摩訶不思議!息子のオリジナル「鬼ごっこ」[夫婦のじかん大貫さんのママ芸人日記#60]
2018年3月に男の子を出産した、お笑いコンビ「夫婦のじかん」の大貫さん。イラストレーター兼漫画家としても活躍中です。よしもと芸人・イラスト業・ママと毎日大忙しの大貫さんによるコラム連載「ママ芸人日記」です。
【第60回】摩訶不思議!息子のオリジナル「鬼ごっこ」
保育園で節分の豆まきをして以来、すっかり「鬼」にハマっている息子。
「鬼」自体は「怖いもの」として捉えているようなのですが、怖いもの見たさなのか、鬼に関する本や動画を物凄く見たがったりもします。
鬼が出てくる歌も好きで、絵本や動画で鬼を見るのも好き。
だけど、結局のところ鬼が怖いので最終的には「怖い…」と言って目を背けてしまうことも。
最近では、暗い部屋などに鬼がいるのではないかと思うらしく、電気のついていない部屋には行きたがらなくなりました。
勝手にどこかへ行ってしまったりすることがなくなったので、それはそれでありがたかったりもします。
夜の寝かしつけのときも、布団に入ってすぐの頃は、まだまだ遊びたいのかなかなか眠そうにしてはくれませんが、しばらくすると部屋が暗いということを認識し始め、「鬼…怖い…!」と言いながら目をぎゅっと瞑り、そのまま寝てくれたりもするようになりました。
まさかの鬼効果で育児がスムーズになるという功名が!
そんなある日、夕方頃、雷が鳴った日がありました。
ゴロゴロゴロ…と少し離れたところで雷鳴が聞こえます。
すると、息子が突然、
「鬼だ…!」
と真剣な表情で伝えてきました。
どうやら、雷の音を鬼の音(足音なのか登場音なのか…?)として判断したようです。
「怖い…!」と言いながら私の背中に隠れながらも、初めて聞く生の鬼の音に興味があるのか、鬼の音を聞き逃すまいと外の様子をうかがおうという様子もみられました。
確かに、息子の頭の中は普段から鬼でいっぱいなので、全てのものを鬼と関連付けてしまう気持ちもわかります。
ましてやなんとなく鬼の雰囲気をまとった「雷」という珍しいものを耳にしてしまったら、鬼の音と判断してしまうでしょう。
しかし、その様子が本当にかわいらしく、私は思わず吹き出しそうになっていました。
すると、突如息子が玄関の方へ走って行ってしまったのです。
「えっ…どうしたのだろう…鬼が怖くなって逃げだしてしまったのかな…」と思い、玄関の方へ息子を迎えに行こうとすると、リビングの扉から息子がひょこっと顔を出し、
「…鬼…いた…!!」
と、言い出しました。
鬼を怖がるあまりに幻覚が見えてしまったのでしょうか…。
私が「え?鬼いたの?怖いね」と言うと、ササっと扉の奥へ隠れてしまった息子。
するとその数秒後─
「…鬼だぁぁ~!!」
と、角に見立てて人差し指を頭の上で立てながら鬼の真似をした息子が扉からまたもやひょこっと顔を覗かせていました。
迫真の演技で鬼になりきる息子。
「鬼を怖がる自分」と「鬼」のまさかの一人二役の演技です…!
思わず笑いそうになるのをぐっと堪え、私が「鬼だー怖い!」と言うと、「ママ!大丈夫?」と息子が駆け寄ってきました。
「鬼怖いね!大丈夫だよー」と私の恐怖心を無くしてくれようとしています。
自分で怖がらせて自分で助けるという、まさかの自作自演の鬼ごっこをかましたのです。
一体何が楽しいのかはわかりませんが、息子は度々この鬼ごっこをするようになりました。
しかし困ったことに、自分で鬼になりきっているときに自分で怖くなってしまうこともあるのです。
息子の鬼ごっこは、まだまだ進化していきそうです…。
夫婦のじかん大貫さん プロフィール
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属/夫婦お笑いコンビ「夫婦のじかん」の嫁担当。イラストレーターとしても活動中。相方は元・トンファー山西章博。息子(2018.3生)と夫との3人暮らし。2019年3月にコミックエッセイ「母ハハハ!」(PARCO出版)を発売。