【コロナ禍の外遊び】保育士が教える家の周りでできる小さな自然遊び10
フリーランス保育士で2児の母の相原です。コロナ禍で遠くへの外出がはばかられる日々が続いています。毎年行われている自治体のキャンプの中止、田舎にある祖父母の家への帰省が叶わないなど、例年よりも自然体験の機会が減っているのではないでしょうか。そうは言っても子どもの成長は待ったなし!自然の中で遊ぶことは子どもをぐっと伸ばします。今回は、遠くに出かけなくてもできる家の周りでできる自然遊びをご紹介します。
相原 里紗
保育士・のあそびっこプロジェクト 主宰
早稲田大学国際教養学部卒。(株)オールアバウトを経て国家試験で保育士に。親子×のあそび×地域を軸とした「のあそびっこプロジェクト」他、親子向けイベントを多数企画・運営している。0歳、2歳の男子育児に奮闘中。
自然体験を止めない!身近な自然を楽しもう
外出しにくい日々が続いていますね。帰省、キャンプなど、自然体験の予定がなくなってしまった家族もいるのではないでしょうか。実際に、新型コロナウイルスの影響を受けて、自然体験教室の損害は全体で18億円の損害と言われており、機会が減少していることが伺えます。
都市部で生活しているとただでさえ自然に触れる機会が少ないですが、自然体験は子どもたちの成長にとって欠かせないもの。今回は家の周りでできる自然体験を、自然体験のメリットも含めてご紹介します。
参考:新型コロナウイルス感染拡大に関する自然学校等への影響調査:公益社団法人日本環境教育フォーラム
子どもの自然体験 5つのいいこと
「外遊びがいい!」とはよく聞きますが、どんなことが子どもにとっていいのでしょうか。暑い日も寒い日も、子どもの遊びを見守るときに知っておけば「もうちょっと〜」にもう少しだけ付き合えるかもしれません!
いいこと1:子どもの体をつくる
自然の中で遊ぶことで子どもは身体的な経験をたくさんします。不整地でバランスをとったり、高いところからジャンプをしたり、木に登ってみたり…さらには、集中して遊び続けるには体力も必要です。普段の生活の中で運動機会が減っている中で、自然体験は必然的に体を動かして遊び、体をつくるのにぴったりです。
いいこと2:自然に触れてリラックスできる
現代の子どもたちはいろいろな外的要因からストレスを抱えていると言われていますが、自然遊びはそのストレスを軽減してくれます。例えば、自然音を聞いていると、リラックスさせる副交感神経が優位になります。また、幼少期に緑に囲まれて過ごした子どもは、成人後に精神疾患にかかりにくいということもわかってきました。幼児期の自然体験は子どもの一生におけるメンタルヘルスを支えてくれます。
参考:
ニューズウィーク日本版「自然の音を聞くと気分が落ち着く...は、科学的に実証されている」
世界経済フォーラム「緑豊かな環境が、成人後のメンタルヘルスにおよぼす影響」
いいこと3:「生きる力」が身につく
創造力、主体的に物事に取り組む、考える力、好奇心…自然の中にあるもので好奇心のままに、目の前のもので柔軟に遊ぶことは、生きる力をつけることにつながります。自然体験が自己肯定感を高め、幼児期の自然体験の多さが人間関係能力が高めるという調査結果も出ています。
参考:
国立青少年教育振興機構「子どもの体験活動の実態に関する調査研究」(平成22年)
いいこと4:生活習慣が身につく
自然体験と生活習慣は一見結びつきがなさそうですが、自然体験が豊富な子どもの親は、子どもの生活習慣が身についていると感じている割合が多いというデータがあります。日中太陽の光を浴びることで、睡眠を誘う物質であるメラトニンの分泌量も増えるとも言われており、自然体験をたくさんすることは生活習慣の自立にもつながりますよ!
参考:
国立青少年教育振興機構「幼児期に豊富な自然体験活動をした児童に関する研究 国立オリンピック記念青少年総合センター研究紀要,第5号,2005年」
心と脳をすくすく育てる本:監修 小西行郎 学研
いいこと5:自然への環境保護への意識が深まる
スーパーのビニール袋が有料化されたり、紙ストローの導入が進んだりと、少しずつ地球環境への意識が高まっています。地球環境について考えながら生きていくことは、今を生きる子どもたちにとってとても重要です。身の回りの自然環境が子どもの生物多様性保全意欲を高めるということが東京大学の調査でわかっています。自然体験を通じて子どもの環境意識も育てたいですね。
東京大学「日常的な自然体験は子供の生物多様性保全意識を向上させる」
家の周りでできる!小さな自然体験10のアイディア
山や海や川が近くになくても、ちょっと目を凝らせばいろんな形で自然体験をすることができます。
家の周りでできる小さな自然体験を10個ご紹介します。
(1)空を切り取る
手カメラはもちろん、普通のカメラ、トイレットペーパーの芯など、空間を区切れるもので空を切り取ってみます。雲・鳥・木々などに注目できるので、空にあるいろんなものを発見できます。
(2)雨を集める
雨の日は、水を感じる絶好のチャンスです。いろんな容器を持ち出して、雨を集めてみましょう。どのくらい雨が降ったか、どんな水が溜まったか…川や海に行かなくても、自然の中の水を見つけられます。
(3)穴を探す
虫が掘った穴なのか、それとも誰かが棒で作ったのか。土のあるところにはいろんな穴が空いています。何の穴かわからないときは、危険な虫がいるかもしれないので注意をしながら、そっと観察してみましょう。
(4)夕陽を見る
保育園や幼稚園、お散歩などの帰り道、少し広いところへ行って沈む夕陽を眺めてみてはどうでしょうか。空の色の移り変わり、気温の変化など、太陽を五感で感じることができますよ。
(5)枝や落ち葉を拾う
枝や落ち葉は、子どもにとって身近な素材です。剣になったり、ペンなったり、お札になったり、組み合わせて工作をしたり…拾うだけでも楽しいですし、そこから別の遊びに発展させるのも楽しいですね。
(6)傘を持たずに外に出る
レインウエアを着て、雨の日に外に出てみるのも面白い自然体験です。音や水の感触を全身で感じることができます。
(7)地面に寝転がる
芝生の上、コンクリートの上、土の上…寝転がってみると、立っているときに聞こえなかった音、見えなかった景色、地面の匂いなどを発見します。ちょっと角度を変えるだけで、小さな自然体験になります。
(8)花で色水作り
野花を探して色水を作ってみるのも面白い体験です。いろんな色を混ぜ合わせてみたり、できた色水を使って布を染めたり、お絵描きをしたりと、遊びが広がります。
(9)草を根っこから抜く
意外にも全身を使うのが根っこからの草抜きです。勢いを調整したり、ぎゅっと握ったり。木登りをする木が周りになくても、雑草なら家の周りに見つけられますね。
(10)生き物と一晩一緒に過ごす
「虫を飼う」のは少しハードルが高くても、一晩だけ家にお泊りしてもらうくらいなら気軽にできるのではないでしょうか。間近で観察をしたり、命を感じたり、一晩でもたくさんの経験を得ることができます。
町中でも自然体験を楽しんで「原体験」を育もう
「町中に住んでいるからなかなか自然体験が難しい」と思っている人も多いと思いますが、ちょっと周りを見渡せばきっと小さな自然を見つけられるはずです。自然体験が少なくなる中で、子どもの頃の五感で直接体験した「原体験」や心に残る「原風景」を持つ人が減少傾向にあるといいます。町中に住んでいるからこそ、意識して体験の機会を作ってあげたいですね。
いかがでしたか?家の周りでもできる外遊びは、今回ご紹介した意外にもたくさんあります。身近な環境を改めて見直して、小さな自然体験のチャンスをどんどん増やして、町中での外遊びマスターを目指してみてくださいね!