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【小児科医リレーエッセイ】 ヒトの口は「幸せの扉」。赤ちゃんのよだれも離乳のサイン

笑顔アジアの赤ちゃん
Kenishirotie/gettyimages

おっぱい・ミルクを飲むことが上手になると、次に出てくる悩みが「いつから離乳?」ということでしょうか?赤ちゃんの離乳期については、いつから?何を?どうやって?などの疑問が多いようです。
「日本外来小児科学会リーフレット検討会」の先生方から子育てに向き合っているお母さん・お父さんへのメッセージをお届けします。第3回は、赤ちゃん・子どもの口の発達を見守り続けている東京・UTAKA DENTAL OFFICE佐々木歯科の佐々木洋先生です。

離乳は月齢で考えるのか、赤ちゃんの発育の様子で考えるのか

10年ごとに実施される厚生労働省の乳幼児栄養調査からは、時代を反映した育児の実態が読み取れます。直近の平成27年度の結果では、離乳食のスタートについて、離乳開始の目安を月齢にする方が圧倒的に多いのですが、食べ物を欲しがる様子に背中を押されるお母さん・お父さんも多いようです。
離乳の進め方については、保健所(センター)での指導や雑誌・インターネットからの育児情報に頼る比率が高くなっています。育児体験者が同居していない家庭ならさらにその傾向が強くて当然だと思います。
でも子どもの発育は一律ではないので、情報とのギャップにとまどうこともあるでしょうし、また空腹感が弱ければ期待するようにたくさん食べるわけではないので、失望することもあるでしょう。離乳食(世界的には補完食といわれます)調理の負担に加えて、赤ちゃんがなかなか食べてくれなかったとしたらお母さん・お父さんの悩みはつきませんね。

ヒトの「口」は幸せの扉。はたらきについて知っておきませんか?

「口」は、単細胞動物の栄養をとり込む凹みとして発生したものですが、その後の進化でさまざまな機能をもつようになりました。口蓋(こうがい)によって鼻腔(びくう)と口腔(こうくう)が区分された哺乳類は、呼吸しながら哺乳することや咀嚼(そしゃく)することができるようになり、ヒトは食べ物を五感を駆使して味わったり、会話したりできるようにもなりました。
笑ったり歌ったりなどの幸せを感じ、共有するのには欠かせない器官がヒトの口です。しかしこうしたヒト固有の口のはたらきは、出生後に模倣学習をしてゆっくり身についていく機能です。赤ちゃんの喃語(なんご)に大人が目配せしながら答えることが言葉の発達に欠かせないように、食べる機能の発達にも「介助食べ」から始まり自立した「一人食べ」に至るまでの順序や、周囲との相互作用が欠かせません。まさに「学ぶ」は「真似ぶ」なのです。

よだれの量が増えたら離乳をスタートしてみましょう

母乳やミルクだけを飲んでいる時期には、固形物の摂取に不可欠な唾液(だえき)分泌は多くはないのですが、離乳が始まる生後半年ごろになると唾液の分泌は増加してよだれが目立ってきます。
よだれは飲み込めなった唾液が口の外に出てきたものですが、赤ちゃんは母乳やミルクなら上手に飲んでいるのに、唾液はどうして飲み込めないのか不思議に思ったことはありませんか?
赤ちゃんの口は哺乳専用のしくみをもっていて、それ以外のものには過敏で固形物は受けつけません。またこのころの赤ちゃんの哺乳は、乳首をくわえるところから飲み込めむまで連続する反射運動(哺乳反射)なので、まだ随意に(自分の意思に従って)液体を飲み込むことはできません。たまった唾液は自然に口の外へもれ出てきます
食べる機能の発達に伴い、生後10カ月ごろからよだれは減少し、離乳完了期にあたる15カ月ごろには、起きている間のよだれは目に見えて減ります。さまざまな性状の食品を処理でき、コップに入った液体やたまった唾液も随時飲み込めるようになります。
哺乳反射や口の構造といった赤ちゃんが安全に哺乳できるしくみは、乳汁以外の食品を摂取するのを妨げています。そこで,乳汁以外の食品から栄養を摂るまでには,
①哺乳反射や口の過敏がなくなる
2 首がすわる
3 呼吸と飲み込めを分けてできる
4 固形物の消化・吸収が可能となる
などの次の条件が整う必要があります。よだれからも口の機能の発達が見てとれるのです。

カラカラの口でビスケットが食べられるか想像してみてください(口腔乾燥症といいます)。咀嚼してどろどろになった食べ物を集めて、飲み込むためには唾液は欠かせません。よだれも離乳を始めるのに欠かせないサインだということがおわかりいただけたでしょうか。

文/佐々木洋先生
(UTAKA DENTAL OFFICE佐々木歯科)

1977年東京医科歯科大学歯学部卒業後、子どもの発育にかかわる歯科医学3講座(東京医科歯科大学小児歯科学、昭和大学歯科矯正学・昭和大学口腔衛生学)に在籍。2001年より現職。現在は乳幼児から高齢者まで、ライフステージに沿った口腔成育(口のはたらきを生かした心と身体の成育支援)をテーマに、家族単位の診療に取り組む。日本矯正歯科学会認定医、日本小児歯科学会所属

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