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「男性育休を取ってみた」パパ2人、当事者ならではのコツを自費出版、夫婦で育児を乗り切るために

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自宅で男の子の子供とゲームや拍手の若い父親の幸せなアジアの家族
※写真はイメージです
twinsterphoto/gettyimages

初めて赤ちゃんができたとき、幸せと同時に「夫の会社は育休が取れるのかな?」「僕も育休を取りたいけど言いづらい…」などの不安を感じる人もいるでしょう。そこで、実際に1年ほどの育休取得の経験をもとに、複雑な制度を解説する『育休はじめてガイド』を自費出版した、パパ二人、伊美裕麻さんと土屋貴裕さんに、話を聞きました。

日本の制度は「育休先進国」。でも複雑でわかりにくい

実は日本の育児休暇制度は世界一、と言われるものの、男性の育休取得率は2019年度の調査ではわずか7.48%(※)。認知度の低さと制度の複雑さから、何から手をつけていいかわからない、という人も多いでしょう。そんな人に向けて『育休はじめてガイド』を作ったのが、事業会社で子ども向けアプリのプロダクトマネージャーを務める伊美裕麻さんと、ベンチャー企業で技術開発に携わる土屋貴裕さんです。

「自分が育休の制度を調べるのに苦労したので、当事者として知りたかったことをまとめて本にしました。もともとは技術者の仕事をしている人向けに作った同人誌ですが、意外と職種・男女問わず手に取ってくれることが多く、中でも育休経験者へのインタビューをまとめた育休のTips(コツ)への反響が大きかったです」(伊美さん)

男性は2回の取得が可能。充実した日本の育休制度

『育休はじめてガイド』では日本の育休制度の手厚さが図説を用いてわかりやすくまとめられています。
たとえば上の図のように、ママとパパが同時期に長期間育休を取れる制度は他国にはあまりありません。

・期間は特別な条件で最長2年まで延長可能
・男性は産後8週以内に育休を開始し終了すれば再取得可能
・パパ・ママどちらも育休を取得する場合、最長1年2カ月まで延長できる(パパママ育休プラス)
などの点から見ても、実は日本の育休制度は北欧諸国と比べても非常に優れた制度といえるのです。
(※フリーランスや個人事業主は育休・給付金の対象外)

実際に育休を取ったきっかけと育休期間は?

2人が育休を取得した期間は以下のとおり。
【土屋さん】
・2019年8月に第1子誕生
・2019年9月から2020年7月まで1年弱の育休を取得
【伊美さん】
・2018年1月に第1子誕生
・1カ月の育休を取得
・その後、生後10カ月から2回目の育休を取得
・保育園落選により2才まで延長

積極的に制度を利用した2人ですが、意外にも伊美さんは、妻に言われるまで育休を取るつもりはなかったそうです。

「『育児頑張るぞ』という気持ちはあったものの、自分が育休を取ることは頭からすっぽり抜けていました。今思うと『育児を手伝う』という意識でしたね。

でも妻と産後の予定を立てる中で『私が里帰り出産から戻る2月からあなたも育休を取るよね』と言われて、『おれも育休を取る選択肢があるのか』とはっとして、育休について調べはじめました」(伊美さん)

一方、土屋さんは妻の妊娠前から育休についての知識を持っていたとのこと。

「ベンチャー企業で開発のかたわら採用にもかかわっていたことと、Twitterでも話題に上がっているのを見ていたので、働き方についての意識や感度は高かったかもしれません。社内で取得した男性は私が初めてでしたが、フローなどはとくに問題ありませんでした」(土屋さん)

伊美さんが取得する際は、複雑な制度を上司も巻き込んで理解するのが大変だったそうです。また、土屋さんは転職後すぐに妻の妊娠がわかったので、雇用保険と給付金の条件を自分でハローワークに電話して調べたという苦労もありました。

手厚い育休制度をうまく利用すれば不安は解消できる

雇用保険から支払われる育児休業給付金は、育休開始から180日以内は給与の67%になります。収入がかなり減ってしまうイメージもありますが、2人は金銭面での不安は感じなかったと言います。

「私たち夫婦は子どもが生まれる前から、万が一どちらかが倒れても生活が成り立つように家計を調整して、貯金もしていました。給付金が非課税所得だと知ったのも大きかったです。共働きなので、収入が少し減っても貯金ができなくなるくらいだね、と話していました」(土屋さん)

「実は、育休中は所得税・雇用保険料・社会保険料が免除になるため、開始から180日間は育休前の手取りの約80%が受け取れる計算です。1回目の育休は1カ月だったので金銭面の心配はしていませんでした」(伊美さん)

育休中もキャリアを断絶しない選択肢

育休を取る際、金銭面よりもキャリアが途切れてしまうことに不安を感じる人も多いでしょう。日本の育休制度では一定の条件の範囲内なら、休業中の職場で働くことが許されています。また、会社の規定で禁止されていなければ、雇用保険外の就労(副業など)も可能です。2人はこの条件の範囲内で、少しずつキャリアを継続していました。

「私の場合は育休を取得する前に、会社と話し合って多少働く機会がもらえないか相談していました。

また、妻は育休中、人手がたりないときに不定期でヘルプをしに職場へ行っていました。彼女は仕事が好きなので、たまに働けるのはストレス解消になっていたみたいです。

それに男女問わず、1年間完全に仕事から離れてしまうと、どうしても腕が鈍ってしまいますよね。月何回か勤務する機会があり、仕事の感覚をキープできたのはよかったです」(土屋さん)

「私の場合、子どもが保育園に入れず2回目の育休が長引いて、給付金の受給額が50%になってしまうころに、もともと興味のあった副業を始めました。収入が半減という危機感があったので、副業できたのは助かりました。同時期に妻も在宅の仕事を始め、2人とも仕事がある日は、息子を一時保育やベビーシッターに預けていました」(伊美さん)

キャリアを薄く継続できる選択肢は職場復帰もしやすくなり、育児ストレスが軽減される側面も。伊美さんのように保育園に入園できず育休が長引く場合、副業ができれば経済的にも負担感が少なくなります。

お話・写真/伊美裕麻さん、土屋貴裕さん 取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

実際に育休を取得した2人は「休める特権は利用すべき」と口をそろえます。育休取得者が増えれば、育児に限らず介護や病気など事情のある人が、無理せず休みやすくなり、ひいてはだれもが休みやすく働きやすい社会につながるのでしょう。

伊美裕麻さん(いみゆうま)

Profile
千葉県在住。通信事業会社で子ども向け事業のプロダクトマネージャーを担当。副業で株式会社キャスターで採用代行事業プロダクトのマネジメントも行う。育休に関するメディア「YASUMO」(https://yasumo.me/)を運営。
2020年3月、土屋さんとの共著で『育休はじめてガイド』を制作。
Twitter:@13imi(https://twitter.com/13imi)

土屋貴裕さん(つちやたかひろ)

Profile
岐阜県在住。700人以上がリモートワークで働く組織 株式会社キャスターにてソフトウェア開発、採用関連の仕事を担当。2020年3月、伊美さんとの共著で『育休はじめてガイド』を制作。
Twitter:@corocn(https://twitter.com/corocn)

※文中イラストは『育休はじめてガイド』P13より引用

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