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リモートワークと育児、ママとパパの働き方、これからどうなる?【専門家】

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お母さんとお父さんの愛。
写真はイメージです
Liderina/gettyimages

新型コロナによって人々の生活が大きく変わるなか、ママとパパの働き方や家事・育児にもさまざまな影響が出始めています。これまでただでさえ難しかったママとパパのワークライフバランスをうまく保つには、いったいどうすればいいのでしょうか。ママとパパのこれからの働き方、家事・育児の進め方について、3男の父親であり保育士のキャリアも持つ大阪教育大学教育学部准教授(家政教育講座)の小﨑恭弘先生に聞きました。

在宅勤務と育児、両立できる?

感染症対策の一環で広がった在宅勤務ですが、都心のオフィス規模を縮小する企業も出てくるなど、日本人の働き方そのものが大きく変わろうとしています。今後この働き方が定着するのであれば、子育て世代にとってもこれまでとは異なる働き方や育児スタイルが選択できるようになるでしょう。

ひと口に在宅勤務と言っても、共働き夫婦が保育園に預けながら在宅勤務をするケースや、専業主婦家庭でパパだけが仕事モードのケース、夫婦で子どもの面倒を見ながら仕事をするケースなどさまざまありますが、これまでの事例から今後の参考なるヒントも見つかりそうです。

たとえば、すでに在宅勤務を経験した子育て世代のなかには、「家で育児をしながら仕事に集中するのは難しかった」という人も少なくありません。というわけで早速、小﨑先生に「どうすれば両立できるのか」と聞いてみたのですが…。

「両立なんてできるわけがありません! 小さな子どもの面倒を見ながら仕事に集中できるなら、そもそも保育園もいりませんよ(笑)。仕事と育児を同時にするというのが無理な話なので、もし子どもと過ごしながら在宅勤務をするのであれば、子どもに話しかけられない集中部屋をつくって夫婦交代で面倒を見るとか、午前中は子どもと全力で遊んで午後のお昼寝タイムに仕事に集中するといったように、子どもにがまんを強いるよりも、あくまで子どもを軸に働き方をコントロールしていくべきです」(小﨑先生)

家で育児をするママたちからは、「パパが近くにいて安心」という声がある一方、「パパがいるせいで家事が増えた」という声も。これまで仕事だけをしていればよかったパパたちも、家にいる時間が長くなると、そこでの新たな役割を見つけていく必要もありそうです。

「共働き夫婦が増えたとはいえ、実際にはママが家事・育児の中心という夫婦は多いと思います。そういった家庭では、パパは『ホームなのにアウェー』といった状況に置かれてしまいます。その場所で選ばれるためにパパは何をすべきか考えないといけないし、ママもパパをトレーニングしていく必要があります」(小﨑先生)

普段、あまり家事をしていないパパが食器の後片づけなどをしたときに、「こういう並べ方しないで!」とママから言われてしまう。“家事あるある”の一つですが、こういうときにただ不満をぶつけるだけでなく、どういうふうにしてもらいたいか説明することで、パパの家事・育児力もきたえられていきます。

「パパを家事・育児のメインに立たせることも大事です。いつまでもスーパーサブみたいな立場では、パパも頑張れませんから。メインでやってみると、パパも楽しさに気づくと思います。私も休日は自分がメインで家事をしていますが、洗い物をして、花に水をやって、麦茶を沸かして、あらためて考えると、これってなかなか豊かじゃありませんか? 私自身は家事や育児をして楽しかったので、こんな楽しいことを独占しているママたちは『ズルい』とさえ思うほどです。世の中では多くのパパが、『もっと育児したかった』と後悔しています。かけがえのない時間はあとになってからわかることなので、今回のコロナはそれに気づくきっかけになるのではないかと思います」(小﨑先生)

パパが家での居場所や役割を見つけられれば、ママの「ワンオペ育児」を終わらせることもできるかもしれません。

「稼いでくるパパ」はもうエラくない?

「男は外で稼いでくるから、家事や育児をやらなくてもいい」といった昭和チックな価値観も、コロナ後は通用しなくなりそうです。

「これからは男女関係なく、仕事もするし、家事や育児もしていく時代です。私の勤務先の大学でも、男子学生は『結婚をしたら育休を取って一緒に子育てや家事をしたい』と言い、女子学生は『男性に育休を取ってもらいたい』と言います。男女共生教育を受けた彼らは、何でも平等で、一緒にしていくという考え方、感じ方があります。そんななかで、近年は父親の育児やワークライフバランス、ブラック企業といったワードが学生たちの間でも注目されているため、就職観も大きく変わろうとしています」(小﨑先生)

最近は就職説明会で、学生から『育休を取っている男性社員はいますか?』といった質問が出てくることも珍しくないのだとか。労働環境が整っていないと、企業は学生たちから選ばれない時代。若い世代の考え方の変化が、間接的に現役のママ・パパにも影響を与えてくれそうですが、すでに目の前で起こっている進行中の変化もあります。

「昔よりも男女の賃金格差が縮まり、個別ではパパよりママの収入が多い世帯もあります。保育園で子どもが熱を出したときなどの緊急連絡先も、ママではなくパパにしている夫婦も増えています。時給単価の低いほうが迎えに行くのは、家計戦略としてはアリでしょう」(小﨑先生)

今はまだ「自分のほうが稼いでいるから家事をしなくていい」と思っているパパも、社会が大きく変わるなかで先のことはわかりません。急な収入ダウンや退職などにより、ママの収入に頼ることになる日が来るかもしれません。

「これからは経済性だけで子育てや家族を考えるのはリスクがあります。健康面なども含めて、夫婦で互いに『こういう働き方をしてほしい』ということを普段から話し合えるといいと思います。夫婦どちらも仕事と家事・育児に対応できれば、万が一どちらかが仕事を失っても、『家のことはしばらく自分がやるから仕事に集中して』といったように、そのときの選択肢が増えます。大切なのは、ママだけ、パパだけで仕事や育児を考えるのではなく、家族を一つのチームとして戦略を考えていくことです」(小﨑先生)

チームに最大の効果をもたらすために、ママ・パパはどのようなワークライフバランスを保っていくべきでしょうか?

「ワークライフバランスで大事なのは、仕事と生活のバランスだけでなく、夫婦間のバランス、親子間のバランス、仕事と地域活動のバランスなど、さまざまなバランスを意識することです。だから話し合った末みんなが納得しているのであれば、『パパは仕事に専念するから家のことはママよろしく』でも、実はバランスが取れているといえます。話し合いがないからもめてしまう。コロナは決していいことではありませんが、これをテコにできる家族が生き残っていけると思います。家族で話し合って、みんなが納得した働き方、家事・育児の進め方を見つけていけるといいですね」(小﨑先生)


お話/小﨑恭弘先生 取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部

子育ては状況に応じてやり方を変えていく必要があります。それはコロナ騒動があってもなくても同じこと。これから先、子どもの成長とともに働き方、家事の進め方が変わっていくことを考えれば、この機会に自分たちのやり方を模索して、柔軟に対応できる力を身につけておくべきかもしれません。


小﨑恭弘先生(こざきやすひろ)

Profile
大阪教育大学教育学部教員養成課程准教授(家政教育講座)。西宮市初の男性保育士として活躍したのち、大学の准教授やNPO法人「ファザーリング・ジャパン」の顧問として活動中。3男の父。著書に『あー、また言っちゃったがなくなる 男の子ママの言葉かけ便利帳』(総合法令出版)など。

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