“風邪”以外の原因 ママ小児科医

かわいいアジアの女の子はあくびです。
Golfcuk/gettyimages

今回のテーマは、「子どものせきの原因」についてです。子どものせきは、ママ・パパにとって心配が多い症状の一つ。新型コロナウイルスが騒がれる前から、日々の診療でも「ずっとせきをしている」「夜、せきがひどくて眠れない」「せき込んで吐いてしまった」という相談が多いあとのこと。そこで今回は子どものせきについてをテーマにしてもらいました。
2才と4才のお子さんを子育て中の小児科医・泰道麗菜先生が、日々の診療の中で、ママ・パパたちに伝えたいさまざまな情報を発信します。「ママ小児科医の”コレが気になる”」#13

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気道に“痰”や“異物”があると、反射的に“せき”は出る

せきはどうして起こるのでしょうか。鼻や口から吸った空気が気管支(のどと肺をつなぐ管)を通って肺に届くまでの通り道を“気道”と言います。
気道はとても敏感なところで、何か異変が起こるとそれを脳に伝え、体を守ろうとする反応が起こります。
たとえば気道に“痰(たん)”がたまったり、吸い込んだ“異物”があるとそれを反射的に気道の外に押し出そうとします。それが“せき”です。

原因として多いのは、のどの炎症やのどに落ちてくる鼻水、気管支炎やぜんそくによる痰、間違って変なところに飲み込んでしまった飲み物や食べ物などです。また私たちは呼吸をするときに細菌やウイルス、ダニ、ホコリなども一緒に吸い込んでいます。これらの異物は気道に分泌される粘液(ネバネバした液体)に絡めとられて、細胞のこまかい動きによって口側へ送り戻されています。

私たちは普段この粘液を無意識に飲み込んで消化していますが、気道に炎症が起こると、分泌される粘液の量が増えて“痰”となります。すると、痰を外へ追い出そうとしてせきが増えるわけです。

ですから、せきが出たときに、私たちは「不快だな」「せきを止めたいな」と思いますが、実は安易にせきを止めることはよくないのです。

“風邪”以外の原因を疑うとき…見極めるポイントや具体的な症状は?

子どもは、【免疫力が未熟なため感染を繰り返してせきが長引きやすい】【気管支が細くて痰がうまく出せないのでぜんそく以外でもゼイゼイしやすい】【せきと一緒に吐きやすい】といった特徴があります。せきの原因はいろいろありますが、ほとんどは自然によくなる“風邪”によるせきです。

それ以外の原因を考えるときには、せきの特徴、せきの起こり方(時間帯やきっかけがあるか)、せきの持続期間、年齢などがヒントになります。

代表的な子どものせきの原因は以下のようなものです。

◾️上気道炎(じょうきどうえん)
いわゆる“風邪”。ほとんどはウイルス感染で子どものせきの原因では最も多いものです。大抵は1~2週間で治ります。せきと一緒に鼻水やのどの痛み、熱が見られることが多いです。

◾️副鼻腔炎(ふくびくうえん)
鼻や副鼻腔(顔の中にある鼻とつながる空洞)の粘膜に炎症が起こる病気です。子どもの風邪の多くは副鼻腔炎を伴っています。副鼻腔に(うみ)がたくさんたまって、のどにドロッとした鼻水が垂れることでせきが出ます。長引くものを“蓄のう症”とも言います。鼻詰まりや黄色くて粘っこい鼻水がみられ、湿ったせきが夜間(とくに寝るときや朝起きたとき)に多くみられるのが特徴です。

◾️クループ症候群(くるーぷしょうこうぐん)
主にウイルス感染でのどの奥の声帯のあたりが腫(は)れる病気です。“オットセイが鳴くようなせき”、“犬の遠ぼえのようなせき”と表現される変わったせきがみられるのが特徴です。主に6カ月~3才にみられます。夜間に悪化することが多く、声がかすれたり、ゼイゼイすることがあり、ひどいときには呼吸困難になることがあります。のどの腫れをひく薬を吸入したりステロイドを飲むと症状が軽くなります。

◾️急性気管支炎(きゅうせいきかんしえん)・肺炎(はいえん)
せきや鼻水、発熱などの風邪の症状に続いて、気管支や肺に細菌やウイルスが感染して起こる病気です。通常は熱が長引いて痰がらみのせきが徐々にひどくなるのが特徴です。乳児はもともと気管支が狭く、痰が増えるとゼイゼイした呼吸になることがあります。細菌が原因の場合には抗菌薬で治療をします。

◾️急性細気管支炎(きゅうせいきかんしえん)
気管支よりもさらに先にある“細気管支”という肺につながる細い管に炎症が起こる病気です。新生児や2才未満の乳児に起こりやすく、とくにRSウイルス感染症でみられることが多いです。呼吸が速くなることとゼイゼイしたせきが特徴的で症状が進行すると呼吸困難になりやすいので注意が必要です。

◾️百日咳(ひゃくにちせき)
百日咳菌による感染症です。風邪症状から始まり、徐々にせきが激しくなり2週間以上長引きます。突然の発作的なせきや連続するせきで顔が赤くなるのが特徴で、息を吸う時に笛のようなヒューという音が出たりします。1才以下の乳児、とくに生後6カ月以下では重症になりやすい病気で、4種混合で予防することができます。乳児に多い感染症と知られていましたが、最近は学童期以降や成人でも感染が増えてきていて、小学校入学前に3種混合ワクチンをもう一度接種することがすすめられています。

◾️気管支喘息(きかんしぜんそく)
アレルギーによる慢性的な炎症により気道が敏感になっている病気です。ささいな刺激で気管支のまわりの筋肉が収縮したり、分泌物が増えたりすることで気道が狭くなるために、「ヒューヒュー」や「ゼーゼー」したせきが出て苦しくなるのが特徴です。風邪を引いたあとせきが長引いたり、ほこり、ダニ、ペットの毛、煙(花火やお線香、たばこなど)を吸い込んだときや天候の変化、激しい運動やストレスにより症状が現れやすく、夜間や明け方に悪化しやすいです。

◾️気管支異物(きかんしいぶつ)
気管支に異物が入ることで突然せきが出ます。何か食べているとき(とくにピーナツなどの豆類が多い)や口の中に入りそうな小さなおもちゃで遊んでいるときなどに突然せき込み始めたときは、この可能性を疑います。

◾️胃食道逆流(いしょくどうぎゃくりゅう)
新生児や乳児に多い原因です。赤ちゃんはもともと食道や胃の発達が未熟なため胃に入ったものが逆流しやすくなっています。ミルクが気管に入ってしまいむせてしまったり、せきと一緒にミルクを吐いてしまうのが特徴です。

呼吸困難があるときは、緊急で受診を!

はっきりとした原因はわかりませんが、せきは夜間や明け方に悪くなることが多いです。
「せきで起きてしまう」「急いで受診するタイミングがわからない」という相談がよくありますが、注意が必要なのは、呼吸困難があるときです。

明らかにゼーゼーして苦しくて眠れない、横になって眠れない、呼吸が速い、肩で呼吸をしている、顔色が悪いなどのときは緊急で受診が必要です。
それ以外であればまずは以下のような対処法をやってみましょう。

①少量ずつこまめに水分を飲ませる
②上半身を起こしてきつい衣服は緩める
③背中をさすったり、軽く叩いてあげる
④鼻水が多いときには鼻を吸う
⑤部屋を加湿する

呼吸困難ではないけれど、熱がある、せき込みが強くて苦しそう、元気や食欲がない状態が続く場合は日中に病院を受診して全身状態をチェックしてもらう必要があります。

一度出たせきは、しばらく長引くことが多いです。ママ・パパからは外出の判断を聞かれることが多いですが、熱がなくて、元気も食欲もあって、夜も眠れているようなら多少のせき(ときどきコンコンとする程度)はあまり心配せずお出かけや登園、園行事の参加もいいでしょう。

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最初にお話したように、せきは“体を守るための防御反応”です。お子さんがせきをしているときは、せきばかりに注目しないで、まずは全身状態がいいかどうか(元気があるか、眠れているか、食欲はあるか)に着目するといいですね。
もちろん、せきエチケットは大事です。マスクやとっさのときに口や鼻をおさえることができない赤ちゃんは、せきが多いとき(日中ずっとせきをしている、一度せきが出ると止まらないなど)は外出を控えたほうがいいでしょう。

(監修・文/泰道麗菜先生 構成/ひよこクラブ編集部)


■泰道麗菜先生
神奈川県小田原市にある横田小児科医院の小児科医。アレルギー疾患を専門に、大学病院の小児科などを経て2018年より現職。2人のお子さんのママという目線からも、地域のママ・パパに寄り添った診療をしています。

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