【専門家監修】ウィズコロナ・子どもの不安は増えている? ママ・パパから離れられない子どもたち
緊急事態宣言が解除されて、幼稚園なども登園が再開されたと思ったら、あっという間に夏休み!「家で過ごす時間が多くなり、ママから離れなくて…」「登園をしぶるときがあり、夏休み明けが不安」と言うママやパパも。臨床心理士で子どもの発育・発達に詳しい、日本女子大学人間社会学部心理学科教授 塩﨑尚美先生に、登園しぶりを防ぐコツや家庭でできる母子分離のコツについて聞きました。
緊急事態宣言が解除されて登園再開! でも登園を拒む子どもたちも…
緊急事態宣言が解除されてから、幼稚園や保育園も、感染対策をとりながら徐々に日常の生活を取り戻してきました。しかし、なかには登園をしぶるようになってしまった子も。「これから夏休みが来たら、その後がまた不安…」そんなママたちの声を紹介します。
●息子が、幼稚園の年少クラスに入園しました。しかし登園が再開されても「幼稚園に行きたくない!」の一点張り。理由を聞くと「ママと家にいたい」「お友だちに砂をかけられた」などと言います。性格的に繊細な子で、環境の変化や集団行動が苦手なせいでしょうか。今日は、先生が迎えに来てくれたのですが、大泣きで断固拒否! どうしたらいいのか悩んでいます。
●年中クラスで入園しました。緊急事態宣言が解除され、幼稚園が始まったのは6月からです。最初の数日は登園していたのですが、1週間もたたないうちに「幼稚園に行きたくない!」が始まり、毎朝、大泣き。励ましながらどうにか園に連れて行っても、泣き叫んでいます。毎日のことなので疲れます。
塩﨑先生によると、コロナ禍で登園を嫌がるようになるケースは珍しくないと言います。
「入園したばかりの子は、コロナ禍でなくても幼稚園という初めての世界が不安で“ママといたい!”という気持ちが強くなりがちです。
また体験談にもありましたが、
①環境の変化に対応しづらい
②外からの刺激に反応しやすい
③集団行動が苦手
など、敏感な子ほど登園を嫌がる傾向が見られます」(塩﨑先生)
夏休み明け「幼稚園行かない!」が始まったときのかかわり方★3つのポイント
もし夏休み明け「幼稚園行かない!」「ママと一緒にいたい!」と言い出したときは、どうしたらいいのでしょうか。
「絶対ダメなのは“幼稚園行きなさい!”としかったり、力ずくで登園させたりすることです。力ずくだと、子どもはさらに不安になり、ますますママと離れなくなります」(塩﨑先生)
「幼稚園行きたくない!」と言い出したら、次の3つのポイントを参考にしながら対応してみましょう。
【Point1】子どもに理由を聞いて、気持ちを受け止める
「幼稚園に行きたくない!」と言い出したら「どうしたの?」と優しく理由を聞いてあげて。どんな理由でも否定したり、しかったりするのはNG。「そうなんだ…」と気持ちを受け止めて安心させることが第一です。「〇〇ちゃんが意地悪する」など具体的な理由をあげたときは、解決策を親子で考えましょう。
【Point2】「具合が悪い」と言うときは休ませてOK
登園したくないと「気持ちが悪い」「おなかが痛い」など体調不良を訴えたり、食欲がなくなったりする子もいます。そうした場合は休ませてOK。ただし1日安静にして、病気で休んでいるときと同じようにしてください。なかには、しばらくすると「治ったから大丈夫!」と元気になる子もいますが、「今日は1日ゆっくり休んで病気治そうね」と言い聞かせましょう。次の日も、体調不良を訴えたときは、病院に行く提案をしてみて。「仮病かな?」と思っても、病気として扱うことがポイントです。
【Point3】習い事には行く場合は、幼稚園も行けるようにサポートする
「幼稚園は休んだけど、習い事は行く!」と言う場合は、幼稚園と習い事の違いがどんなところにあるのかを、よく観察してみましょう。「幼稚園だと〇〇が嫌なのかな?」と聞いたりして、ママやパパがサポートしながら一緒に乗り越える経験をさせることが大切です。
夏休みは、子ども専用スペースを作って、親子で少し離れる習慣を
今年の夏休みは「コロナも怖いから、ほとんど家で過ごす予定」と言うママやパパもいると思います。おうちで過ごす時間が長いと、ママやパパにべったりくっつき、夏休み明けにその習慣が抜けなくなる子もいます。そのため家庭内でも、親子の距離を少し保つことも意識してみませんか。
「家庭内で親子の距離を保つには、たとえば子ども部屋を作ったり、段ボールをパーティション代わりにしたりして、子ども専用のスペースを作るのがおすすめ! “〇〇くん専用のスペース、どこに作る?”など企画の段階から、子どもも参加させて、親子で一緒にスペースを作りましょう。幼稚園や保育園などでも取り入れている園が多いのですが、安全性を確保したうえで、少し隠れられるスペースがあると子どもは気持ちが落ち着いて、遊びにも集中します。
子どもが専用スペースや部屋にこもったら“ほうっておいて!”のサインだと思って、邪魔をしないようにしましょう。少し子どもと離れる時間があると、ママやパパのストレスも軽減すると思います」(塩﨑先生)
子どもが、ママから離れるのは安心感があるから! 言葉かけ1つで、子どもの不安は和らぎます
コロナ禍で、ママやパパがピリピリすると、子どももだんだん不安な気持ちに。不安な気持ちが大きくなると、ママやパパから離れなくなります。
「たとえばコロナ予防に手洗いを促すときも“早く手を洗いなさい! コロナうつったらどうするの!”など強い口調でしかると、子どもは不安がつのります。でも“〇〇くん、手を洗おう! コロナやっつけよう!”と明るく誘うと、“自分で対処しないと!”という気持ちが育ちます。そうした言葉かけ1つで、子どもの不安は和らぎます」(塩﨑先生)
お話・監修/塩﨑尚美先生 取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部
ウィズコロナで、親子だけでずっと過ごしていると「子どもの心に影響って出ないの?」と心配するママやパパもいるのではないでしょうか。塩﨑先生によると「第三者とのかかわりが減ったとしても、5年間などの長い期間でなければ子どもの心に影響はない」と言います。むしろ家族と楽しく過ごす経験が、子どもの心にはプラスになるそうです。今年の夏休みは、家の中でも楽しめるプチ計画を立ててみませんか。
※文中のコメントは口コミサイト「ウィメンズパーク」の投稿からの抜粋です
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初回公開日 2020/8/22
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