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発達障がい、「療育」に働きながら通うのは想像以上の大変さ あるシンママの奮闘

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シングルマザーとして2人の子どもを育てるエンタメ系フリーライターの吉田可奈さん。2人目の息子「ぽんちゃん」は1人目の娘「みいちゃん」と比べて発育が遅く、3才になっても意味のある言葉が出ないまま3才児健診を受けることに。そこで療育センターに行くことをすすめられるも、診察を受けられるのは最短半年待ちだったそう。働きながら療育に通う大変さ、息子ぽんちゃんが「表出性言語障害」と「知的障害」を持っていることがわかった今だからこそ思うことについて聞きました。

3才から通い始めた「療育」。働きながら通うことは想像以上に大変

――息子さんは言葉が出ないまま3才児健診を受け、そこで療育センターに通うことをすすめられるも、初めての面談がかなったのは半年後とのこと。面談を受けたあとはどうなったのか教えてください。

吉田可奈さん(以下敬称略) 面談の結果、ぽんちゃんはSTと呼ばれる言語療法と、OTと呼ばれる作業療法を週に1回受けることになりました。1回につき1時間の枠なのですが、たとえば午前中のいちばん早い時間帯で組んでもらったとしても、療育をする施設までの移動や、その後保育園に連れていく時間を含めると、午前中はつぶれてしまいます。
私は、フリーランスなので、比較的時間の調節がしやすかったと思いますが、これが普通に会社勤めをしているママだったら、そのあとに通勤して仕事をしても、あっという間に保育園にお迎えに行く時間が来てしまう。場合によっては週に4回は有休をとらなければいけないかもしれない。

療育には、ママだけでなく、パパやおばあちゃん、おじいちゃんが順番で来ていた家庭もありましたが、療育では普段から子どもと密に接しているママでないと答えられない質問も少なくないんです。そのため、ママが働きながら療育に通わせることに理解がある会社でないと、続けることが非常に困難なのではないかと思いましたし、今後子どもの療育や病気のときに、休暇が取りやすいシステムが充実するといいな、と思います。

「ほかの子とは違う」が認知される大切さ

――「自分の子がほかの子とは違う」と思うと、母子ともども、引きこもりがちになってしまうという話も聞きます。

吉田 私の場合は、ぽんちゃんの2学年上の娘みいちゃんが一緒に保育園に通っていたことが大きな救いになりました。
療育に通う過程で、ぽんちゃんはコミュニケーション障がいの一つである「表出性言語障害」(※1)と、「知的障害」があることがわかりましたが、子どもたちは0才児クラスのころから一緒なので、最初から「みいちゃんの弟」だと知っているし、まわりのお友だちやほかのママからも「ぽんちゃんはしゃべれないけれど、そういう障がいを持った子」と認知されている。ずっと一緒に過ごしてきたので、とても居心地がよかったです。

※1言葉は理解できても、年齢相応の話し言葉ができないなどの症状がみられる障害。

また、私の父がよくぽんちゃんをお散歩に連れ出してくれたおかげで、地域の人にも認知されていて、街を歩いていると、私のことは知らないけれどぽんちゃんを知っている人たちが、ぽんちゃんに声をかけてくれるのが本当にありがたかったです。

障がいを持っている子にはなかなか声をかけづらいと思いますが、普段からその子を目にすることで、まわりの人に、「ほかの子とは違うけれど自分に悪影響があるわけではない」と認知され、障がい児に持たれてしまう怖さがなくなってきます。そういう意味で、言葉は少し乱暴ですが、私は普段から子を野に放つのは大事だな、と思っています(笑)。

先のことを考えて不安になるのはみな同じ

――「もしかしたら発達障がいかもしれない」「障がいを持った子どもの将来はどうなるのか」と不安を抱えているママたちにアドバイスをお願いいたします。

吉田 私は、「取りあえず1日1日、毎日を笑って過ごすように」を大事にしています。ネットのコメント欄で「小さいうちはかわいいからいいんだよ」とか書かれることもありますし、「きょうだい児」(障がいや病気を持った子の兄弟姉妹)の「本当はすごくつらかった」「今もすごく嫌だ」「そのせいで結婚ができない」という話もよく目にします。

ぽんちゃんの面倒を見てかわいがってくれている、娘のみいちゃん(現在中学生)には「面倒を見るために将来結婚を憂えたり、この子がいるからと考えなくていいからね」「預かってくれる場所があるし、それはあなたの役目ではないよ」と伝えるようにしていますが、それでも心配になることもあります。

でも、先のこと考えて不安になることはだれにだってあるし、それは障がいの有無は関係ないと思うんです。もしかしたら10年後に、社会福祉がすごく発展しているという未来があるかもしれない。
ぽんちゃんの成長も、社会福祉も、筋肉と一緒で少しずつ少しずつ身についていくものだから、先のことを悩むよりも、今、子どもたちにできることをすることが、結果的に家族全員にとっていちばん楽しくて健康的なんじゃないかなと思っています。

答えにくいのではないか、という質問にも明るく答えてくれた吉田さん。障がいがある子を持つママとして情報を発信することで、「同じような悩みを持つママからダイレクトメールがきて、お話しすることもあるんです」とうれしそうに語る姿がとても印象的でした。
「ほかの子と違う」が正常の範囲内なのか、それとも違うのかを、赤ちゃん時代に気づくことは難しく、自己判断できるものではありません。子どもの様子が気になるときは、必ずかかりつけの医師や乳幼児健診で相談してみましょう。



お話/吉田可奈さん イラスト/ワタナベチヒロ 取材・文/本間勇気、ひよこクラブ編集部


吉田可奈さん
(フリーライター)
Profile
音楽・映画などを中心としたエンタメ系ライター。23才で結婚し、2人の子どもを授かるも、29才で離婚。現在はシングルマザーとして、中学1年生の娘「みいちゃん」と表出性言語障害、知的障害を持つ小学4年生の「ぽんちゃん」を育てながら、インタビューを中心にさまざまな雑誌やWEB、書籍などを執筆。『うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる(扶桑社)』が好評発売中。

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