防災のプロに聞いた!小さな子がいる家庭で、いますぐやっておくべき4つの備え
近年、増え続ける台風や集中豪雨などによる災害、今後30年以内に90%程度の確率で発生すると言われる大地震など、私たちは常に災害と隣り合わせ。小さな子どもがいるママやパパは、いざという時に家族を守ることができるかと不安に思う方も多いのでは? そこで、アウトドア防災ガイドのあんどうりすさんに、どんな備えをすればよいのか聞きました。シリーズ「小さな子どものいる家庭で災害が起きたら…?」の連載1回目です。
<プロフィール>
あんどうりすさん
アウトドア防災ガイド。阪神大震災の被災体験とアウトドアの知識を生かし、2003年より全国で講演活動を行う。日常使いのバッグを防災仕様にするというアイデアや、子育てグッズと防災グッズをイコールにするアウトドア流の考え方が、子育て中のママやパパに好評。
備え1 ハザードマップで、自宅周辺の危険度チェックを!
あんどうさん曰く、災害の備えで最初に行うべきなのは、自宅の周辺状況を知ること。それに有効なのが、各自治体が公表しているハザードマップです。自宅とその周辺の浸水域や土砂災害の危険性がある場所、津波が予想されている場所などを確認できます。
水害から命を守る行動
画像提供/EMINBO 江戸川みんなの防災プロジェクト
(あんどうさん 以下敬称略) 「引越しをする際は、ハザードマップで安全な場所であることを事前に確認することも大切です。災害時はアクセスが集中して、ホームページが開けないということがよくあるので、前もってダウンロードしておきましょう」
あんどうさんによると、スマホでハザードマップを確認したい場合は、国土交通省の「重ねるハザードマップ」を利用するとよいそう。
備え2 避難グッズの準備より、まずは家を「安全」にする!
ハザードマップの確認が終わったら、次は防災グッズの準備と思いがちです。もちろんそれも大事ですが、その前にやることがあるそうです。
(あんどう) 「ハザードマップの確認と同じぐらいに重要なのが、家を安全にしておくということ。防災への備えというと、どうしても避難グッズのことばかりが気に掛かるというママも多いようですが、その前に家の対策です。内閣府も提唱していますが、自宅が安全であれば、無理に避難所に行く必要はないんです。避難せずに家で過ごすことができれば、小さな子どものいる家庭では一番安心できます。とくにコロナ禍での災害時は、人がたくさん集まる避難所ではなく、家にとどまったり、親戚や友人宅などに避難したりと、避難所以外の避難先も検討しておくといいですね」
家の耐震の確認はもちろん、家具の転倒防止対策の徹底も忘れずに、とあんどうさん。家具をしっかり固定しておくことは、水害時に家具が浮き上がってこないためにも有効だそうです。
備え3 マザーズバッグは防災バッグとして代用できる!
次は避難グッズや子育てグッズについて聞いてみました。
(あんどう) 「いざという時は、マザーズバッグが防災バッグとしても使えるんです。そのためにも、普段から使っているものをいかにコンパクトにできるかがコツ。防災用に子育てグッズを新たに用意するのではなく、日常使いができるものと防災でも活用できるものを兼用すると、非常時にスムーズに使えるというメリットもありますよ」
<あんどうりすさん流!防災グッズに加えておきたいマストアイテム>
・アウトドア用の軽量リュック
防災バッグとして最適なのは、ウエストベルトやチェストストラップが付いたアウトドア用の軽量リュック。体にフィットする作りになっているので、動きやすく避難がしやすいのでおすすめです。
・断熱マット
アウトドアショップなどで購入できる断熱マットは、避難時に何かと便利。断熱性があるので、冷たかったり、暑くなってしまった屋内外でのオムツ替えの時に下に敷いたり、授乳中の座布団にもなります。普段使いもできるので、マザーズバッグに入れておくと便利です。
・レインウエア
避難中、濡れたままでいると気化熱で体温が下がり続けてしまい、命に関わります。あんどうさんがおすすめするのは、防水性と透湿性が優れたアウトドア用の高機能レインウエア。
・ペット用汚物入れ
ペット用の汚物入れは、赤ちゃんの使用後のオムツ入れや、ゴミいれ、手洗いができない場合のオムツ替えの際の手袋がわりに使います。
他にも、ミルクをあげている方は月齢にあわせて用意しておきましょう。また、オムツを卒業した子どもでも、災害時は精神的に不安になり必要となる場合もあるので、パンツタイプのオムツを予備に取っておくと安心です。
備え4 普段から災害について話せる、コミュニティを育んでおく!
災害が起こった時に、避難の判断ができなかったり、迷うことも多いという声をよく聞きます。そんな時はどうしたらいいのでしょうか。
(あんどう)「情報交換ができたり、一緒に声を掛け合って避難をしたりと、助け合えるママ友を作っておくのがおすすめです。同じマンションの中にママ友がいるなら、水害時は上の階のお宅に避難させてもらったり、地震の時は上の階が揺れるので下の階のお宅に避難するなど、災害の種類に応じて協力し合っている方も増えてきています」
取材・文/女子部JAPAN(内田あり)
地域で行われる災害関連のイベントなどに参加すると、そこで交流が始まったり、コミュニティが生まれることもあると思います。その出会いを大切にして、同じぐらいの子どもがいるママやパパたちと、普段から情報をシェアしておくと、いざ災害が起こった時に心強いですね。