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5人に1人、人一倍敏感なHSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)、発達障がいとの違いは?【専門医】

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家庭で屋内に立って泣いている幼児の女の子と若い家族。
※写真はイメージです
Halfpoint/gettyimages

「小さな音にもすぐ反応して、泣いてばかり」「偏食が激しくて、食べてくれない」など、過度に育てにくさを感じたとき「うちの子、もしかして発達障がいなの?」と疑うママやパパもいるのではないでしょうか。でも実は、発達障がいよりも多く見られるのが、HSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)といって“人一倍敏感な気質をもつ子”です。発達障がいが専門でHSCにも詳しい、どんぐり発達クリニック院長 宮尾益知先生に話を聞きました。

人一倍敏感なわが子に悩むママたちも! HSCの主なサインとは!?

HSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)とは“人一倍敏感な気質をもつ子”のこと。約20年前にアメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士によって発表され、日本でも広く知られるようになりました。
乳幼児に見られる主なHSCのサインは、次のとおりです。
●過度な人見知りや怖がり
●小さな音などにも反応する
●ママやパパから極度に離れられない
●偏食が激しい
●初めての場所や、初めてのことを嫌がる
●寝つきが悪い
●感覚過敏がある
●ママやパパが少し怒ると、極度に泣く・怖がる

HSCかどうかはわからないものの“人一倍敏感なわが子”に悩んでいるママは少なくありません。ママたちからは、次のような声も聞かれます。

●息子は環境の変化に人一倍敏感。年少クラスのときは、のびのび園生活を楽しんでいましたが、年中クラスになった途端、夜泣きが始まってしまって…。「ドア開けてー」とパニック状態になり3回ぐらい泣いて起きたりするので心配しています。

●娘は、幼稚園の年中クラスです。HSCの傾向を疑っています。もともと偏食で、2歳代にはこども病院の偏食外来にも通っていました。幼稚園は週3回給食ですが、年少の終わりごろから急に給食を食べなくなり、毎日お弁当持参で登園しています。先日、お弁当のあとに嘔吐してしまい、それがものすごく嫌な記憶になっているようで、毎日「お弁当があるから、幼稚園行きたくない!」と泣きます。土日の休みで気持ちが少し落ち着くかな!?と思いましたが変わらず…。「食べられるものだけ、お弁当に入れるから!」と約束して登園させていますが、なかなか不安が払しょくできなくて…。

HSCは病気ではなく気質。発達障がいではありません

前述の乳幼児に見られる主なHSCのサインを見て「発達障がいとは違うの?」と思ったママやパパもいるのではないでしょうか。

「HSCは発達障がいのような顕著な特性は表れません。またHSCは病気ではないので、発達障がいのように診断名もつきません。
HSCは、5人に1人ぐらいいるといわれていますが、世界中で共有されている発達障がいの診断基準に該当するものではなく、医学的に診断できるものではありません。
医学的に病気と診断される基準の目安は、100人中2.4人以下。遺伝性の病気は100人中1人以下の割合なので、HSCのように多いと病気とは診断されず、気質と考えられます。
このように言うと“発達障がいも多いのに、なんで診断名がつくの?”と思うママやパパもいるでしょう。たとえばADHD(注意欠如・多動性障害)の割合は、100人中8人ともいわれています。しかし発達障がいも最初は、病気と診断されず診断名はつきませんでした」(宮尾先生)

HSCは病気ではないものの、前述のように“人一倍敏感なわが子”の言動に悩んでいるママやパパは少なくありません。そんなときはどうしたらいいのでしょうか。

「HSCが気になり始めるのが、幼稚園ごろからです。心配なときは、かかりつけの小児科や子どものこころの専門医に相談するといいでしょう」(宮尾先生)

HSCは、自閉症スペクトラム障がいと似た特性が! ママやパパが神経質にならないことが大切

HSCは、乳児期は「育てにくい子」という印象でしょうが、幼稚園などで集団生活が始まると困った場面が増えてくることもあるそうです。

「HSCは、自閉症スペクトラム障がいと似た特性があります。ただし自閉症スペクトラム障がいと診断がつくほどではありません。
幼児期からは主に
①新しい環境になじみにくい
②人とのかかわりが苦手
③コミュニケーションがうまくとれない
④臨機応変に対応できない
などの気質が見られます。

前述のママの体験談に、お弁当を吐いてから登園を渋る話がありましたが、HSCは感覚過敏の子も多いです。一度、吐いたことでのどに違和感を覚えて、食べ物がのみ込めなくなったりする子もいます」(宮尾先生)

ではHSCの子と、かかわるにはどうしたらいいのでしょうか。

「ママやパパに注意してほしいのは、過度に“大丈夫?”など心配しないことです。ママやパパが心配すればするほど、子どもはより敏感になります。子どもが不安を抱きやすい場面は“ママやパパは、どうして大丈夫と思うのか!?”優しく説明してあげてください。たとえば音に対して敏感な子は「車のクラクション、びっくりしたね。でも一瞬だから大丈夫だよ」と伝えていくと、しだいに「大丈夫!」ということがわかっていきます。
また子どもの話を否定せずに、聞いてあげることも大切です。HSCは警戒心が強い子が多いので、とくに初めてのことにはチャレンジしたがらない傾向があります。そんなときは“なぜチャレンジしたくないのか?”理由を聞いてあげてください。
たとえば“プールで泳ぐなんてイヤ! 水怖い!”と言うときは“でも、みんな楽しそうに泳いでいるよ。先生もそばにいるよ。ママと少し見てようか?”と声をかけて、一緒に見学から始めましょう。多少時間はかかるかも知れませんが、慣れてくるとチャレンジできるようになります」(宮尾先生)

お話・監修/宮尾益知先生 取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

HSCの傾向がある子はママやパパからすると、わが子の言動がもどかしく感じることもあるでしょう。
しかし宮尾先生は「HSCだけでなく、子育ては100%完璧をめざさないことが秘訣。60~70%のことができればいいと考えてください」と言います。
ママやパパがおおらかにかかわると、子どもも敏感な気質がやわらいでいきます。

宮尾益知先生(みやおますとも)

profile
どんぐり発達クリニック院長。国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て、2014年に開院。専門は発達行動小児科学、小児精神神経学、神経生理学。監修書は「発達障害の子どもが持っている長所に気づいて、伸ばす本」(河出書房新社)など多数。

※文中のコメントは口コミサイト「ウィメンズパーク」の投稿からの抜粋です

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